なぜ おれおれ詐欺から母を守れなかったのか? | 老後の暮らしを整える
母がおれおれ詐欺に遭った半年ほど前、母と同年代のいとこがおれおれ詐欺に遭っていた。母の一番仲の良いいとこだったので、落ち込むいとこに、母も胸を痛めていた。
母と同世代のいとこに起きたことなのに、なぜ自分の親に同様のことが起きると想像できなかったのだろう?
思い起こすと、実家にもおれおれ詐欺と思われる電話が何度か入っており、「ちゃんと撃退できた」という母の話を聞いて、私は、なぜか安心してしまっていた。
実家に怪しい電話が入っていたのを知りながら、なぜ放置してしまったのだろう?
私が適切な対処をしていれば、母が詐欺に遭い、傷つくことはなかった。
いくら悔やんでも、取り返しがつかない。
おれおれ詐欺に遭うと、加害者グループから騙しやすいターゲットと認識され、被害が何度も繰り返されることもある、と聞いた。最初に連絡が入ったという実家の固定電話を、すぐに利用休止にした。
父も母もそれぞれ携帯電話を使っていたので、迷惑電話の拒否設定をし、登録している番号以外は受けられないようにした。
おれおれ詐欺の被害者の約8割が女性で、65歳以上の高齢者が多くを占めるという。
せめて迷惑電話が入らないような対処さえしていれば、おれおれ詐欺から母を守ることができたのではないか。詐欺にあったのは、母が認知症だったからとは思わない。母を危険な状況に晒していたからだ。
家族が、母を守れなかったんだ、と胸が痛んだ。
今、高齢の親を持つひと全員に向けて声を大にしたいのは、おれおれ詐欺を始めとする特殊詐欺がどんどん巧妙になっていること、特に高齢者は狙われがちだということを、どうか他人事と思わないでほしい。うちの親はしっかりしているから、と油断しないでほしい。
そして、「気をつけて」と言うだけでは、親を守ことはできない。先延ばしせず、今すぐに、思いつく限りの対策をすべてとってほしい。
この出来事をきっかけに、親のお金の管理をすべて私が引き受けることになった。
日常生活に困らない現金だけを父、母が持ち、まとまった金額の支払いが必要な際は、私が請求書を確認した上で振り込み手続きを手伝うことにした。父も母も、手持ちの現金以上にお金が必要なときは、まずは私に連絡をする、ということなった。
それまで、家のお金の管理は母が一手に引き受けていた。父が母をサポートする、という選択肢もあったのに、父も母も、私に任せたいという。取り敢えず通帳一式を預かることとなった。
私の生活は、だんだんと親のサポートに時間をとられるようになっていく。
老後の暮らしを安全なものに整えていくというのは、想像以上にパワーのいることだった。
