テレワークゆり物語 (121)親の介護は保育園の恩返し
「おばあちゃんが、お母さんの保育園に同伴してたのと、逆転だね」
三歳の頃、私がせがんだので、母は私を保育園に入園させてくれた(その頃は専業主婦でも預けれたのかなぁ)。
でも、ワガママひとりっ子の私は、いざ保育園に行くと、大好きな母と離れたくなくない。
泣き叫ぶ私を置いて行けなかった母は、送った後も帰らず、ずっと保育園にいた。次の日も帰らずに、保育園にいた。毎日帰らずに、保育園にいた。そして、気が付いたら、保育園でアルバイトをしていた。笑
そんな『とんでも母』のおかげで、私は安心して保育園で過ごすことができた。
そして、半世紀以上の時が流れた。
心臓の調子が悪く、今週の月曜に退院したばかりの母。肩が凝っているので、デイサービスに行って、マッサージをしてもらいたい。しかし、体調が不安で、不安で、不安で、不安で、行く勇気がでない。
「やっばり、今日は休むわ・・・」「やっぱり、行こうか・・・」
入院以来、気持ちが落ちている母は、自分で決めることができなかった。
一日中、家のベッドに寝て不安がっているのはよくない。
「今日は、デイサービスに行って、マッサージをしてもらいや」と私が提案しても、希望は二転三転する。
正直、入退院や帰ってからの夜中の世話で、最近の私は、疲れ切っていた。イライラしていた。母への親切ではなく、投げやりな気持ちから、こう言った。
「もういい。私も一緒に、デイサービスに行けば、ええんやろ!」
今日は平日。仕事の予定がビッシリだ。
しかし、イライラが頂点に達しそうな瞬間、私は母の娘であると同時に、テレワークを推進する田澤由利であることを思い出した。
「デイサービスの施設で、テレワークすればええか」
デイサービスの車についていき、母がマッサージをしてもらっている「休憩室」で、仕事をする。なんとWeb会議まで始める。

施設の職員さんや、マッサージ師さんは、ビックリしつつも、「椅子ありますよ」「机使いますか?」「ドア閉めましょうか」と協力してくれた。なんとありがたいことか。
そんな『とんでも娘』のおかげで、母は安心してデイサービスで過ごすことができた。
その様子をLINEで娘たちに報告したところ、長女が冒頭のメッセージを送ってくれた。
「おばあちゃんが、お母さんの保育園に同伴してたのと、逆転だね」
そうか、これは、保育園のときに母がしてくれた事への『恩返し』なんだ。
そう思うと、大変だ大変だとイライラしていた気持ちがスーっと楽になった。
帰りの車の中、長女がこう言ってくれたよと母に伝えると、
「そんな事もあったなぁ」と、嬉しそうに笑った。
#冒頭の写真は、保育園の頃の唯一の写真(右端が私)
