誰かの役に立ちたい
ポチと話した翌日。
ぼくはひとりで、村の中を歩いていた。
噴水の音。
鳥の声。
どこかから、
楽しそうな笑い声。
少しずつ仲良し村の雰囲気に
溶け込めてきてる気がした。
でも ───
歩きながら、
初めてここに来た日の
あの気持ちが戻ってきた。
「なんでこんなに不安なんだろ・・・」
カフェの前では、リスさんが笑顔で
お客さんに飲み物を運んでる。
花屋の前では、うさぎさんが
笑顔でお客さんと話してる。
みんな、何かをして、
誰かの役に立っている。
「ぼくは……何ができるんだろう。」
気づいたら
心の声が、漏れていた。
飛べない。 目立てない。
得意なこともわからない。
役に立てないのに
ここにいていいのかな。
そんな不安が、 じわじわと広がっていった。
図書館の前を通りかかったとき、
突然声をかけられた。
「困った顔をしているねぇ。」
少し眠たそうで大きな丸い目。
ふわっとした羽。
どことなく懐かしさを感じる声。

その声に不思議と
ぼくは思っていることを聞いていた。
「ぼくだけ……
誰かの役にも立てていない気がして。」
フー先生は、うんうんと頷いた。
「中に入るかい?」
図書館の中は、
本のにおいがした。
どこか、時間がゆっくり流れているような
落ち着いたにおい。
ぼくは小さな椅子に座って、
少しだけ話してみた。

「みんな、何かができて、誰かの役に立っていて。
ぼくだけ、何もないんだ。」
「誰かの役に立ててないのに、
ここにいていいのかな…って思って。」
ぼくの質問に
フー先生はこう質問してきた。
「役に立つとは、どういうことだと思うんだい?」
そう聞かれて
ぼくは、言葉に詰まった。
誰かの力になること?
何かができること?
必要とされること?
「……わかんないや…。」
フー先生はゆっくりと話し出す。
「ペンちゃんがここにいていい理由と、
誰かの役に立つということは
別のことだと思うよ。」
……どういうことだろう。
役に立たない存在に、
ここにいる意味ってあるのかな。
でも、フー先生はそうじゃないと
言ってる気がした。
答えは出なかったけど
何かが心に引っかかった。
図書館を出ると、 聞き慣れた声がした。
「ペンちゃーん!」
ポチが、しっぽを振りながら走ってくる。

「一緒に遊ぼ!」
ぼくは、少しだけ微笑んだ。
役に立てているかどうかは、まだわからない。
でも、ポチはぼくを見つけて
名前を呼んでくれた。
それだけで、
少し胸があたたかくなった。
── 第7話へ続く ──
役に立てないと不安になること
ありますよね。
私もずっと同じことで悩んでました。
でも、自分が存在することと
誰かの役に立つことは別のことだと
今は思ってます。
このお話を読んで、
どんな気持ちになりましたか?
「役に立てないと不安」と感じたことは
ありますか?
よかったら、コメントで教えてください。
次のお話は、
「期待されないと楽になる理由」です。
ペンちゃんが、役に立とうとしすぎていた
自分に気づく物語です。
仲良し村の続きは、
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