【短編 童話】第十四章『晴れの日 太陽に向かって』| 落ちこぼれ魔女ターナ
ある日、突然の奇跡
森のなかにある湖畔で遊ぶ
ターナとシエラ、ケンの三人は
春という季節を満喫していた。
四月も下旬になると
氷に閉ざされた湖面の氷も溶けて
水鳥たちが飛来する。
眩い日差しがキラキラ反射して
暖かくなった季節の森の木々に
新しい萌葱色の新芽が芽吹く。
火を起こし紅茶を淹れるターナ。
シエラとケンはサンドイッチを
作り用意を始める。
「いただきまーす」
三人は空かせた腹を満たすべく
できたての食事を愉しんだ。
ひと休み、おしゃべりを始めると、
ターナの頭の上にハラリとひとつ
水鳥の羽根が舞い降りた。
その羽根を手に取り小首を傾げて
ターナは太陽に向ける。
ピンと来たターナが声をあげる。
振り向くシエラとケンの二人に、
その羽根を示してひと言告げた。
「今なら飛べるかも!!」
あわてて立ち上がり
持ってきた箒に跨がるターナ。
一心不乱に呪文を詠唱する。
「箒、持ってきたの!?」
驚くケン。
「なんで? そうなるの!?」
シエラの問いにその羽根を見せて
ターナは、こう言った。
「コレ! ゼフィロスのメッセージ!」
「イヤだな。ただの羽根だよー」
チラッとケンを見たターナは、
また一心不乱に呪文を詠唱する。
静けさのなか、空気の流れが変わった。
ターナを中心につむじ風が集まって
渦はザワザワとうごめいていく。
若葉がそよぎ、草花が風に揺れる。
集中して黙るターナと緊張する二人。
その緊張感がエスカレートして
目をつむっていたターナがひと言。
「飛べ!!」
ビュンと跳ね舞い上がるターナ。
驚くシエラとケンが悲鳴をあげた。
「飛んだ!?」
「ウソでぇ――ッ!?」
頭上に飛び上がったターナが
クルクルとキリモミ状態のまま
あっという間に湖に墜ちた。
ドボ――ン!
顔を見せてターナがひと言。
「あ〜〜ん、ずぶ濡れ!!」
シエラとケン。
二人が顔を見合わせて頷く。
声を揃えて
「やっぱりね」
モルガナの住む湖畔の森の古城。
次の満月の夜、
ヴァルプルギスの夜に備えて
着々と準備を進めるモルガナ。
捕らわれていた豚が一匹、
哀しげに鼻を鳴らしていた。
鴉たちは犠牲となるその運命を
知っているかのように、
憐れみの鳴き声を残して飛び立った。
<#19 The Sun: Rev.>
つづく
Edvard Grieg – Peer Gynt Suite No. 1, Op. 46:
I. Morning Mood
Berliner Philharmoniker / Sakari Oramo
次回 第十五章 予期せぬ覚醒
