京都本「京都地名の由来を歩く」谷川彰英
読書感想文シリーズ
「古都再見」葉室麟
「京の離宮と御所」JTBのムック
「まんがで読む徒然草・おくのほそ道」
「京都伝統文化の英語表現事典」
「京都ぎらい」井上章一
「京都地名の由来を歩く」谷川彰英
「FACTFULNESS」
「スーツの東海道五十三次 自転車の旅」
「京都写真館 なつかしの昭和20年~40年代」
「庭(にわ)を読み解く」白幡洋三郎
私は何時何時も語源や由来を調べる人間です。
天皇の諡号がなぜ京都の地名由来になっているのか知りたすぎて、絶版になった朝日新書『名前でよむ天皇の歴史』をAmazonマーケットプレイスで購入するぐらい気になってしまいます。そんな私にふさわしい本を先日発見しました。
感想・レビュー
観光ガイド本としても有用
京都観光初心者でもわかりやすい内容になっていて、京都検定の尺度を借りるならば3級受験者から1級受験者まで楽しめます。
この本の唯一の欠点は出版年。初版が2002年なので情報はかなり古いです。ただ名所を巡るだけであれば今と大差はありませんのであまり気にする必要はないかなと思います。
「へえ」と思った内容
1.地下水問題に言及
私は京都市内の地下にトンネルを作る北陸新幹線「新大阪延伸計画」案に反対の立場です。反対を決議した京都市議会を支持します。
国益のために必要だという声もあるでしょうけれど、自衛隊基地や原発と同じで当該施設の傍に住んでいないから無責任なことが言えるのです。公共交通機関もそうで蒸気機関車が走っていた頃から沿線住民は大きな負担を強いられてきました。東海道新幹線って京都観光をしていると結構遠くのほうにいても走る音が聞こえるんですよね。「防音壁が設置されていて法律の範囲内だから問題ない」と突き放すのはさすがに横暴過ぎやしませんか。リニア新幹線では井戸や河川の水量が減少する「水枯れ」が大きな問題になっています。井戸水を観光資源にしている京都。もし使えなくなったら完全に終わってしまいますよ。寺社仏閣の池泉式庭園はもとより伏見で作られている日本酒は全てダメになってしまうでしょうね。私は松井山手駅に近いところに住んでいるので東北新幹線延伸の話は正直ありがたいです。でもそれとこれとは話が別。自治体が鉄道地下トンネルを拒否しているのであれば避けて通すのが道理ではないでしょうか。
・・・なんてことをどこかで話そうかと思っていたら、2002年に出版された本にもっとスゴいことが書かれていて驚きました。水枯れ問題はすでに京都市内で起きていたのです。
リニア新幹線トンネル工事で井戸水の水位が低下しているという報告が相次いでいますが、実は44年前に開業した京都市営地下鉄でも同じ現象が発生していました。この問題については京都新聞と日本共産党京都市議会議員団が北陸新幹線延伸工事に合わせて報じています。さてここで私たちは思い出さなければならないことが一つあります。世間を敵に回しながらもめげずに先頭に立って県民のために反対運動をしていた人物のことを。
川勝平太氏は京都府京都市育ちで京都府知事になってもおかしくない政治家でした。彼は研究者としてもご活躍された方なので京都市営地下鉄の水枯れ問題はもちろん知っていたはずです。京都市の二の舞いにならないようにと強い思いで中央新幹線トンネル工事に反対していたのだとしたら?
私は京都市営地下鉄の問題を知った時から川勝氏を憎めなくなりました。私はリニア新幹線が今の日本に絶対必要だと思っていたので、前知事が意固地になる理由をまったく理解できていませんでした。
国家事業の琵琶湖疏水。明治時代でありながら付近住民に対して粘り強い説得と交渉をしてきました。南禅寺水路閣に至ってはかの有名な福沢諭吉が猛烈に批判していたんですよ。それが今では国宝に指定されることになったんですからね。
国益を取るべきか、はたまた地域住民の利害を取るべきか。日本は民主主義国家ですので住民の合意なしにインフラ整備をする事は出来ません。強引に進めるわけにはいかずお金で解決するしか方法はないと思うんですけどね。皆さまのお考えは如何でしょうか。
2.蹴上インクライン
インク・ラインではなくイン・クライン(incline=傾斜地・傾く)ですって。どのメディアもインクのところで発音を区切るので本を読むまでこの事実を知りませんでしたよ。
3.鳥辺野と吉田兼好
あだし野の露消ゆるときなく、鳥部山の煙立ち去らでのみ、住み果つるならひならば、いかにもののあはれもなからん。世は定めなきこそいみじけれ。
命が長いと恥をかくことが多くなるから長くても40歳に足りないくらいで死ぬのがちょうどいいとする無常観を表した徒然草の一節になります。
先日の都議選で与党の自民党が大敗するという結果になりました。これは若者を冷遇し高齢者を優遇する政策を推し進めたことによるものです。吉田兼好の考え方は今の時代にも通じるもので長生きをすればいいという時代ではなくなりました。
補足として、徒然草は鎌倉時代末期に書かれた随筆なので40歳といっても平均寿命が短い時代の40歳です。死を促すものではありませんので誤解なきようお願いいたします。
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あとがき
筆者情報
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参照サイト
いつも自分以外が主導する都市開発を絶対に認めない日本共産党ですがこれに関しては正論で、及び腰の自民党と公明党は正直なんだかなぁという印象を持ちました。新幹線延伸は与党が主導してきた事業でもあるので反対を明記できなかったということなのでしょう。
別方向の記事も載せておきたいと思います。
科学的根拠を元に北陸新幹線延伸計画を推し進めても想定外の問題が発生したら地下水を活用している寺社仏閣や企業は多少の賠償金を貰ったところで廃業もしくは収入大幅ダウンです。慎重になるのは当たり前。「お国のために国民は犠牲になれ」という国家主義の自己犠牲精神ってつまるところ他人事だから言えるんですよね。愛国心を煽る人たちの一番良くないところです。
追記

『推薦図書』応募作品の中で、スキの週間一位を獲得しました。皆様ありがとうございます。感謝!!
《了》
