ナナニジ3期生・22/7_the 3rdはいかにして“歌うま”グループとなったのか③ 2期生の辿ってきた道
アイドルグループ・22/7(ナナブンノニジュウニ)の3期生8人によるユニット・22/7_the 3rd(ナナブンノニジュウニ ザ・サード)が、今とにかく熱い。個々の力強い歌唱を押し出したスタイルは従来の22/7(通称・ナナニジ)のイメージを大きく覆し、新風どころか嵐を巻き起こしているのである。
ナナニジ3rdという、歌に力を入れたグループはどのようにして生まれたのか。前回の記事では、先輩メンバーに既に起こっていた変革をその背景として挙げた。
今回注目するのは3期生の一つ先輩、2期生がデビューからどのような道を辿ってきたか、どのような環境に置かれていたかである。2期生と3期生は、比べれば比べるほどその対照的な姿が見えてくる。3期生の方向性について考察するうえで、どうやっても無視することのできない存在だ。
デビュー年の2期生
ナナニジ2期生は2021年12月11日加入、翌年2月27日のお披露目配信を経て、3月10日からは先輩たちと同じステージに立つライブツアー『14』がスタート。その後も夏にライブツアー『ナナニジ夏祭り2022』、10月には3公演で全楽曲を披露する『ANNIVERSARY LIVE 2022』を行った。早くから実戦に投入され、先輩たちに必死についていくことを要求された。
このときの2期生の扱いは、今にしてみれば「ナナニジのライブ活動を途絶えさせないための存在」とでもいうような、非常にキツいものだったように思う。
最近になって、本人たちの口からこの時期の過酷さについて語られるようになったのだが、特に『ANNIVERSARY LIVE 2022』での全曲披露は想像を絶するものがあったようだ。
ダンスに注がれたリソース
そんな2期生たちが重点的に取り組んでいたのがダンスだ。先輩たちに混じってライブを行っていくうえで、最も求められるスキルがそれだから。視覚的な要素というのは一番目立つうえに、誤魔化しが効かないのである。
その一方で聴覚的な部分、特に歌については蔑ろにされていたのではないかと思う。ダンスの負担について配慮されたからなのか、ナナニジは彼女たちの加入のタイミングから、単独公演においての歌の“被せ”が非常に強くなった。
“被せ”の強かった期間
やや横道に逸れる話。
2期生のデビュー年である2022年の単独公演と、2023年11月の『ANNIVERSARY LIVE 2023』から翌2024年の単独公演までが被せの強かった期間。
実はその間にはほぼ生歌でやっていた期間もある。2期生の定期公演と『ナナニジ夏祭り2023』だ。これらはメンバー構成が変則的だったり、急に数が減ったりして、被せ用の音源が準備できなかったからではないかと思われる。しかし、『ANNIVERSARY LIVE 2023』では新たにレコーディングするなどして再び被せを強化した。
2025年、西條和の卒業が決まったタイミングで再び被せは弱まっていき、現在はほぼ生歌のパフォーマンスとなっている。これは前回の記事で述べた“変革”と関連がありそうだ。
おまけの話として、2025年8月28日の『西條和 卒業コンサート 〜存在の証明〜』では、単独公演で長らく使用されていたヘッドセットマイクではなく、グループ初期のようにハンドマイクへと回帰している。これは西條の意向だったとのことだが、それ以降もハンドマイクが再定着したのは現在のナナニジを語るうえで外せない要素である。グループとして歌というものに向き合う、そのための追い風となる体制ができた。
ステージから歌を届かせる力
被せ強化期間が本当に2期生への配慮からのものなのかは分からない。しかし、こういった期間の存在がメンバーの生歌パフォーマンスの感覚を奪っていたのは否めないと思う。
もちろん、2期生は個人単位では歌を頑張っていた(はず)。苦手としていたところから目覚ましく上達したメンバーもいる。しかし、全体的に見て、ステージの上で力を発揮する、そのためのスキルが育たなかったように思う。例えばマイクへの声の乗せ方とか、どれだけ意識されているのかと疑問を抱かせることが多い。
生まれてしまった“差”
2期生の歌に感じられた物足りなさは、3期生の歌唱を耳にするようになってからより目立って見えた。
両者はまず、声の出し方から違うという印象だ。3期生はオーディション内でのレッスンの様子が公開されているのだが、その頃から強い発声を意識づけられ、叩き込まれてきた。
そしてデビュー後の3期生は、ライブでは被せなど無用の完全生歌でここまで戦ってきた。
環境の違いは、決定的な差を生んだ。
2期生だけに限らず、1期生と合わせた先輩メンバーとして見ても、もはや歌唱力では3期生=ナナニジ3rdに太刀打ちできない。そんなところまで来てしまっている。
強烈なカウンター
2期生は実戦に放り込まれる中で強くなっていった……と言えば聞こえがいいが、実際はダンス一辺倒となってしまい、歌には力を入れられず、演技レッスンも後回しになっていた。
一方の3期生は基礎からバランス良くみっちり時間をかけて叩き込まれた。その育成過程は見事なまでに対照的だった。
運営サイドが2期生でのやり方を“反省点”としたのか、それともただ単にまったく違う性質のものを生み出したかっただけなのか。どちらであれ、今回の3期生の育成は見事なものだと思う。2期生の、いや先輩メンバー全体に対しての強烈なカウンターとなる存在の誕生に筆者は今、新たな希望を感じてやまない。
