スタート地点で途方に暮れる | 自力でがんばる実家じまい
「家を片付けて、売ってくれ。すべて任せる。」
父からの依頼を受けて、私は新幹線で実家に向かった。
コロナ禍に、父と母は祖父母が住んでいた家に転居をした。父と母が暮らしていたままの状態で 4、5年が経った実家は、あちこちが傷みはじめていた。
まずは2、3泊して、不用品の片付けから始めるつもりだった。
実家にはモノがあふれていた。父も母も几帳面だったため、家の中は、散らかってはいないものの、押し入れも、棚の中も、モノがひしめいていた。私が実家にいた頃よりも、だいぶモノが増えており、その物量におののいた。
3年ほど前に、実家のキッチンの片付けをしたことがあった。父と母が祖父母の家に移ったときは、長く戻らないということを想定していなかった。冷蔵庫にも、キッチンの棚にも食品が残っていた。それらの処分のため、私が実家に向かった。
その時も地獄をみた気がするのだけれど、もうおぼろげな記憶だ。
あの時は見て見ぬふりをしたけれど、不用品が大量にあった。そうだ、台所から始めよう。
スーパーのレジ袋(くるくるとまるめられたやつ)、ポリ袋、いちごのパックなど食品の包装材、これだけで、用意していった40リットルのゴミ袋がゆうに20袋を超えた。ゴミの置き場所がなくなり、自分の居場所がなくなった。
途方に暮れた。
気を取り直し、冷蔵庫に貼ってある紙を見ると、明日は地域の燃えるゴミの回収日だ。よし、明朝、いまあるゴミを出そう。リビングに積み上がったゴミ袋を庭に出した。小さな庭がゴミ袋で埋まった。
明らかにゴミ、というものをゴミ袋に詰めて、詰めて、詰めまくった。夕方から始めた作業に夢中になり、気がついたら22時を過ぎていた。庭は大量のゴミ袋が積み上がり、私の背丈くらいになっている。
ゴミの回収所は家から歩いて3、4分の場所にある。大量のゴミ袋を運ぶのに、どれだけ時間がかかるのだろう。
朝になってから運び始めたのでは、ゴミの回収に間に合わない気がする。
ゴミの回収所に行ってみると、すでにゴミがでている。ルール違反かもしれないけれど、今夜のうちにゴミを運ぼう。
近所が寝静まった 24時頃から、ゴミを運び始めた。なんどもなんども家とゴミの回収所を往復し、すべて運び終わったのは 3時近くだった。
ゴミの回収所がうちのゴミだけで埋まらないよう、テトリスのようにゴミを積んだ。はじっこに寄せて、崩れないよう、ぴっちりと。回収のひとはびっくりしただろう。
この作業、2泊3日なんて無理。肉体的にも、精神的にも無理。
翌日、いったん自宅に戻った。しっかり計画を練って、準備をして取り掛からなければ、私がやられてしまう。
