【AIに仕事を渡す】#01 2週間ずっと正常に動いていた自動化。処理された件数はゼロでした
自動化の仕組みが、2週間まったく問題なく動いていました。エラーはゼロです。
でも、その2週間で処理された件数もゼロでした。
「動いている」と「効いている」は別物だという話をします。
※この記事に出てくる「AIエージェント」については、基礎編#01「AIエージェントとは何か」でまとめています。
エラーが出ていないから、うまくいっていると思っていた
自分の会社では、いま多くの業務をAIエージェントに任せています。
そのひとつとして、会議の録音データを自動で拾い上げてタスクを抽出する仕組みを動かしていました。1日4回、決まった時刻に自動で起動する設定です。
設定を確認すると、有効になっている。実行のログにも異常はない。止まった形跡もない。
つまり、監視できる範囲ではすべて正常でした。
ところが、別件の調査で出力先のフォルダを開いたときに気づきました。
受信フォルダ、処理済みフォルダ、抽出結果フォルダ。3つとも空だったのです。
2週間、1日4回。合計56回きちんと起動して、成果物は1件もありませんでした。
原因は出口ではなく入口にありました。そもそも録音データがそのフォルダに入ってくる経路が、成立していなかったのです。
仕組みは「渡されたものを処理する」という役割を完璧に果たしていました。渡されるものが無かっただけです。
稼働ログは「壊れていないこと」しか教えてくれない
ここが落とし穴でした。
自動化を入れると、私たちはつい稼働状況を見て安心します。
動いているか。エラーは出ていないか。止まっていないか。
でもこれらは全部、「壊れていないこと」の証明でしかありません。
「役に立っていること」の証明にはなっていない。
しかも厄介なのは、この状態が長期間バレないことです。
故障していれば通知が飛びます。誰かが気づきます。
けれど、正常に空回りしている仕組みは、誰にも何も言いません。静かに毎日動き続けます。
同じことは、自動化に限らず起きます。
毎週きちんと提出されているのに誰も読んでいない報告書。
きれいに更新されているのに意思決定に使われていないダッシュボード。
運用ルールとして存在しているのに、現場では別の手順で回っている業務マニュアル。
どれも「動いてはいる」わけです。
見るべきは、出口にあるモノの数
対策自体は単純でした。
チェックする対象を、稼働ログから成果物の実在に変えただけです。
具体的には、次の3つを毎回セットで確認する形にしました。
1つ目は件数です。今週、何件処理されたか。ゼロなら、正常稼働でも異常と見なします。
2つ目は実物です。生成されたファイルを1件開いて、中身が使える状態か目で見ます。
3つ目は使われた形跡です。その成果物が、誰かの意思決定や次の作業に実際に使われたか。
3つ目が一番大事でした。
出力されていても、誰も使っていないなら、それは動いていないのと同じ価値だからです。
この確認を入れた結果、入口の不成立にすぐ気づけるようになりました。
自動化を作るときの設計にも、「何件処理されたかを数える場所」を最初から組み込むようにしています。
明日から使える形にすると
3つのルールに落とし込めます。
自動化やツールの状態を確認するときは、稼働ログではなく、出口に出てきたモノの数を数える。
その数がゼロだったら、出口ではなく入口を疑う。処理側は正常で、渡す側が成立していないケースが多いからです。
これから仕組みを作るなら、「何件処理したか」を記録する場所を、最初から設計に入れておく。
まとめ
自動化やDXの成否を、稼働状況で判断しないほうがいいです。
エラーが出ていないことと、成果が出ていることは、まったく別の話です。
見るべきは出口です。何件出てきたか。中身は使えるか。誰かが実際に使ったか。
この3つを数えるだけで、静かに空回りしている仕組みは見つかります。
この連載では、自分がやっていた仕事をAIエージェントの組織に渡していく過程を、そのまま書いていきます。渡すたびに何かが壊れて、そのたびにルールが増えていく記録です。
次回の#02は、「この感じでOK」と言っただけで公開の許可として伝わり、戻すまで17分かかった話です。
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普段は、こういう「仕組みは動いているのに成果が出ない」状態の切り分けから、業務改善・DX・AIエージェントの運用設計までを仕事にしています。
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