140記事目 観察|転院から最期まで。――②9月1日―。
前回の続きです。⇩
■9月1日午前5時41分■
T病院からの電話。
隣ですぐに妻も目が覚める。
「お父さんの脈が弱くなっています。
お母さんは、電話にでません。」
わかりました。すぐに行きます。
母へも電話します。
すぐに母へ電話をして。
T病院から電話がきた。すぐに行って。
「わかった」
私も妻へ伝える。
あとで、連絡する。
父母宅からT病院までは、タクシーで3分ぐらい。
私の家から15分ぐらい。
■午前6時5分■
T病院到着。
タクシーが玄関前に停まっていた。
たぶん、母だろう。
すぐに父の病室へ向かう。
ドクター。
看護師。
父のベッド。
その横に母。
間に合わなかったか。
「また、死に目に遭えなかった。」
「いつもそう。」
「ねぇ、まだ、暖かいよ。」
「仲良くはなかったけど。
ひとりは、さびしいよぉ・・・」
母は、父を揺らしていた。
私は母の背中をさすりながら、
ドクターを促した。
「9月1日午前6時9分。
武元隆さんの死亡を確認しました。」
※仮名です※
しばらく。
でも、2分ぐらい、待つ。
看護師さんから、
ご遺体の措置をするので、ロビーでお待ちください、と。
母と私は、一旦病室から出て。
まずは弟へ電話。
次に私の妻。
次に葬儀屋。
父を帰宅させるよう手配をして。
T病院へのお迎えは午前8時。
それまで、約1時間。
久しぶりに、母と2人で話した。
■午前7時28分■
再度、父の病室へ。
点滴も外れ、顔には白い布。
「開けてもいいのかな?」
なんも、母さんの好きにしたらいい。
父の顔は、思ったよりも穏やかで。
「ぱんだは、
感情を消しているように見えた」
と、母は言った。
思わず爆笑した。
消してない。
腹が立つときは、腹が立つ。
笑うときも、悲しむときもある。
でも、外から見ると、
『感情を消して』いるようにも見えるらしい。
なるほど。
新しい発見だ(笑)
■午前8時30分■
父を自宅へ連れて行き。
次は1時間後に、葬儀の打ち合わせの予定。
さて。妻に電話する。
妻は統合失調症があって、
双子の育児を1日やるのは無理。
保育園へ登園するにも、時間がない。
うーん・・・。
よし。
妻と双子と一緒に行動だな。
今日の動きは、未定・・・でもないか。
葬儀の打ち合わせ。
介護ベッドの回収依頼。
死亡届。
ほんとは、死亡届は葬儀屋に任せて良いんだけど。
他に役所での用事もあるし。
昼ぐらいに、弟は嫁さんと来れるらしい。
双子の昼ごはん。
職場への忌引き連絡。
保育園へのお休み連絡。
母の遺族厚生年金手続き準備。
親族への連絡。
あ・・・。
思ったよりもあるな(笑)
まあ、やれるのはひとつずつだ。
■午前9時■
私は一旦帰宅、妻と双子を回収(笑)
車の中で。
AさんBさんに教える。
おじいちゃん、死んじゃったよ。
「死んじゃったの?」
そう。もう、動かないよ。
これから、お葬式をして、火葬。
おじいちゃんを焼くんだよ。
「焼いて、食べるの??」
違うよ。食べない食べない(笑)
焼いて骨になるの。
「おじいちゃん、焼いちゃうの(爆笑)?」
そうだよ。
今はこれでいい。
AさんBさんが「死」について。
「身近な人がいなくなる」ことについて。
学ぶ最初の機会だ。
4歳7か月。早くない。
父に感謝である。
そして、父母宅へ着いた。
■午前9時35分■
いや、介護ベッド邪魔だな(笑)
午後3時に回収予定となったけど。
葬儀屋さんが既に訪問していて。
打ち合わせ開始。
と言っても、日程とお坊さんの手配のみ。
それでも時間がかかる。
やはり、母は判断が遅い。
と言うか。決められない(笑)
通夜9月2日午後5時。
告別式9月3日午前10時。
お坊さんは決めてある。
母は、実は寺の娘であった。
二人姉妹の姉。
葬儀屋へ寺の名前を伝える。
「檀家さんだったんですか?」
いえ、母は前住職の娘なんです。
「あ!そうだったんですか!」
私から、住職へ直接電話し、依頼を受けてもらう。
父の枕経は、私があげることにした。
実は、得度していたりする(笑)。
今は、全く違う職業だけど。
■午前11時50分■
弟と奥さん到着。
AさんBさんは、なんかずーっと遊んでいる。
父の横にピクミン人形を並べたり(笑)
様子を見に行ったり。
枕経を始める。
まともにお経を読むのは、何年もぶりだろう。25年ぶりか?
父のために得度したわけではないけれど。
なかなか奇妙な縁である。
■午後1時■
母の懸念がひとつ。
吉之叔父さん(笑)
こんな人です⇩
母曰く。
・連絡したらすぐに来そう。
・家に来られても困る。
・広之叔父さんのときは、納棺のときからいた。
・父へ入院中に、吉之さんの話をしたら、目を開いて、嫌だと(笑)
よしわかった(笑)。
私が吉之叔父さんに連絡しておくわ、と。
上手くいって、早く来ないように、伝えるわ、と。
■午後2時43分■
役所に到着。
妻も双子も一緒。
妻は、思ったよりも疲れているなあ。
長時間、外にいる。
人と会っている。
双子は元気(笑)
静かにまてるかな?待てるわけがない(笑)
■午後4時■
火葬許可証、まだ、交付されず。
あー。もー限界だなー。
妻が。
よし、明日の朝、取りに来ることにして。
今日は帰ろうと、妻に声をかけた。
■午後6時■
やってしまった・・・・。
妻が言った。
「明日。帰っていいよね?」
「Bさんも調子が悪いし。」
「私も精神2級だし。」
・・・・・。
いや、前に言ったよね。
怒りが顔を出す。
そうだよね、通夜は泊まるよねって。
施主になるのも、今朝、目の前で葬儀屋との打ち合わせ見ていたよね?
イライラが立ちのぼる。
義父と妻が電話していて。
「時代だから、泊まらないのも仕方ないって言っていたし。」
いや。それ。
私が施主って義父に言ってないよね?
「なんで、イライラしているの?」
ここで、妻に返してもダメ。
無駄なエネルギーの浪費。
これから、
叔父さんへ電話。
双子のご飯。
双子の寝かし付け。
その前に、葬儀屋さんへ、施主から私の名前を外すよう依頼の連絡。
取り敢えず、名前外すのは、間に合った。
ダメだ。コレ。
かなりキているな。
携帯の充電器、車に取ってくる、と言って。
外に出て、乗り込んだ。
■午後6時20分■
あ゛あ゛あ゛ーーー!!!
車内で叫ぶ。
あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーー!!!!
2回目。
私は決して、落ち着いた人間ではない。
短気で、感情の立ち上がりが早くて。
イライラを隠せない。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーー!!!!!
3回叫んで、家に戻った。
■午後7時23分■
吉之叔父さんに電話。
「そうかあ。逝ったかあ。」
通夜と告別式の時間を伝えて。
家族もギリギリに会場に入るから、叔父さんもゆっくりで大丈夫です、と。
バタバタしていて、連絡遅くなってすいません、と。
「いいんだ。それは。忙しいからね。
では、また、明日、行くからね。」
吉之叔父さんはびっくりするほど、
あっさりと電話を切った。
その後、母へ連絡して。
吉之叔父さんは、通夜はギリギリ。
早くて午後4時に来ると思うと、伝えて。
私は燻ぶったまま。
何せ、子どもは寝ないし、食べないし(笑)
結局寝かし付けたのは、午後10時でした(笑)
