「病院事務のAI副業」 - 全部消しても、同じものが残った【実録vol.26】
元病院事務がAIで副業に挑戦している実録です。
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夜だった。
vol.25を読み返していた。
指が途中で止まった。
石ころ。もう当たり前に使っている言葉だった。
いつから、こんなに馴染んでいたんだろう。
気になってそこから遡った。vol.24、23、22、21。
タイトルだけを順番に目で追っていった。
石ころを拾い続けてきた話。
数字を足しても、答えが変わらなかった話。
評価されなかった話。
自分の文章にも、同じ目が働いた話。
手順じゃなく、人の癖を渡していた話。
積み重なるほど、自分の中では当たり前になっていった。
不安より先に一つの予感があった。
言葉を全部変えても、中身は変わらないんじゃないか。
もし本当にそうなら、それは経験の話じゃなくなる。確かめたかった。
言葉を、全部消してみた
物語として書き始めた。
病院という言葉を使わずに、同じことを説明できるか。試すことにした。
一番苦労したのは世界観だった。舞台をどう作るか。誰を敵にするか。何度も作っては壊した。
AIに、同じ場面を何度も書いてもらった。
出てきたものを読む。
違う、と思う。
消す。
また書いてもらう。
画面上部の時計が、チラチラ視界に入ってきて気になっていた。とっくに寝る時間は過ぎている。でもキリのいいところまでは終わらせたかった。
ここで止めたら、また一から気持ちを作り直すことになる。そう思うと余計に意地になった。
決めた部分は思った通りに近づいていく。でも決めていない部分は、当たり障りのない言葉で勝手に埋まっていった。誰が読んでも同じような角の取れた展開になっていた。ここが一番振り回された。
世界観の設定を先に細かく作り込むことにした。舞台の成り立ちも関係性も、一つずつ決めてから渡すようにした。
それでも埋まらない場所は残った。
気づいたら外はもう明るくなってきていた。
その日、設定もその先の展開も何も伝えずに出来上がった冒頭部分だけを知人に見せた。
読み終えるまで黙っていた。
「おもしろそう」
「ちょっと続きが気になる」
それだけだった。でも、それだけで十分だった。
そこから、何日かかけて書き進めた。
書き終えて、最初から読み返した。
同じだろう、とは思っていた。書きながら、そのつもりで進めていたから。
それでも画面をスクロールする指が、いつもより遅かった。
これだけ手間をかけて成立していなかったらどうしよう。
読みながら一瞬、手が止まった。これは、ただの物語になってしまったんじゃないか。
最後まで読んで、ようやく分かった。
病院事務もレセプトも委託業者も、一つも出てこなかった。それなのに一つの話として、ちゃんと成立していた。
当たり前すぎて、見えていないだけ
これは病院事務の話じゃない。
病院事務という中身を全部入れ替えても核心が同じように機能した。
病院事務がなくても、残るものがあった。
vol.1で書いた。病院の中にいたときは、この経験が特殊だと気づいていなかった。当たり前すぎて見えていなかった。
外に出て、初めて気づいた。
同じことが、また起きているのかもしれない。
長くやってきたから気づけたんだろう。
自分自身、そう思ったことがあった。
20年やっていなかったら、この目は持てなかったんじゃないか。
それなら、この話は自分にしか使えない話になってしまう。
画面を閉じかけて指を止めた。
しばらく画面を見つめたまま固まっていた。
いや、そんなはずはない。
今日気づけたなら、今日から始まっているはずだ。
年数の問題じゃない。
同じことを、あなたも思ったかもしれない。
自分には、そんな経験の蓄積はない。だから、これは関係のない話だと。
思い出してほしい。
vol.21で書いた。石ころは経験の年数で増えるものじゃなかった。
今日、誰かの表情が一瞬だけ変わった。それに気づいた。
その一瞬に気づけたなら石ころはもう拾えている。
拾った石ころを、どう使うかはまだこれからの話だ。
さっき誰かの表情の変化を思い出したその瞬間。
もう石ころを拾っていた。
その先はこれから拾っていく。
ただ今回はもう一つ気づいたことがあった。
根は、場所を選ばなかった
vol.21で、石ころを拾い続けてきたと書いた。その視点は、カウンセラーをしていた時期からあったとも書いた。
物語として書き直したとき、病院事務もレセプトも委託業者も、全部取り除いた。
それでも視点はそこにちゃんとあった。
カウンセラーをしていた時期に、その根は生まれていたのかもしれない。場所を変えても、根は別のところでちゃんと育っていた。
スマホから目を離し、天井を見上げた。
vol.20で気づいた。何を渡すかで返ってくるものが変わる、と。
今回、渡すものの中身を病院事務から別のものにまるごと入れ替えてみた。世界観も、名前も、場面も、全部違うものにした。
それでも、決めていない部分が当たり障りなく埋まっていくのは同じだった。決めた部分だけが狙った通りに近づいた。
渡す人間が何を見てきたか。
それが渡すものの核になっていた。
AIが賢いから、だけではなかった。渡した分だけ返ってきていた。
病院事務は、根がたまたま地上に出ていた場所の一つに過ぎなかった。
これが自分だけの根なのか。それとも誰の中にもあるものなのか。
まだわからない。
ただ、全部消しても、同じものが残った。
正直な現在地
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収益:1,700円
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note:フォロワー1,260人・主戦場
有料記事:公開済み・全面アップデート済み
有料note:公開済み・記録用アプリ「石ころノート」も公開中
番外編・画像編:公開済み
AIとのやり取り:工程ごとに分けて管理中
noteシリーズ:vol.26まで公開完了
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全部消しても、同じものは残った。書いている自分の中には今も残っている。
※今回の物語は、まだお見せできる段階にありません。準備が整ったら、別の形でお届けしたいと思っています。
(vol.27に続きます。)
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