女性のバス運転手は「きつい」のか|現場に聞いたら、答えは「会社次第」【Her Shift】
「バスの運転手さんって、体力的にきつくないですか?」
面談をしていると、これは本当によく聞かれる質問です。長時間運転する仕事だから、なんとなく「きつそう」というイメージがある。それ自体は、間違った感覚ではないと思います。
ただ、「きつい」の中身をちゃんと分解してみると、実はここ数年でかなり変わってきている部分があります。この記事では、その中身を具体的に見ていきます。
まず、いちばん言われる「きつい」の中身から
バスの運転手の仕事で「きつい」と言われるとき、多くは拘束時間の長さを指しています。ここでひとつ、質問です。1日の拘束時間の上限、2024年3月までは何時間だったと思いますか。
——答えは16時間です。そして、休憩を挟んだあとの休息時間は、継続8時間以上あればよいというルールでした。
これが2024年4月の改善基準告示の改正で変わりました。1日の拘束時間の上限は15時間に短縮され、休息時間は「継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない」というルールに引き上げられています(※1)。つまり、法律のうえで「働く時間」を短く、「休む時間」を長くする方向に、はっきり変わったということです。

でも、これは"上限"の話。ふだんの目安はもっと短い
ここで誤解しないでほしいのですが、15時間というのはあくまで上限です。基本の目安は13時間以内で、14時間を超える勤務は週3回まで。1か月では281時間以内という上限もあります(※1)。
つまり「毎日16時間近く働かされる」というイメージは、少なくとも制度のうえではもう成り立ちません。ただ、実際の勤務が上限ぎりぎりか、余裕を持った設定かは会社によって差があります。ここは求人票だけではわからないので、見学や面接で「実際の拘束時間はどれくらいですか」と聞いてみるのがおすすめです。
ところが、時間の話をクリアしても、もうひとつ気になる数字が残っています。
女性はどれくらいいるの?
バスの運転手のうち、女性の割合はどれくらいだと思いますか。
——厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査をもとにすると、およそ2.9%です(※2)。100人の営業所があったとして、女性はまだ3人に届かないくらい、という計算になります。少ないと感じる方が多いと思いますし、実際に少ないです。
ただ、これは「女性には向かない仕事だから」ではなく、単純に「まだ選択肢として知られていない」からという面が大きいと私たちは考えています。あとで触れますが、人手不足を背景に、女性の採用に本腰を入れる会社は増えてきています。
お給料の話。461万円は「全体の平均」でしかありません

バス運転手の平均年収は、全国でおよそ461万円といわれています(※3)。月収にすると、だいたい33万円くらいの計算です。
ただ、この数字もそのまま受け取らない方がいいです。年代別に見ると、40代でおよそ499万円。地域別では、東京都はおよそ561万円というデータもあります(※3)。全国平均が抑えられているのは、定年後に再就職した方や、地方で働く方も含めた数字だからです。「どこで、どんな路線を、どれくらいの年数やるか」で、実際の金額はかなり変わってくる仕事だといえます。
人手不足だからこそ、今は「選ばれる側」に近い
正直な話をすると、バス業界は今、深刻な人手不足です。バス会社の76.4%が運転手不足を「深刻な問題」だと答え、令和6年度の有効求人倍率は2.07。全職業の平均1.14との差は大きいです(※4)。大型第二種免許を持つ人の数も、この5年でおよそ8万人以上減り、国土交通省は2030年に全国でおよそ3万6千人が不足すると見込んでいます(※5、※6)。
不安になる数字かもしれませんが、見方を変えると、会社側が「なんとか来てもらいたい」と考えている状況でもあります。免許取得の費用を会社が負担する制度が多いのも、この人手不足が背景にあります。
免許の話も、実は追い風があります
バスを運転するには、中型第二種免許か大型第二種免許が必要です。これまではマニュアル車の操作が必須でしたが、中型第二種免許のAT(オートマチック)限定区分が2026年4月から導入されました。大型第二種免許も、2027年10月からAT限定区分が始まる予定です(※7)。MTの操作に自信が持てなかった方にとって、免許のハードルが下がってきているタイミングだといえます。
正直に:大変なところもあります
いいことばかりではフェアではないので、大変な面もお伝えします。
早朝便や深夜便がある会社では、生活リズムをバスの仕事に合わせる期間が必要です。日勤中心の路線かどうかは、会社によって差があります。
長時間の運転そのものが、体質的に合わない方もいます。座りっぱなしでの腰や肩の負担は、人によって感じ方が違います。
大型車特有の車両感覚(内輪差や死角の大きさ)に慣れるまで、最初は緊張が続くという声もあります。ここは研修や添乗指導の手厚さで、しんどさがかなり変わります。
そして、女性用のトイレや更衣室、仮眠スペースがきちんと整っているかどうかも、営業所によって差があります。求人票ではわからない部分なので、見学のときに遠慮なく確認してください。聞きにくければ、私たちのような会社に聞かせてもらう、という手もあります。
まとめ:こんな人には合うかもしれません
ひとりで運転に集中する時間が苦にならない
決まった路線やダイヤを、コツコツ正確にこなすのが得意
拘束時間や休息のルールが法律で決まっている、という安定感を大事にしたい
逆に、毎日の勤務時間がある程度変わる働き方の方が合っている方や、大型車の運転そのものに不安が強い方には、別の選択肢の方が合っている場合もあります。それも大事な判断です。タクシー・バス・配送でどう違うのか気になる方は、こちらもあわせてどうぞ。
※1 厚生労働省:自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)、2024年(令和6年)4月1日施行の改正内容。バス運転者の1日の拘束時間は改正前の上限16時間・休息期間8時間以上から、改正後は上限15時間(基本13時間以内、14時間超は週3回まで)・休息期間は継続11時間以上を基本とし9時間を下回らない、に変更。1か月の拘束時間は281時間以内、4週平均1週は65時間以内 ※2 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」をもとにした推計。バス運転者(乗合・貸切等含む)における女性比率はおよそ2.9% ※3 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」等をもとにした推計。全国平均年収はおよそ461万円、40〜44歳・45〜49歳の年代でおよそ499万円、東京都はおよそ561万円 ※4 公益社団法人日本バス協会等の調査により、バス運転者不足を深刻な問題と回答した事業者は76.4%。令和6年度のバス運転手の有効求人倍率は2.07(全職業平均1.14) ※5 警察庁「運転免許統計」。大型第二種免許保有者数はここ5年でおよそ8万人以上減少し、令和6年時点でおよそ76万5,936人 ※6 国土交通省の推計により、2030年には全国でおよそ3万6千人のバス運転手が不足する見込み ※7 警察庁:中型自動車第二種運転免許のAT(オートマチック)限定区分は2026年4月1日から導入。大型自動車第二種運転免許のAT限定区分は2027年10月1日から導入予定
この記事は、女性のためのドライバー転職サービス「Her Shift(ハーシフト)」(運営:株式会社Unitas)がお届けしました。

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この記事について 株式会社Unitas(Her Shift運営)。子育てと仕事を両立しながら働く社員が多くいる会社です。「働き続けられるかな?」を考えるときに何がわかっていると安心か、同じ目線で考えながら、会社にじかに聞いた情報をもとにお届けしています。 記載のデータは執筆時点の公開情報に基づきます(各記事内に出典を明記)。
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