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寺田和代「本と歩く アラ還ヨーロッパひとり旅」 第7回 バルカン後篇〜ドゥヴロブニク、コトルから再びザクレブへ(9)

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(9)ケ・セラ・セラ、生まれ変わるならまた私だね


帰国までの3泊4日。ドゥブロブニクで再び1泊し、翌日の国内線でザグレブに戻り旅の最後の2日間を過ごした。心身に余裕を持って帰国するつもりで立てた計画に、怪我を負った今は切実に助けられた。

バルカン地方(地図製作:三月社

数日前にすたすた歩き、今度は骨折の足でおずおずめぐったドゥブロブニクの城壁では、階段や段差にぶつかるたび誰かが声をかけてくれ、時には手を貸してくれた。人に助けられながらも旅は続くというしみじみした感慨と、出合う景色のいちいちに不自由なく動けた時には得られなかった旅の複雑で繊細な味わい深さを覚えた。老いや衰え、不自由をお供に歩くこの先の旅の醍醐味はそこにあるのかも。

総督邸前を通りかかった時に聞こえてきた男女混声合唱の響きに思わず足をとめた。欧州の多くの街々で見てきたように、ここクロアチアでも街かど街かどに音楽があり、街と暮らしと人生に音楽が根付いている。隣の女性に尋ねると、いくつかの市民グループが交代で旅行者や市民に歌声を披露しているという。
何曲かのクラシック曲を聴いたあと、再び歩き出した背後から聴こえてきたのは「ケ・セラ・セラ」だった。
ケ・セラ・セラ、生まれ変わるならまた私だね ♪

総督邸前の市民混声合唱団。去り際に聴いた「ケ・セラ・セラ」が今も耳に残る
ドゥブロブニクで最後に歩いた小径


バルカン後篇(10)へつづく

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