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アクションを起こさない、というのも自分で選んだことだから | 老後の暮らしを整える

父が退院した。

ぎりぎりまで病院に留まることをねばっていたようだが、病院とケアマネさんの連携のもと、先週、父は病院から、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に移った。

病院からは、自宅療養でも、という話だったものの、今の父には、ひとりで家で暮らすという気力が、もう残っていなかったようだ。最初は抵抗していたものの、介護サービスを受ける覚悟をしたのだ。

父の入院のタイミングで、ショートステイのロング利用というかたちでお世話になっていた母も、父と同じサ高住に移ることになった。

ありがたいことに、父の退院 → サ高住 への移動も、母のショートステイの施設 → サ高住 への移動も、すべてケアマネさんのサポートにより、弟や私が現地に行くことなく対応いただいた。本当にありがたい。

病院も施設内もエアコンが効いているとはいえ、この猛暑のなか、HPがぎりぎりまで減っている高齢者の移動だ。多少のダメージもやむをえないと覚悟していたが、プロならではの匠の技のおかげで、父も母もスムーズに新しい環境に慣れつつあるようだ。

いつ状況が急変するかもわからないため、弟も私も、緊急出動はできるような心づもりはしているものの、ケアマネさんにお任せできるときは、自分たちのHPを温存することにしている。

高齢の親のサポートする家族も、すでにアラフィフ。自分たちの生活もあるし、体力も気力も、無尽蔵には湧いてこない。効率的に動かなければ、自分たちがやられてしまう。

父の退院にともない、紆余曲折あって、父と母が同じサ高住に入ることになった。

退院したとはいえ、父はもうしばらく安静にして、体力を回復させなければならない。

母も、ショートステイでの様子をみるに、父がいなくても、問題なさそうだった。なんなら、プロのサポートを受けられることで、自宅で父のサポートを受けていたときよりも、気楽に、おだやかに暮らしているようにも見えた。

同じサ高住でも、父と母が、別々の個室に入ったほうが、心身の健康上、お互いによいのでは?と私は思っていた。とはいえ、施設側のルールもあるだろうし、ケアマネさんのプロとしての見立ても、私とは違うかもしれない。しばらくは口出しせずに、様子をみようと心に決めた。

結果的には、父が、母と別室にしてほしい、と申し出たそうだ。もう、母のサポートをするのは無理だと、父はようやく白旗をあげたのだ。

「お母さんがぜんぜんごはんを食べないらしい。お母さんが弱ってしまう。」

と、父から弟に電話があったという。が、母がごはんを食べなかったのは、移動をした日のお昼ごはんだけで、その後は、毎食完食しているそうだ。

週末に、弟が会いにいったところ、母は顔色もよく、元気そうだったという。一方で、父は、病院にいた頃よりも痩せてしまい、ベッドからも起き上がれずにいるという。

父は、母のサポートを手放したことで、自分が生きる目的をも失ってしまったのかもしれない。皮肉なことに、母はプロのサポートを受けられるようになったことで、自宅にいたときよりも、元気になっている。

生真面目で、気持ちの優しい父が、自分がしんどくなっても、母のサポートをギブアップできないだろうということは、容易に予想できた。

私は1年ほど前から、母のサポートを、できる限りプロに任せるよう、父に言い続けた。が、父は意地になって、母のデイサービスやショートステイを増やさまいとがんばった。その結果、無理をしたのだと思う。

父に言っても埒が明かないと、私は弟にも、父の負担を減らすための手立てを相談し、あれこれ具体的な提案もしていた。が、父の気持ちを優先したい弟としては、「考えてみる」というだけで、なにもアクションを起こさなかった。

今回の父の入院に際して、弟は、自分がアクションをとらなかったこと、とれなかったことを悔い、私に詫びた。けれど、私も、父や弟を責める気持ちにはなれなかった。

父は自分の生きかたを通し、弟は、その父の考えを尊重したまでだ。

半年前に母のショートステイを増やしたら、父はここまで自分を追い込まずに済んだだろう。なんなら、父の寿命も伸びたかもしれない。

でも、父が体調を崩さず、寿命が半年、1年伸びたところで、そこになんの意味があるだろう。父が、限界まで母のサポートをやりきった、ということのほうが、父にとっては大事なことだったのだと思う。

父の体調が良くなり、それが短期間であっても、自宅に戻れるようになれば、ラッキーだと思う。一方で、このまま、少しずつ少しずつ父が弱っていき、最後を迎えることになるかもしれない、とも思う。

ひとがどう生きて、どう最後を迎えるかについては、親子であっても、家族であっても、どうにもできないことだと思う。父が父の人生を生ききるため、母が母の人生を生ききるために、自分はなにができるか?を、なにをすべきか?を、日々考えている。


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