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渡せる仕事が無いのではありません。仕事が、渡せる形になっていないだけです

AIに何か任せてみようと思って、自分の1日を頭から順に見回してみる。朝やっていること、昼にやっていること、夕方にやっていること。ひととおり眺めたあとで、「うちの仕事、渡せるものが無いな」と結論する。

僕はこれを、一度やっています。しかも、かなり真面目にやりました。

探したこと自体は、間違っていません

先に書いておきたいことがあります。自分の1日を見回して探した、というところまでは合っています。

多くの人は、そこまでやりません。「AIはすごいらしい」で止まって、自分の手元には一度も目を向けないまま終わります。手元を見た人だけが、「無い」という結論にたどり着きます。

問題は、見回したときに何が見えていたか、のほうでした。

そのとき僕が見ていたのは、仕事ではなく名前でした

見回している僕の頭に浮かんでいたのは、こういう並びです。

「請求まわり」「採用まわり」「営業」「動画」。

これを1つずつ見て、「これは無理」「これも無理」と落としていきました。当たり前です。どれも渡せるわけがありません。

「営業」を渡す、というのは、渡される側にとっても意味の分からない話です。どこから始まるのかも、何をもって終わりなのかも、どこで人の判断が要るのかも、その言葉の中には一つも入っていません。

僕が眺めていたのは仕事ではなく、仕事につけた名前でした。名前は、袋の外側に貼ってあるラベルです。ラベルを読んで「これは渡せない」と言っていたので、中身は一度も見ていませんでした。


引き出しを開けて、袋のまま並べ直していただけでした

例えるなら、こういう状態です。

工具の引き出しを開けると、袋に入ったままの部品が並んでいます。袋には「配線一式」と書いてある。中に何が何個入っているかは、袋を開けるまで分かりません。

この状態で「使えるものある?」と聞かれたら、答えは「よく分からない」です。無いのではなく、開けていないから見えていない。

僕が「渡せる仕事は無い」と言っていたとき、やっていたのはこれでした。引き出しを開けて、袋を眺めて、そのまま閉じただけです。

手が止まっているのは、あなたのせいではありません。 袋のまま並んでいるものを見て、渡せるかどうかを判断できる人はいません。判断できないのは、能力ではなく、置き方の問題です。

最初の渡し方は、はっきり失敗しています

袋を開ける前に、僕は一度、いちばん大きい袋を袋ごと渡すということをやっています。

動画を作る一連の流れを、まるごと投げました。素材を渡して、「これで一本にして」と言いました。大きい仕事が減れば、それだけ効くと思っていたからです。

返ってきたものは、途中まではそれらしく出来ていました。ただ、どこまでが指示どおりで、どこから外れたのかが分かりませんでした。 全体を一度に見ても、おかしいのは分かるのに、おかしくなった場所が特定できない。

実際に何が起きていたかというと、途中の一箇所だけ、指示していない順番になっていました。通して見ると自然に見えるので、その一箇所にたどり着くまでに、頭から三回見ています。 見つけたころには、直すより作り直したほうが早い状態になっていました。

結局、頭から自分で作り直しました。渡した時間だけが、まるごと消えました。

このとき初めて、渡し方の問題だと気づきました。中身が難しかったからではありません。袋のまま渡したので、開けて確かめる場所がどこにも無かったというだけでした。


袋を開けたら、渡せるものが1つ出てきました

やり直したときにやったのは、大きい袋を一度ぜんぶ床に出す、ということでした。

床に出す、といっても大したことはしていません。その仕事を前にやったときの順番を思い出して、自分の動作の名前で書き出しただけです。 「素材を集める」「順番を決める」「文字を入れる」「最後に通して見る」。難しい整理ではなく、自分の手が何をしていたかを並べただけです。

書き出してみると、名前のときには一つに見えていたものが、性質のまったく違うものの集まりだと分かりました。

そうすると、その中に「毎朝、決まった場所を見て、決まった形に書き写す」という部分が入っていました。判断はどこにも要りません。始まる合図があって、終わったかどうかもすぐ分かります。

最初に渡せたのは、これでした。 「動画を作る」は渡せませんでしたが、その袋の中にあったこの一つは、そのまま渡せました。

大事なのは、渡せる仕事が新しく増えたわけではないということです。増えたのは、袋を開けた回数だけでした。中身はもともと、ずっと同じ引き出しに入っていました。

「渡せる仕事が無い」と言っていたときの僕と、渡せた僕のあいだで変わったのは、見ていたのがラベルか中身か、それだけです。

いま、手元で起きていること

いまは、決まった時刻に勝手に動く仕事が31本あります。担当は13に分けています。

この31本は、新しく作った仕事ではありません。 全部、もともと僕が名前のかたまりのまま抱えていたものの中から出てきた部分です。袋の数は増えていません。開けた袋の数が増えただけです。

いまでも、開けていない袋はあります。開けていない袋を見ているあいだは、僕はいまも「これは渡せない」と思っています。その判断は、たいてい間違っています。

ここまで書き出すと、次の疑問が出てきます

  • 袋を開けたとして、どこまで細かく分ければいいのか

  • 分けて出てきたもののうち、どれを先に渡すのか

  • 出てきたものの中に、渡してはいけないものはどれなのか

この3つは、僕も最初は分かりませんでした。分けすぎると管理が増えるし、大きいまま渡すと、さっきの失敗に戻ります。
これを実際に決めた手順は、別の記事にまとめました。

次は、つなげるほど止まっていった話を書きます。増えたのは自動化ではなく、確認する場所でした。
僕はAIに会社の実務を渡す話を、毎日1本書いています。
同じことを自分の仕事でも試したい方は、フォローしておいてください。探しに来なくても、毎朝1本届きます。
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▼この続きは有料noteにまとめました(500円)
絶対に渡さない4つ・実際に起きた事故3つ・いま渡している13の担当と、渡すときに使っている指示文の実物まで書いています。


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