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ある日、一番弟子がいなくなった(第三話:現場デビュー)

第二話はこちら。

📌第三話:現場デビュー📌

🔶ナカノ、現場へ

ポーカーゲームが一段落したあともラズパイ(手のひらサイズの小型コンピューター)をおもちゃに遊ぶなどして、ナカノは技能を高めていった。人間との接触に慣れてきたのか、意思の疎通も少しずつとれるようになり、筆者はこれなら外へ出ても何とかなるだろうと太鼓判を押した。

仮にもIT現場監督である筆者の後押しを得たことで、ナカノは晴れて社外の案件にアサインされた。弊社にて長老と称されるベテランのもとでの修業である。長老はコテコテの大阪オヤジで死ぬほど口が悪いのだが、心根はとてもやさしい。いいところに決まったな、と思った。

社内での教育担当という任は終えたものの、メンターとしての役割は続いていた。定期的に連絡をとって様子をうかがっていたが、長老にビシバシとしごかれながらも充実した日々を送っているようだった。よきよき。

🔶ナカノともうひとりの新人

なお、ナカノの現場にはもうひとり新人がいた。こいつは大卒を鬼のように敵対視する専門卒の学歴コンプ民で、自己評価は一国の宰相レベルながら実力は万年素人というすさまじい地雷だった。ナカノも挨拶を無視されたり、自身の成果物を横取りされたりと、散々な目に遭ったようだ。

筆者はなぜか奴のメンターも担当することになり、以後さまざまなトラブルに見舞われていくのだが…それはまたいずれ語ろうと思う。率直に言って、吐瀉物を処理した雑巾のような野郎だった。

🔶ナカノ、チーム松田へ

それから約半年ほど経った頃、顧客の予算都合で、ナカノと吐瀉物を処理した雑巾野郎のいずれかを終了させることになったと営業から連絡があった。何とかならないかと相談され、運よくうちの現場で追加枠がとれそうだったので、1名を引き取ることにした。

両者のメンターとして、前者はコミュ力、後者は技術力に問題があるとみていた。この場合、どちらを優先するかというと、圧倒的に前者になる。まずは能力優先。少々ヘンテコであろうが、それをどうにかして戦力化するのがIT現場監督の仕事だ。このあたりの詳細は以下の記事を参照のこと。

よって、引き取るのはナカノ一択である。いくら吐瀉物を処理した雑巾野郎がアレな人間であっても、ここでの判断に私情は挟んでいない。単に、うちの現場にはナカノのほうが適性があるというだけのことだ。

しかし、いくら筆者のバーター(抱き合わせ)とはいえ、見るからにヤバそうな奴が来たぞ…と思われては今後に差し障る。チーム松田はスマートでなければならない。定時後に現場近くの王将でナカノと面接の対策を重ね、万全の準備を整えた。

当日は大汗をかきながらカタコトの日本語で必死に話すナカノをほほえましく見守っていた。先方の担当者にも、真面目そうな人ですねと好意的な意見をいただき、すんなり参画が決まった。

正直、これはほとんどすべて筆者の威光によるものなのだが、首を垂れる稲穂につき、そんなことは思っていても言わない。思っとんのかい。

第四話へ続く。

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