見出し画像

【聖なる経済学】 経済レントの撤廃、およびコモンズの枯渇に対する補償

訳者コメント:
人間の努力によって作り出されたのではないものは、パブリックドメイン(公共領域)に属するものであり、それを囲い込んで所有することで利益を得る構造は、根本的には略奪であり、貧富の格差を拡大させるだけなので、廃止しなければならないのです。そこには、交換手段としてのお金そのもの、天然資源、知的財産が含まれます。


3.経済レントの撤廃、およびコモンズの枯渇に対する補償

動機:人々が何も生産したり社会に貢献したりすることなく、単に物を所有するだけで利益を得ることを許せば、富の二極化は避けられません。経済レントと呼ばれるこれらの利益は、土地、電磁スペクトルの帯域、鉱物採掘権、油田、特許など、多くの形の財産の所有者のものになります。これらの財産は、人類の出現以前から存在していたか、あるいは人類文化の集合的な産物であるため、公共や地球の利益のために利用しない個人のものになるべきではありません。

さらに、今日では生物多様性、帯水層、土壌、海洋漁業といった公共財産の様々な側面を枯渇させることで利益を得ることが可能になっています。これらは本来、私たち全員のものであり、その枯渇は共通の合意に基づき、公共の利益のためにのみ行われるべきです。

移行と政策:一部の州や国では既に地価税が課されており、石油や鉱物資源を国有化しているところもあります。例えば、ボリビアやアラスカ州は石油採掘権を公的に所有しており、その結果、石油会社は石油の所有権ではなく、石油採掘サービスに対してのみ収益を得ています。賃金労働者の状況が絶望的になるにつれ、税負担を労働から財産へと移行させる動きはますます魅力的になります。最後に、水利権規制をめぐる争いが難航していることからわかるように、資源保全を貨幣制度に直接組み込むという考えが現実味を帯びる時が、いよいよ近付いています。

本書で述べられているジョージ主義的な土地価値税、鉱物採掘権の賃貸、経済レントの主体を通貨の裏付けとして利用するなどの方策は、経済レントを人々に還元し、財産を単に所有するだけではなく適切に利用することによってのみ、個人の利益を得られるようにするための方法です。コモンズから生じるものはすべて、手数料または税金の対象となるべきです。著作権と特許の保護期間を短縮することで、知的財産をコモンズに戻すことができ、それによってアイデアが生まれる文化的基盤に感謝の念を示すことができます。また、ゲノム、電磁​​スペクトルの帯域、新たな「コモンズ」であるインターネットなどの新たな富の源泉は、公共領域パブリックドメインに維持し、社会と地球に利益をもたらすために利用する者にのみ、その利用権を割り当てる必要があります。

経済生活への影響:課税対象が財産や資源へと移行することで、売上税や所得税は減額または廃止され、環境保全への強い経済的インセンティブが生まれます。経済レントは既に所有している人々を豊かにするものであるため、これを廃止することで富のより公平な分配が促進されます。知的財産の分野では、公共領域パブリックドメインの拡大により、営利を目的としない文化の創造が奨励されます。なぜなら、芸術的・知的創造の「原材料」が、著作権使用料や私有財産の制約を受けにくくなるからです。


前< マイナス金利通貨
目次
次> 社会・環境コストの内部化

原文リンク:https://sacred-economics.com/sacred-economics-chapter-17-summary-and-roadmap/


いいなと思ったら応援しよう!