食欲に振り回されていたのは、体の感覚が敏感すぎるだけだったかもしれない
「痩せたいなら、おやつをやめればいいのに」——そう言われるたびに、おやつをやめたら空腹で仕事にならないのに、なんでわかってもらえないんだろうと思っていました。一方で、おやつをやめられないのは、意志が弱いからだと長いこと思っていたんですが、息子の様子を見て初めて、そうじゃないとわかったんです。この記事では、食欲と体の感覚の関係についてお話しします。
お昼ごはんを忘れる人の感覚が、どうしても理解できなかった
「昼ごはんを食べるのを忘れた」という人が、世の中にいるんですよね。私にはそれが本当に理解できなくて、「忘れるってどういうこと?」って思っていました。
私にとって空腹は、ただ「お腹が空いた」という感覚ではなくて、もっとしんどくてつらいものだったんです。
息子が幼児のころ、お腹が空いたり喉が渇いたりすると、ほかのお子さんと比べて明らかにしんどそうにしていた。その姿を見て、「あ、私もこれだったんだ」と、ようやく理解できたのです。
空腹がイライラや不安に変わる、これは意志の問題じゃなかった
「感覚過敏」というと、音や光への敏感さをイメージする方が多いかもしれません。でも体の内側の感覚——胃がキュッと縮む感じとか、血糖値が下がるときのしんどさとか——も同じように、人よりずっと強く感じる方がいます。
感覚が敏感な方にとって空腹は、不快感や不安、イライラとして脳にダイレクトに伝わります。ストレスを感じたときにも、そのつらさを鎮めようとして食べやすくなることが研究でもわかっています※1。「我慢すればいい」が通用しないのは、意志が弱いのではなくて、体のセンサーの感度が違うというだけのことでした。
敏感なセンサーは、使い方次第でダイエットの味方になる
でも、感覚が敏感なことには良い面もあります。食事が整って血糖値が安定してくると、今度は心地よい満足感を早くキャッチできるようになります。「ちょっと食べすぎたかな」という体の声も、ちゃんと拾えるようになる。軌道に乗ってくると、むしろ維持しやすくなる気がしています。
私が気をつけるようにしたのは、センサーが「命の危機だ」と誤作動しないようにすることです。極端な食事制限や断食よりも、食物繊維やたんぱく質で腹持ちをよくして、長時間の空腹を作らないよう間食を計画的に入れる方が、自分には合っていました。
そして、この敏感さを「我慢する」ではなく「味わう方向」に使ってみる、という考え方もあります。舌触り、噛むごとに変化していく味わい、サクサクと心地よく響く音——食べることって、こんなにいろんな感覚に満ちているんですよね。感覚が敏感な方は、その一つひとつをより豊かに受け取れます。マインドフルイーティングという食べ方なのですが、この「味わう力」が最初から備わっているんだと私は思っています。
食欲に振り回されやすいと感じているなら、それはあなたのセンサーが高機能なだけかもしれません。弱さではなく、うまく使えばダイエットの味方になる力なんです。
参考文献
※1 Herbert BM, Pollatos O. (2012) "The Body in the Mind: On the Relationship Between Interoception and Embodiment" Topics in Cognitive Science. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3423386/
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