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忙しいのに何も終わらない日は、仕事が多いんじゃなく、切り替えが多かった

忙しく動き続けた日の夜に、ふと思うことがあります

「今日、結局何をやったんだっけ」

手は止まっていませんでした。

メールを返しながら資料を作り、チャットに答えながら会議の内容を聞いていました

なのに、完了したものが1つも思い出せない

こういう働き方は、たいてい「要領がいい」と評価されます。複数を同時に回せる人は優秀、1つずつしかできない人は不器用。自分もそう思っていました

むしろ、抱えている仕事が多い日のほうが、仕事をしている感覚がありました

画面をいくつも開いて、通知に即座に反応して、どれも止めない

忙しさと有能さが、頭の中でつながっていたわけです

でも、自分の時間を記録し始めて分かったことがあります

同時に進めていたのではありませんでした

ものすごい速さで、行ったり来たりしていただけです

今日は、その切り替えがどれだけ時間を食っていたのかを、実際の記録から出します

風呂の時間が、月19.4時間まで伸びていました

いきなり仕事の話ではなく、風呂の話から入ります

ある月、風呂の時間が月19.4時間まで伸びていました

1日あたりにすると、37分ほど

記録を見るまで、自分がそんなに長く湯船にいるとは思っていませんでした

原因はすぐ分かりました

風呂でスマホを触っていたからです

計算してみると、風呂だけに専念すれば3割、6時間近くが削れる余地として残っていました

正直、この数字を見るまでは逆の予想をしていました。風呂の時間にスマホを見ているのだから、その分どこかが浮いているはずだ、と

浮いていませんでした。スマホを見る時間も、別枠でしっかり記録に残っていました

はっきり言います

このとき自分は、風呂に入りながらスマホを見て、時間を得したつもりでいました

実際は、風呂の時間もスマホの時間も、両方が伸びていました

ながら作業は、片方を短縮しません。両方を膨らませます

切り替えは、思っているより重い作業です

なぜ両方が伸びるのか

理由は、切り替えのたびに、脳が2つの作業をやり直しているからです

参考までに、2001年のある研究でも、タスクを切り替える瞬間には目標を入れ替える手間がかかると説明されています

パソコンでアプリを閉じてまた開く動きに似ています

アプリそのものの作業時間は変わらないのに、閉じて開く時間だけ毎回かかります

風呂とスマホの往復で起きていたのは、これでした

湯船に浸かる、画面を見る、また湯船に意識を戻す

1回あたりは数秒でも、往復した回数だけ積み上がります

仕事でも、まったく同じことが起きています

資料を書いている途中でチャットが鳴り、返信して資料に戻ったとき、どこまで書いたかをもう一度読み直します

この読み直しが、アプリを開き直す時間です

30秒で返せるチャットのつもりが、実際には数分を持っていっている

しかも本人には、30秒しか使っていない感覚しか残りません

見えないのは時間ではなく、読み直しているという事実のほうです

やっかいなのは、切り替えていない時間まで削られることです

手をつけていない仕事も、頭のどこかで動き続けている感覚があります

時間の記録を取っていて一番驚いたのは、この「動いていないのに減っている時間」の存在でした

自分の場合は、同時に進めていたつもりでも、切り替えを増やしていただけでした

言葉だけだと伝わりにくいので、並べてみます

半日の使い方を、2つ並べます

同時に進めた半日は、資料を作りながらチャットを返し、会議を聞きながらメールを処理して、どれも7割まで進むけれど、夕方に「何が終わったか」が言えません

1つずつ終わらせた半日は、資料だけを作り、終わってからチャットをまとめて返して、2つが完了し、夕方に「これとこれが終わった」と言えます

進んだ量は、そこまで変わりません

違うのは、終わったものがあるかどうかだけです

7割まで進んだ仕事が3つある状態は、頭の中に3つとも居座り続けます

完了したものだけが、頭から出ていきます

だから同時に進めた日は、量をこなしているのに疲れが濃く残ります

仕事を持ち帰っていなくても、頭は3つぶんを抱えたまま家に帰っているからです

半日だけ、1つずつにしてみてください

いきなり1日を変える必要はありません

アプリを入れる必要も、周りに宣言する必要もありません

午後の半日、それも1回でいいです

STEP1 午後にやる仕事を1つだけ決める

3つ書き出して、1つに丸をつけます。残り2つは、今日の午後には触りません

選ぶ基準は重要度でなくていいです。一番集中が要るものを1つ、で十分です

STEP2 それ以外を視界から消す

チャットとメールのタブを閉じ、スマホは裏返して手の届かない場所に置きます

閉じるだけでは足りません。画面の端に通知が残っていると、そこに意識が引っ張られます

消すのは音ではなく、視界です

STEP3 終わったら、次に触れる

完了してから、閉じたものを開きます。終わらなければ、その日はそれで構いません

半日で確かめたいのは成果ではなく、自分が何回切り替えたがるかのほうです

記録するのは、決めた仕事、触りたくなった回数、終わったかどうか、やってみた一言の感想。これだけです

「触りたくなった回数」が、この記録の主役です

数えてみると、自分がどれだけ切り替えたがっているかが数字で見えます

行動は、意志ではなく置き場所で決まります

スマホを別室に置くというのは、我慢の話ではなく、配置の話です

管理職になってから、往復はさらに増えました

部下からの相談、チャットの通知、会議、自分の仕事。全部を同時に拾おうとすると、何一つ終わらないまま1日が終わります

部下の相談に「今聞くよ」とその場で乗って、資料に戻って、また別の部下から声をかけられて

気づくと、自分の仕事だけが手つかずのまま夜になっている。そんな日が、何度もありました

これも、同じ往復でした

相談に乗る能力の問題ではなく、いつ拾って、いつ拾わないかを、自分で決めていなかっただけです

自分で全部拾っていた頃ほど、何も終わらない日が増えていました

抱え込まないためにも、まず同時進行を減らすところからでいいと思っています

とはいえ、いきなり全部を1つずつにする必要はありません

やることは、1つだけです

今日の午後、仕事を1つだけ決めて、終わるまで他に触らないでください

半日試すと、自分が1日に何回切り替えているかが見えます

その回数を一度知ってしまうと、もう無自覚には戻れなくなります



似た場面で、こんなことも書いています。

自分がどうやって仕事の渡し方を変えてきたかはこちらにまとめています。
「自分でやった方が早い」その一言が、今のあなたの残業を作っています。


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