『いつも感じがいい人はこんなふうに話している』Audible感想|言い方が少し丸くなった日
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Audibleで大野萌子さんの『いつも感じがいい人はこんなふうに話している』を聴いた日の、雑貨店の午後の話です。
閑古鳥雑貨店の朝は、
店主が棚を拭くところから始まります。
昨日と同じ場所にある小皿。
先週から動いていないハンカチ。
少しだけ前に出した絵本。
売れていないものばかりなのに、
並べ直すと、
店の中が少し息を吹き返したように見えます。
プクは窓辺の椅子で、
前足をきれいにそろえていました。
「今日も、ほどほどに頑張りましょうか」
そう声をかけると、
プクは目を細めました。
励ましているのか。
期待しすぎるなと言っているのか。
たぶん、後者です。
店主は苦笑いしながら、
レジ横の小さな箱を整えました。
昨日、耳に残った本

その朝、
店主の耳には、昨日聴いていたAudibleの言葉が少し残っていました。
ざっくり言えば、話し方の本です。
けれど、聴いていて思ったのは、
上手に話すためというより、
自分の言い方に少し気を配るための本なのかもしれない、
ということでした。
「それ、取って」
そう言っても、意味は伝わります。
でも、
「取ってもらえますか」
と言うだけで、相手の受け取り方は少し変わる。
ほんの少しです。
けれど、
そのほんの少しを省いてしまう日が、
私にもあります。
悪気はないのに、
言い方だけが先に転がっていくことがあります。
宅配の人と、ひと呼吸

昼前、宅配の人が来ました。
いつもなら、
「そこに置いてください」
と言っていたと思います。
別に悪い言葉ではありません。
でもその日は、
少しだけ言い方を変えてみました。
「すみません、そちらに置いていただけますか」
宅配の人は、
「はい」と言って、いつも通り荷物を置いてくれました。
ただ、
言ったあとの自分の気持ちが、
少しだけ軽かったのです。
プクの距離感

プクはというと、
荷物の箱には近づかず、
離れた場所からじっと見ていました。
まず眺めて、
少し待って、
それから気が向いたら近づく。
プクはいつも、
自分の距離をちゃんと知っています。
人との会話も、
本当はそれくらいでいいのかもしれません。
午後、棚の奥を見に来た人

午後、近所の常連さんが店をのぞきました。
「何か新しいもの、入った?」
「少しだけですけど、奥の棚に並べてみました」
店主はそこで一度、言葉を止めました。
そして、
いつもより少しゆっくり続けました。
「よかったら、見ていってくださいね」
店主は、ふと思いました。
言葉も、
品物に少し似ているのかもしれない。
この店に並んでいるものは、
どれも高価ではありません。
それでも店主は、
できるだけ、きちんと並べたいと思っています。
少しだけ、息を吸う
立派なことを言わなくてもいい。
気の利いた返事ができなくてもいい。
せめて、
急いでいる声だけは、
そのまま相手にぶつけないようにする。
それくらいなら、
店主にもできる日があるかもしれません。

急いでいる日ほど、
少しだけ息を吸うように。
店主はそう思いながら、
閉店前の棚をもう一度見回しました。
プクは窓辺の椅子で、
目を半分だけ閉じていました。
今日の店主は、まあまあ。
そんな顔に見えました。
今日、耳に残っていた本
Audible版
『いつも感じがいい人はこんなふうに話している』
プクが窓辺でうとうとしている間に、
店番の合間で少しずつ聴きました。
聴き終えたあと、
いつもの「お願いします」が、
少しだけ丸くなった気がします。
まあ、翌日にはまた、
いつもの店主に戻るかもしれませんが。
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