国家といふものー資本主義ゲームチュートリアル③
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伝え語り
はじめに
資本主義社会において、資本家はこの世界の主人公の地位を占める。それは彼らが手持ちの資産を資本という形で市場に提供することで雇用が生まれ、その労働によって社会全体にモノやサービスが提供されるからである。
資本提供とは、本質的には不確実性への賭けである。この賭けに継続的に挑む者が存在するためには、資本が報われる設計──すなわち、社会の構造そのものがその賭けを正当化するものでなければならない。
このような思想のもと、社会を円滑に運用するために資本収益率は経済成長率(労働賃金の伸び)より高く設定された。
トマ・ピケティ氏が過去の経済データの統計解析により見出した
$$
資本収益率(r)>経済成長率(g)・・・・(1)
$$
は社会設計上必然的に要求された事柄であった。
不等式(1)を維持するとは、「資本価値を毀損させない秩序」を恒常的に供給し続けることを意味する。しかし、これを不確実な市場において常時満たすことは、個人の努力や企業単体の判断では力不足であり、この構造を維持・強化し続ける巨大な装置が必要不可欠である。
このような背景のもと、資本主義経済を不等式(1)に従わせ続けるために登場する巨大な構造体──それが「国家」である。
資本主義のレンズを通した国家の姿
国家とは、単なる地理的区画でもなければ、文化共同体でもない。
現代における国家とは、資本の流通と蓄積を制度的に保証し、資本家が「リターンを得られる市場環境」を安定供給するための利益製造装置とも見做せる。
通常の国家には、法治国家として法律があり、その主権と独立を守るために軍事組織・警察組織があり、サービスや物の価値を評価・流通させるための貨幣があり、国民が法律を理解し、その下で生産活動を実施するために必要な技能を身に着けるための教育が施される。
これら国家の通常の営みは、一度資本主義のレンズを通すと次のように映る。
・法律とは、資本の保護と移動のルールである。
・軍事とは、資本の障害となる外圧を排除する装置である。
・警察とは、資本障害となる内圧を予防する装置である。
・教育とは、資本が必要とする人的リソースを規格化する工程である。
・税と通貨とは、資本の流動性を調整するためのポンプである。
国家の中核機能とは、資本を回転させ、利益を生成し続けるための構造維持にあるのだ。
すなわち、われわれが属している国家という仕組みは、「労働者の生活保障」ではなく、「資本家の利益維持」を主目的のひとつに設計されている。
この視座に立てば、以下のような事実も自然に理解できるはずだ:
株価を支えるための金融緩和(=資本保護)は迅速に実施されるが、最低賃金の改定(=労働保護)は遅れがちである。
法制度は資本の権利保護において精緻だが、労働者の時間の保護に対しては穴抜けが塞ぎ切れていない場合がある。
教育制度は「良い労働者を育てる」ことに重点を置き、「自ら設計する資本家」を育てることは少ない。
これが、国家=利益製造装置という見方の核心である。
国家はどのように機能するのか?
では、その装置はどのように動いているのか?
国民は駆動要素である
労働力として機構を稼働させ、納税や消費を通じてエネルギーを供給する。
つまり国家は、国民という動力があって初めて持続的に稼働し続けるのだ。政府はオペレーターである
装置の運転方法を決め、どのように資源を配分し、どの方向へ回すかを管理する。
法律や政策は、装置を効率よく稼働させるための操作マニュアルに相当する。資本家は所有者である
装置そのものを所有し、最終的な利益の受益者となる。
利益が資本に還流する構造を作り出すことで、装置は「資本の自己増殖」を目的どおりに果たす。
この三層構造によって、国家という装置は休むことなく稼働し続ける。
そして、その運転原理はあくまで「資本を守り、拡張すること」に特化しているのである。
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