ついに、ゼロへ。昔ばなし。
最終話です♪
第1話
第2話
「いらっしゃいませ。」
小さな薬局。
冷蔵ショーケースから、いつもより少し高めの栄養ドリンクを手に取り、レジへ。
支払いを済ませ、その場でフタを開けて飲む。空ビンを専用のごみ箱へ入れて店を出る。
気づけば、毎日の習慣になっていた。
これを飲んだからといって、何になっているのだろう?という思考が横切るが、飲まずにはいられない。コーヒーと同じくらい常飲する飲み物。
水でもなくお茶でもなく、栄養ドリンク。
この時、すでにハルは壊れかけていたのかもしれない、、、と今は思う。
出張から帰ってきた翌朝から別の地方へ出張ということもある。出張帰りの翌日は休日というのが基本だけど、その休日はほぼ泥のように眠るだけで時間が過ぎていった。
Tさんがいる支社の管轄内もなかなかハードだったものの、大好きなTさんに会えるからまだ救われていた。
JR、新幹線、飛行機、バス。いろんなもので移動した。
よく乗っていたJRは、海沿いを通る場所が多い。
左右どちらかに海が広がり、反対側は山。
何度もトンネルをくぐる。
ガタンゴトン‥ガタンゴトーン‥ガタン‥
途中の小さな駅で、反対方向から来る列車を待つため、しばらく停車することがある。
山側の座席。
ふと山の斜面の上のほうを見ると、小さな集落が見えた。
数えるほどの民家が寄り添うように佇む、斜面の村。
下から集落へ伸びる細い階段が見える。
その階段がズームアップしてくる…
オレンジ色の空。
一日の労働を終え、でこぼこした細い階段を一段一段上りながら、嬉しい気持ちが込み上げる。
あと少し、あと十数段上れば、家人が待つ我が家に着く。
家々から、夕餉の香りがただよう。
自家製の野菜たっぷりの鍋がくつくつと音を立て、湯気と旨そうな匂いが漂う。
そろそろ帰り着く頃だろう。よそうお皿を並べておこう、と思ったその時、
ギィー‥
台所横の勝手口が開き、お隣の奥さんが覗いた。
「これたくさん釣れたから、よかったらどうぞ」と、勝手口から差し出してくれたのは、新鮮なイサキ。
ありがたくいただき、きっと晩酌のあてに喜ぶだろうと、捌いて刺身にした。
急に窓の外が真っ暗になる。
トンネル突入。
列車がいつ動き出したのかも気づかないほどの妄想。
妄想は中断したものの、あの集落で暮らした一瞬のシーンは、ずっと残った。
まるで自分の過去の記憶みたいに。
目的の駅に到着。いつものように自分チェックしながら脳内シミュレーションを繰り返し、絶好調で歌うように、自動で進む一日の中にいた。
その日は来店数の多い店舗だった。
施術の予約が詰め詰めに入っている。
突然、担当の営業さんがやってきて、
店主とハルに伝えた。
Tさんが現場で倒れた。
何を言っているのか意味がわからない。
あんなにキラキラに輝いて、いつも笑っているTさんが、倒れた??
現場で倒れた瞬間の映像が、繰り返し脳内で再生される。
お風呂でローソクを置いて瞑想するTさん。
高額な滋養強壮剤を常飲するTさん。
これ以降の記憶が、正直途切れている。
断片の記憶はあるけど、適当には書けない。
「ハルは、可哀想だよな」
ハルの中で、
それまでとても強く握っていたものが、この前後で溶けていった。
でも、溶けだしたら一瞬だった。
輝いていたはずのTさんが倒れた。
Tさんに憧れていたハルは「可哀想だ」と言われた。
そしてその後、ハルも壊れた。
体調の異変を感じて、滅多に行かない大嫌いな病院へ行った。
何ページも、あり得ないほどの問診を受けた。先生が結果をグラフにして見せてくれた。「普通」の範囲から、驚くほどかけ離れていた。
「そんなはずはないでしょ」って、もう一回‥と思ったけど、そんな気力はとてもない。
もう、どーにでもしてくれッ。
そんな気分だった。
自分が求めていたもの、楽しいと感じていたもの。
ここでハルはもう全部わからなくなり、全部捨てよう、「白」になろうと決めた。
ただの職業上の話じゃない。
人生をリセットするぐらいの転換だった。
そして、
自分の身体も、心も、
世間との向き合い方も、
一旦、ゼロ。
ぜーんぶ、白にした。
しばらく、無のような時間が続いた。もちろん何も起きなかったわけじゃない。感情を刺激してくるようなことも、あれこれ起きた。
ビックリされたし、あれこれ言ってくる人もいた。腫れ物に触るように接してくる周囲にも、ちょっと疲れた。
病院がキライ。なのに病院に行かなくちゃいけない日々。
正直、この期間の記憶が薄い。
たぶん、薄皮を剥ぐように、あの集落の中にいた自分に戻る期間だったんじゃないかと、いまは思う。目の前のことだけが見える世界に。
やるべきことをことごとく削除して、自分のバランスを整えるだけで精一杯だった。
自分は、ものすごく大きな「何か」に寄りかかっていたんだなあって感じた。
憧れて追いかけていたつもりのものは、無かった。いや、あったけど、幻のようなものだった。
Mさんの「可哀想だよな」の意味が完全にわかったわけじゃない。Mさんとはその後そのことについて話していないけど、確実にハルのフックになっていた。
もし神様がいるとしたら、「もう十分楽しんだでしょ、そろそろ戻りなさい」って言ったようにも感じた。
自分も壊れてしまったケド、当時の思い出は宝物でもある。
Tさんのことも、Mさんのことも、会社の同僚たちも、会社も、出逢った人たちすべて、今でも大好き。
もう関わることは無いだろうけど、温度はちゃんと繋がってる。
引いて引いて引いて、
完全ゼロになった結果、
なーんも問題ナイっ♪
て、ことになってた。
そうやって、
今のハルになった。
エッセイしりとり、2周目が回ってきた。
お陰で、ちょっと書くのが重かった第3話が書けました♪感謝☆
バトンを回して下さった工場長の記事↓
マイキーさんのエッセイしりとり企画記事↓
ホントはバトンを3人に回すようなのですが、前回忘れてて、、(そもそもバトンだってことも忘れてた!笑)
今回は3人の方にお願いしてみます♪
もちろん、受け取るかどうかは自由です☆
お一人目は、百合子さん。
エッセイは普段から書かれてるし企画リンク貼ればできそうな…(コラッ)
ただ、リクエストしていいのなら、ハルと同じ自伝エッセイがいいなっ♪笑
どうやって、百合子ワールドが出来上がったのか?とかいかがでしょうか?知りたい方イッパイいると思うのです☆うわ~書いて欲しいな~♡
お二人目は、クリエイター図鑑をとても楽しんで下さった大島さん♪
大島さんも普段から小説やエッセイを書く方なので、それこそリンク貼るだけで出来そうですから(コラッ笑)
リクエストしていいのなら、やっぱり同じ自伝エッセイがいいですっ♪確か美人の奥さまとの結婚の許可をもらう記事とかサイコーに美味しかったから、あんなのを♡(コラコラ笑)
最後は、三野瀬さん♪
でもな~三野瀬さんはたまにしかnote降臨なさらないからな~、とは思うけど、やっぱり自伝エッセイが読みたい♪(え、自伝縛り?笑)
そう、結局ハルは「自伝」が読みたいのです。笑
この方が、どうやってこの方になったのだろう??って一番読みたいんですよ。特に推しさんの方々のが。
という事で、ハルのタイトルが「ついにゼロへ。昔ばなし。」だから、
書いて下さるかたは、タイトルの頭文字を「し」からお願いします♪
皆さん、お忙しいでしょうから、無理はなさらなくて全然大丈夫ですからね♪ もし、書いていただけたらすっ飛んで読みにいきますっ☆笑
なんか重いの降ろしたらスッキリしたっ♪笑
さ、回遊しよ~♪笑
企画の詳しいことはこちらを♪↓
