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「組織の生命力」と手探りで向き合う10年間(前編)


わたしの会社の生命力とは


わたしは2016年に、「広報のマネジメント・コンサルテーション」を行う株式会社タンシキを創業しました。

コロナ禍を挟んだこの10年間は、個人や組織の「生存」にとって激動の時期。

多くの企業や経営者が難しい課題に直面したことでしょう。
そんな中、わたしが一経営者として、また会社として生き抜いてきた今だからこそ、お伝えできることがあるのではないか。

あるいは、お付き合いの機会をくださった多くのお客さまに、あらためてわたしたちの考え方に触れていただくことで、「当時、なぜタンシキに相談しようと思ったのだろう」「そこから得られたもの・得られなかったものがあったとしても、タンシキとのかかわりでどう成長できただろう」と思い返していただくことも、ひとつの感謝の形になるのではないか。

そんな想いで筆を執りました。


わたしたちの生業について


まずは、株式会社タンシキの生業について。

創業時からのコンセプトである「広報のマネジメント・コンサルテーション」とは、広報領域の戦略・計画づくり、広報組織の設計や人財育成、広報活動の評価・効果測定など、Plan・Do・SeeやPlan・Do・Check・Actionといった「マネジメント・サイクル」にかかわる課題解決のことです。

その対象領域は、広報活動全体の場合もあれば、報道対応や社内広報など特定領域の場合もあります。

ただし一般的には、「広報コンサル」と言う場合は、以下のような「実務代行」が多いです。

  • 報道対応:プレスリリースの作成や、記者にコンタクトをとって折衝・交渉する代行する業務

  • 社内広報:社内広報担当者の代わりに取材・執筆・イラスト作成などを代行する業務

  • 広告宣伝:広告素材の作成や、広告出稿媒体の広告枠の確保を代行する業務

  • デジタル:ホームページコンテンツの作成や更新を代行する業務

私はPR会社やWebコンサルの会社など受注側にも、発注側にもいたので、これらの代行の価値は十分に理解しています。広報業務に関する経験・スキルのない会社や個人でも、委託をすれば一定の業務水準に到達でき、一定の成果を出せます。
さらに、PR会社の担当者の中には記者を育てようとする人もいます。記者の成長は、マスコミ各社のOJTや研修だけでは成立しないため、PR会社の優秀な広報パーソンの影響も大きいのです(もっとも記者経験もあるわたしにとって、記者側から見たPR会社の存在について色々と気になることはありましたが)。

実務代行の価値は理解しつつ、わたしは独立する際、「媒体側(記者経験)・受注側(PR会社)・発注側(広報担当者)の経験が武器になるとしても、知名度のほとんどない人間が実務代行の市場で生き抜くことができるのか?」という素朴な疑問を持ちました。

10年間をなんとか生き延びたいま、株式会社タンシキの「生命力」の源泉を考えるならば、以下の3点でしょうか。

生命力の源泉①
特徴的なサービス(実務代行を一切しない広報コンサル)
生命力の源泉②
サービスの対象領域や業種の柔軟な変化対応
生命力の源泉③
極めて暗黙的な支援内容による個別対応の積み重ね


生命力の源泉①
特徴的なサービス(実務代行を一切しない広報コンサル)


独立当初から、大きな会社にするつもりはありませんでしたが、3人の子どもたちが大人になるまではなんとか「生存」を続けなければならない。

そのためには、広報支援の非常に小さな市場の中で他社が提供していないサービスで戦っていく、唯一無二のものにできないかと考えていました。

そこで目を付けたのが、発注側にいた経験、すなわち一般的な広報支援会社には一切ノウハウのない「実務者としての実体験」です。

組織の中で各種広報活動のマネジメント・サイクルがどのように回っていくか、

何か新しいことを始めるためにはどのような根回しや稟議が必要になるか、

その前提として予算を取りにいく動きがいつ始まりどのような説得材料が必要になるか、

他部門に説明するための資料と経営層に説明するための資料はどう変えるか等々。

このようなクライアントの中で発生する様々な事柄の実体験を武器にして、「広報のマネジメント・コンサルテーション」という極めてニッチで、誰も手を付けていなかった領域を主戦場としました。


生命力の源泉②
サービスの対象領域や業種の柔軟な変化対応


しかし、あまりにもニッチですし、パッと買いやすいものでもないので、「きれいに商売が右肩あがり」のようなことはありません。

山あり谷ありの日々です。

わたし自身は、手応えがない時には
「なんで独立なんてしてしまったんだろう。自分には本当に向いていないのではないか」
という気持ちになることもあれば、
「めっちゃ楽しい!バイブスぶちあがる!最高!」
という日もあります。

一緒に働いてくれている従業員は、そんな浮き沈みを目の前で見ているので、とてもたいへんなはずです。
わたしのよき理解者ですね。

それはさておき、この10年間で、わたしたちのマネジメント・コンサルという軸は変わらないものの、対象の領域・業種などは常に変化してきました。

領域は広報活動全体や報道対応を中心にしつつ、その時々の状況・ニーズ変化に応じて、ESG開示や、社内広報や理念の改定・浸透、Webのガバナンス、危機管理広報など様々な領域のマネジメント・サイクルをよくするご支援をしてきました。対象も、民間企業から研究機関、自治体まで実に多岐に渡ります。すなわち、悪く言えば見境なく色々と対応し、良く言えば変幻自在に生き抜いてきたのです。

この背景には、わたしが様々な経験の中で、いわゆる報道対応だけでなく、理念浸透・組織開発や社内広報、IR・ESG開示や、危機管理広報に限定せずリスク・マネジメントに関わる機会があり、守備範囲が広かったことがあります。

ただそれ以上に、「小さな会社であること」を意図的に選んできたからこそ、柔軟に変化できたのではないかと思います。


生命力の源泉③
極めて暗黙的な支援内容による個別対応の積み重ね


対象の領域・業種に変化はあれど、独自性の高いサービスを提供しているため、自然とお付き合いの長いお客さまが多くなります。

独立直後からの継続的なお引き立てや、クライアントを通じたご紹介も少なくありません。

なぜお付き合いが長くなる、拡がっていくのか。

振り返ると、
「発注側(実務者)の立場だった時に、わたしみたいな存在がいたらどれほど心強かっただろう」
という想いに気づきました。

マネジメントの領域は基本的に社内で完結することが多い。

一方、自分たちの考えが妥当なのか、ほかの会社と比較した場合に自分たちはどの程度の水準にあるのか、皆目見当がつかないものです。

かといって他部門に相談するわけにもいかず、「実務代行」の人たちに相談しても、組織内部の“事情”に対するイメージが湧かないため「稟議とか内部調整って大変らしいですね」という返答のみ。

このように、広報の実務担当者は不安や手探りの状態で検討・業務遂行することが少なくありません。

この部分で外部目線の助言・支援が入ることで安心感を得られたり、成長意欲が刺激されたりしながら、成果につながる――わたしたちが提供しているサービスのベネフィットのひとつはこれだと思います。

実際にお客さまは、うまく言葉にできないようなモヤモヤがあるときや、輪郭がはっきりしていない課題が目の前に生じたときにお声掛けくださることが多い。

わたしたちは、不安や曖昧模糊とした状態のご相談をひとつずつ、丁寧に整理しながら解決の方策を見つけてきました。

いわば「個別対応の積み重ね」があるので、お客さまの中で「思考が止まってしまいそうなとき」にわたしたちの姿が脳内で浮かぶ。
あるいは、お付き合いのあるお客さまが、社内で別の部署やグループ会社から「思考が止まってしまいそうな相談」を受けた時も、わたしたちの姿が浮かび、「タンシキさんにとりあえず聞いてみたら」という言葉を出していただける。

だから、大半は「リピート」や「ご紹介」がきっかけでご縁をいただいているのです。

逆に言えば、わたしたちには「一緒に仕事をしてみないと良さも価値もわからない」という宿命があります。
極めて「暗黙的な支援内容」と言えるでしょう。

もしお客さまに株式会社タンシキの特徴は何かと問えば、答えは十人十色のはず。

ただおそらく、
「自分たち以上に、自分たちのことを考えてくれる」
ということは共通しそうです。

きっと、解決力や提案力、社内にはない着眼点・選択肢をもっている、メディアトレーニングの質が良い、他部門との連携が楽になるといった具体的な点を挙げていただけることもあると思いますが、それ以上に、“寄り添い方”のようなことが特徴と表現されるでしょう。


後編の予告


わたしたちの生命力に関するお話は以上です。
次回は、組織の生命力に話を転換し、広報と生命力の関係についてお伝えします。


最後に、今回の締めくくりとしてお客さまへの“寄り添い方”について一言。

わたしたちがとくに意識しているのは、「お客さまの心の中に答えがある可能性が高い」ということです。

お客さまの側で、その答えの輪郭がはっきりしておらず、うまく言葉・表現にならないために上司・社内で共通認識ができない、あるいは、その答えに自信を持てなかったりする場合が多いのです。

そのため、ご相談をいただいて考えられる課題やアクションを整理する際、わたしたちの「持論」や「サービス」ありきで、あるべき姿を提示することはありません。

他様な角度から様々な選択肢を提示し、お客さまと何度も問い直しながら、「成果物」を育てていきます。

結果として、お客さまの考えをうまく引き出すことができず、あるいは時に、コンサルティングがうまく行かずに歯がゆい結果になることもありました。

けれど後々、お客さまと面会する機会に「あの時はうまくはいかなかったかもしれませんが、当時の経験が成長のきっかけになっています」とのお声をいただくケースが少なくありません。

最終的に、問題・課題を本当に解決する・できる主体はやはりお客さま自身なのでしょう。

それでもわたしたちのマネジメント・コンサルは、お客さま個人の生命も、お客さまの組織の生命の存続にお役立ちしている。
胆力を伴う“胆識”(タンシキ)によって生命力を高められると信じ、“寄り添い”のポイントだと考えています。

次回もお楽しみに。




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