失恋した僕が、マルチ商法に勧誘されかけた話
失恋し、出会いを求めて新橋へ
これは自分が27歳の時の話です。
5年付き合っていた彼女に振られました。
5年は長いですよね…
かなり凹んでました。
この時の失恋については、以前こちらの記事に書いています。↓
当時の僕は、とにかく新しいことをしたかった。
新しい出会いが欲しかった。
そんな時に知ったのが、新橋にある1杯300円で飲める立ち飲みバー。
いわゆるナンパスポットとして有名なお店です。
僕はナンパなんてしたこともありませんでした。
が、この時はフラれたことを忘れるために
とにかく思い立ったら行動!
と、勢いに任せてお店に行ってみました。
「気さくな兄ちゃん」との出会い
立ち飲みバーで20時を過ぎた頃。
店内もだんだん混み始めた時に、ふと目に入ったのがやたらニコニコしていて話しかけやすそうなお兄さん。
年齢は自分より10歳くらい上だったと思います。
ひょろっとした体型だったので、この記事では「もやし兄さん」と呼ぶことにします。
勇気を出して話しかけてみるととても気さく。
「最近5年も付き合ってた彼女に振られちゃって…」
「出会いが欲しくて…」
と、自分の失恋トークで盛り上がりました。
「もう一軒行こうよ!」
という流れで別の立ち飲み屋へ。
次の立ち飲み屋で知り合った女の子とも会話が弾み連絡先まで交換。
その日は本当に楽しくて
「こんな場所があるんだ。」
「なんか人生楽しくなるかも!」
そんな風に思っていました。
でもこのもやし兄さんとの出会いが、
僕がマルチ商法に近づいてしまうきっかけでした。
ちなみにこの時の僕は、マルチ商法という存在をほとんど認知していませんでした。
言ってしまえばカモですね。笑
セカンドコンタクト
翌日、もやし兄さんからLINEが届きます。
「今度ラーメンでも食べに行こうよ。」
彼女もいないし時間はたっぷりあります。
二つ返事でOKしました。
ラーメンを食べながら他愛もない話をしました。
その話の中で、
「ともきちくん、出会い欲しいんだよね?」
「今度100人くらい集まるパーティーがあるんだけど、来ない?」
とお誘いを受けました。
彼女もいないし時間はたっぷりあります。(二回目)
喜んでOKしました。
100人規模のパーティーで広がる人脈
2~3週間後。
パーティー会場に到着しました。
おしゃれなレストランを貸し切っている感じでした。
パーティーといってもかなりカジュアルで、服装もみんなラフです。
立食形式で、ビュッフェ料理を自由に取っていくスタイルでした。
「すご……!」
こんな大勢が参加するパーティーに参加するのは人生で初めて。
完全にテンションが上がっていました。
乾杯の前に一人の男性が前へ出て何かを話すようでした。
メガネをかけたシュッとした雰囲気のお兄さん。
ここでは「メガネ兄さん」と呼ぶことにします。
何を話していたかはほとんど覚えていませんが
「仕事のモチベーションを上げよう」
「人との繋がりを大事にしよう」
みたいな話だった気がします。
正直その時の僕は、
「話、長いなぁ…」
くらいにしか思っていませんでした。
そのパーティーで、自分より2つ年下の可愛らしい女の子とも知り合いました。
ディズニー好きだと言っていたので、ここでは「D子」と呼ぶことにします。
先に言っておくと、D子はマルチ会員ではありません。
僕と同じように誰かに誘われて参加した側の人でした。
他にもいろんな人と話して、本当に楽しかった。
新しい出会い。新しい環境。
「あの日、もやし兄さんに話しかけて本当に良かった。」
心からそう思っていました。
「将来の夢ってある?」
数日後。またもやし兄さんから、
「また今度お茶でもしようよ~。」
彼女もいないし時間はたっぷりあります。
もちろん行きました。
場所はタリーズコーヒー。
何気ない雑談をしていた時、もやし兄さんが突然こんなことを聞いてきました。
「ともきちくん、将来の夢ってある?」
当時は何とも思いませんでしたが、今考えると、大人同士の会話の中の質問としては結構不自然です。
僕は、そんな質問の答えなんて特に用意していないので、
「結婚して普通にお金に困らず生活できれば…」
そんな無難な答えをしました。
そこから自然とお金の話になっていき、
「良い本があるから読んでみて!」
と、ある書籍を紹介されました。
『金持ち父さん 貧乏父さん』です。
後から知ったのですが、この本はマルチ商法の勧誘で紹介されることが多いそうです。
当時の僕は素直に買って読みました。笑
その結果、僕は資産運用に興味を持つことができたので、読んで良かったとは思っています。
資産運用を始めるまでの話はこちらの記事に書いています↓
パーティーは一度では終わらなかった
『金持ち父さん 貧乏父さん』を読み終えたあとも、もやし兄さんとの付き合いは続きました。
30~50人ほどが集まるパーティーにも何度か参加しました。
相変わらず雰囲気は良く、毎回いろいろな人と話せて本当に楽しかったです。
D子とも何度か顔を合わせるようになり、たまに少人数で飲みに行くこともありました。
僕は
「このコミュニティめちゃくちゃ居心地がいいな。」
と、本気で思っていました。
ある日のパーティーで、もやし兄さんが笑いながら言いました。
「ともきちくんもこっち側やってみる?w」
こっち側というのはパーティー主催者側の意です。
冗談っぽい言い方だったので、僕も笑って流しました。
でも今思えば、僕の反応を見ていたのかもしれません。
「会わせたい人がいる」
そんなある日、もやし兄さんからまた連絡が来ました。
「今度、尊敬してる人に会わせたいんだ。
いい話聞けると思うけど、どうかな?
俺はその人に会って人生変わったからさ。」
正直、あまり気乗りはしませんでしたが、断る理由もないので会ってみることにしました。
彼女もいないし時間はたっぷりあるので…。
待ち合わせ場所に着くと、一台のベンツが停まっていました。
車内にその「尊敬してる人」がいるようです。
「ほら、ベンツだよ!」
と、もやし兄さんはなぜか誇らしげでした。
そして運転席を見ると、最初のパーティーで乾杯前の話をしていたあのメガネ兄さんでした。
助手席に乗ると、メガネ兄さんが話し始めます。
「人生は目的地を決めることが大事なんだ。」
「目的地まで歩いて行く人もいれば、飛行機で行く人もいる。」
「まずはどこへ行きたいか決めよう。」
そんな話を20〜30分ほど聞かされた気がします。
当時の僕は、
「へぇ〜。」
くらいの感想でした。
自分はあまり意識高いタイプではないから、こういう話は刺さらないのかもなぁ。
…なんてちょっと冷静な自分がいました。
話が終わると、
「じゃあ予定あるから。」
と言って、そのままベンツで帰っていきました。
僕は疑問に思いました。
「…今のは何の時間だったんだろう?」
僕の中で少しずつ違和感が芽生えていきました。
積み重なっていく違和感
数日後、またもやし兄さんから連絡が来ました。
「今度みんなでマネーゲームやるんだけど来ない?w
ゲームしながら経営のことが学べるよ。」
彼女もいないし時間はたっぷりあります。
…
でも、この時は理由をつけて断りました。
少しずつこのコミュニティの違和感が大きくなっていったからです。
とはいえ、この時点ではまだ僕は、マルチ商法のコミュニティだとは思っていませんでした。
「ちょっと意識高い人たちの集まりに疲れてきた」
そんな感じでした。
D子が教えてくれた真実
そんなある日。
D子といつものように飲んでいた時のことです。
何気なく例の集まりの話になりました。
するとD子が
「実はさ……」
と切り出しました。
「あの集まり、ちょっと怪しいやつっぽいよ。」
「え?どういうこと…?」
思わず聞き返しました。
D子が知り合いから聞いた話では、あのパーティーはマルチ商法の会員が人脈を広げるために開いている集まりらしい…
とのこと。
言い方を変えると、
新しく会員になってくれそうな人を探している場
ということです。
「あ……そういうことだったのか。」
D子からは組織の名前も聞きましたがここでは書きません…。
割と大手だと思います。
振り返れば、全部伏線だった
その日から、僕はもやし兄さんのお誘いを断るようになり、次第にお誘いも来なくなりました。
今になって振り返ると、違和感は最初からありました。
立ち飲み屋で知り合って、早すぎる次のアポ。
「将来の夢ある?」という不自然な質問。
「こっち側やってみる?」というお誘い。
ベンツで現れたメガネ兄さん。
そしてマネーゲームへの誘い。
当時の僕は、マルチ商法というものをほとんど知りませんでした。
だから全部「たまたま」だと思っていたんです。
知らないというのは、
本当に怖いことなんだなと実感しました。
一番ショックだったこと
5年付き合った彼女に振られて、かなり凹んでいたあの時、僕はもやし兄さんと知り合って救われました。
これは間違いないです。
でも、
立ち飲み屋で話を聞いてくれて、
ラーメンに誘ってくれて、
色んな人を紹介してくれたこと。
全て善意でやってくれてたわけではなかったのです。
いや、多少善意はあったかもしれませんが、少なくともマルチ商法に勧誘することが目的の一つだったわけです。
そう知った時は悲しかったです。
信じていた人に利用されていたんだな、と思いました。
D子も
「このことを知った時、泣きそうになった」
と言っていました。
でも、この出会いが今の家族に繋がった
……とはいえ
人生は本当に不思議です。
もやし兄さんに誘われた場で知り合ったD子と
その後も交友関係は続き、
恋愛関係に…
なることはありませんでした。笑
でも、D子経由で知り合った人が今の妻なんです。
つまり、新橋の立ち飲み屋でもやし兄さんに話しかけていなかったら、今の妻とは出会っていなかったということです。
もう一度あの頃に戻れるとしても、マルチ商法には近づきたくありません。
この出来事でマルチ商法への嫌悪感も増しました。
でも、マルチ商法が無ければ今の妻とは出会えなかった。
そう考えると、
とても複雑な気持ちではありますね。
最後に
今回の一連の出来事で痛感したのは、
「お金に困っている時」だけではなく、
「弱っている時」も狙われることがある
ということです。
当時の僕は、お金が欲しかったわけではありません。
ただ、失恋した寂しさを埋めたかった。
新しい友達が欲しかった。
その気持ちに、もやし兄さんは自然に入り込んできました。
向こうからすれば、
「何かを変えたいと思ってる傷心中の若者」
なんて絶好のカモだったんでしょうね。
一方で、この出来事が巡り巡って今の妻との出会いにつながったのも事実です。
だから今では、この一連の出来事も決して無駄ではなく、自分の人生にとって大切な経験だったと思っています。
