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「AIに全部やらせない」が、新しい標準になりました。うちが人に残した最後のひと押し

「AIに任せています」と言うと、だいたい同じことを聞かれます。

「じゃあ、もう自分では何もしていないんですか」。

違います。僕はいまも、毎日ボタンを押しています。しかも押す場所は、わざと残しました。減らせなかったのではなく、残すと決めた。

そして最近わかったのは、これが遅れているやり方ではない、ということでした。AIを実際の業務に入れている人たちは、だいたい同じ形に落ち着いています。集める・調べる・下書きを作るところまでは全部やらせて、外に出る一歩手前で人が一度見る。送る前と、お金が動く前に、人の承認を挟む。いまはこれが普通の設計です。

ただ、うちがそこに着いたのは立派な思想からではありません。事故ったからです。

「人が触らなくていい」が偉いと思っていた

最初のころ、僕がかっこいいと思っていたのは「全自動」でした。朝起きたら全部終わっている。人が一切触らない。それが完成形だと思っていたし、そういう発信もよく流れてきます。

だから最初は、できるだけ端まで自動にしようとしました。候補を集めるところから、文面を作って、そのまま送るところまで。止める理由が思いつかなかったからです。うまくいっているうちは、止める理由なんて一つも見つかりません。

いま思えば、そこが分かれ目でした。止める場所は、困ってから決めるものではない。困る前に決めておくものです。困ってから決めると、決めるきっかけが毎回「誰かに迷惑をかけたこと」になります。

止めていなかったところで、起きた

うちの営業は、夜のうちにAIが送り先を集めて、翌日に一社ずつ問い合わせフォームへ文面を入れていく形にしてあります。ここまでは全部AIです。人は一度も触りません。

問題は、その先でした。フォームには、こちらが正直に答えないといけない欄があります。たとえば「営業目的ではない」といった確認のチェック。機械に判断させれば、通したいほうにチェックを入れるのが正解に見えてしまいます。相手にとっては、それはただの嘘です。しかも一度送ってしまえば、こちらの言い分を聞いてもらう機会はもうありません。

それから、画像や文字を読ませる認証。あれは突破できませんし、突破しにいくものでもありません。無理に進めさせれば、途中まで入った状態のまま何かが送られる可能性がある。

もっと単純な事故もありました。同じ内容が二重に外へ出たこと。中身は完成していたのに、受け取る人の手が届かない場所に置いてあって、二日ぶん使われなかったこと。日付が一日ずれたまま書類ができあがったこと。

共通しているのは一つです。どれも「外に出たあと」に気づいています。中で止まっているうちに気づけたものは、一つもありませんでした。だから僕は、AIの精度を上げる話より先に、外へ出る扉の数を数えることにしました。

だから、止める場所を先に決めた

決め方は、仕事の難しさではありません。難しい仕事ほど危ない、というのは間違いでした。むしろ単純な仕事のほうが、勢いよく外へ出ていきます。難しい仕事は途中で詰まって止まってくれるからです。

いま止めているのは、この形に当てはまる場所だけです。企業へ送る問い合わせは、文面も送り先もAIが用意しますが、送信は僕が押します。広告は、数字を読んで案を出すところまでやらせて、配信を切り替えるのは僕です。管理画面はそもそも読み取りしかできない権限にしてあります。お金が動くものは、最初から渡していません。

逆に、朝に全部捨てても損をするのが自分の時間だけ、というものは止めていません。候補を集める。並べる。数える。記録を決めた場所へ移す。下書きを作る。ここは夜のうちに好きなだけやらせています。ここを止めると、朝の机の上が空っぽになって、任せている意味がなくなります。

認証が出て進めなくなったものは、止まったまま「これは人がやってください」という印をつけて残ります。止まることを失敗として扱わない。ここが地味に大事でした。止まると怒られる設計にすると、無理に通そうとするからです。人の組織でもまったく同じことが起きます。

止める場所を決めたら、渡せる量が増えた

不思議なもので、押す場所を決めてからのほうが、任せられる範囲は広がりました。

理由ははっきりしています。前は「どこまで行くか分からない」から怖くて、結局ぜんぶ自分で見ていました。いまは「ここで必ず止まる」と分かっているので、そこまでは何をさせても平気です。安心して渡せる距離が伸びた、という言い方が近い。

止めるのは、AIを信用していないからではありません。取り消せないことが世の中にある、というだけの話です。相手の会社に届いたものは戻せないし、公開したものは消しても見られたあとです。これは相手が人間でも同じで、新しく入った人に「送信だけは一回見せてね」と言うのと、やっていることは変わりません。信用の問題ではなく、扉の問題です。

いまの数字

数えられるものだけ書きます。役割を分けたAIの担当が13。決まった時刻にひとりでに動き出す仕事が38本。そのうち、最後まで人を通さずに外へ出るものは、ひとつもありません。夜のあいだに出来上がるのは、いつも「出す一歩手前」までです。

どれだけ時間が浮いたかは書きません。測っていないからです。

代わりに、たしかなことを一つだけ。全部やらせるのをやめてから、外に出てしまってから気づく、という種類の失敗が減りました。何回減ったかは数えていないので、これも数字にはしません。

任せるかどうかで悩んでいる人がいたら、順番はたぶん逆です。どこまで任せるかを先に決めるのではなく、どこで必ず止めるかを先に決める。そこさえ決まってしまえば、手前は全部渡してしまって構いません。

僕はAIに会社の実務を渡す話を、毎日1本書いています。
同じことを自分の仕事でも試したい方は、フォローしておくと次の記事が届きます。
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▼この続きは有料noteにまとめました(500円)
絶対に渡さない4つ・実際に起きた事故3つ・いま渡している13の担当と、渡すときに使っている指示文の実物まで書いています。


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