声をカタチにできる組織の妨げ「グループ・シンク」 #214
人は一人で成せることに限界があります。
だからこそ、同じ目的を持った人たちが集まり、組織をつくります。
言い換えれば、個人の目的を組織の目的に組み込みながら活動しているとも言えます。そのため、個人の意見と組織の方針が相容れない場合には、組織の方針が優先されることもあります。
しかし、ここで勘違いしてはならないのは、「長い物には巻かれろ」という意味ではないということです。
■ 組織が陥りやすい「グループ・シンク」
組織で起こりやすい問題の一つに、グループ・シンク(集団浅慮)があります。
これは、組織内で合意を優先するあまり、多様な意見や批判的な意見を出すことを躊躇し、結果として無難で浅い結論に落ち着いてしまう状態です。
さらにこの状態が進むと、リンゲルマン効果(綱引きの法則)と呼ばれる現象も起こりやすくなります。
複数人で綱引きをすると「自分が少し手を抜いても大丈夫だろう」と考えてしまう心理が働くというものです。
組織でも同様に、責任や主体性が薄れ、本来の力を発揮できなくなってしまいます。こうなると、組織は存在意義さえ失いかねません。
■ グループ・シンクを防ぐために
組織が健全に機能するためには、多様な意見が表に出る環境が必要です。
そのための取り組みの一つが、1on1ミーティングです。
1on1ミーティングとは、上司と部下が一対一で対話する場であり、上司は基本的に聞き手に徹します。
評価や指示を行う面談とは異なり、部下の不安や課題を共有し、意欲を高めることが目的とされています。
組織の中では言いにくい意見でも、1対1の場であれば話しやすくなることがあります。
こうした対話を通じて、組織の中に埋もれている声を拾い上げることができます。
また、こうした対話の積み重ねは、「声を出しても大丈夫だ」という心理的安全性を生み出すことにもつながります。
■ 1on1ミーティングの難しさ
一方で、1on1ミーティングは万能ではありません。
例えば、経営トップが現場の社員と直接1on1を行い過ぎると、本来のマネジメントラインが機能しなくなる可能性もあります。
中間管理職の役割が弱まり、組織の情報の流れが歪んでしまうこともあるからです。
大切なのは、組織の階層や役割を踏まえながら、適切な関係性の中で対話の場を設けることです。
1on1は単なる面談ではなく、組織のコミュニケーションを支える仕組みとして運用していく必要があります。
■ 異なる意見こそ組織を強くする
組織は同じ目的を共有する人たちで構成されています。
しかし人格や価値観は一人ひとり違います。
当然ながら、その目的を達成するための考え方や方法論も異なるはずです。
だからこそ、組織の機能を高めるためには、互いに意見を出し合うことが重要です。
それが批判的な意見であっても構いません。
むしろ、批判的な意見は革新や変革のきっかけとなり、組織を前進させる原動力になり得ます。
ただし、その批判は建設的であることが前提です。
単なる否定や破壊的な批判では、組織の成長にはつながりません。
■ 私たちのコミュニケーションスローガン
私たちは、組織のコミュニケーションスローガンとして
「声を出す。声を聴く(訊く)。声をカタチにする。」
を掲げています。

経営の立場からすれば、社員が指示通りに動いてくれる方が楽なのかもしれません。
しかし、それでは経営の考えだけに閉じた組織になってしまいます。
会社が継続的に発展するためには、より多くの社員が声を出せる環境が必要です。
そして、その声に耳を傾けること。
さらに、その声を経営に反映させること。
つまり、声をカタチにできる組織づくりです。
これからも、社員一人ひとりの声が組織の力となるような、そんなコミュニケーション環境を整えていきたいと思います。
