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Wi-Fiの幅を広げたら遅くなった|2.4GHzは20MHz、奥は有線でつなぐ

    遅いという声が出たので、管理画面を開きました。

    チャネル幅という項目があります。
    20MHzになっています。
    40MHzにも80MHzにもできます。

    広いほうが速そうです。
    広げました。

    速くなるどころか、切れるようになりました。

    広いほど速い。
    これは正しいのですが、条件が付きます。

    この記事では、チャネル幅の推奨値と、メッシュの子機を有線でつなぐ話を、アップルとTP-Linkが日本語で公開している資料から並べます。
    どちらも、機器を買い足す前に確かめられることです。

    この記事は、アップルとTP-Linkが日本語で公開している資料をもとに、2026年9月時点の内容にしています。推奨値や仕様は改訂されます。お使いの機器の管理画面とあわせて確認してください。


    チャネル幅は、広いほど速いが、広いほどぶつかる

    何の幅なのか

    Appleの推奨設定に、たとえが書かれています。

    チャネル幅によって、データを転送する「パイプ」の太さが決まります。幅が広いチャネルほど高速ですが、干渉の影響を受けやすく、ほかのデバイスに干渉する確率も上がります。

    太いパイプは速い。
    ここまでは想像どおりです。

    問題は後半です。
    干渉の影響を受けやすく、ほかの機器に干渉する確率も上がる。

    道路にたとえると分かりやすいかもしれません。
    1本の道を4車線に広げても、隣の道と重なってしまえば、両方で事故が起きます。

    周波数は限られた資源です。
    自分が広く使うほど、他人の分を踏みます。

    帯域によって、推奨値が逆になる

    同じ資料に、設定値が明記されています。

    設定値:20MHz(2.4GHz周波数の場合)設定値:自動またはすべてのチャネル幅(5GHzおよび6GHz周波数の場合)

    2.4GHzは20MHz。
    5GHzと6GHzは自動、または全部。

    帯域によって答えが逆です。

    2.4GHzを広げてはいけない理由

    理由も書かれています。

    2.4 GHzの周波数帯では20 MHzにしておくと、ほかのWi-Fiネットワークや2.4 GHzデバイス(Bluetoothデバイスなど)が近くにあると起こりやすいパフォーマンスや信頼性の問題を回避できます。

    2.4GHzは、そもそも使える幅が狭く、しかも混んでいます。
    ここを広げると、隣のネットワークと確実にぶつかります。

    冒頭の失敗は、2.4GHzを広げた場合に起こります。

    5GHzと6GHzは、制限しないほうがよい

    上のほうはこうです。

    5 GHzおよび6 GHzの周波数帯では、自動設定にするか、すべてのチャネル幅を有効にしておけば、最大限のパフォーマンスを引き出しつつ、すべてのデバイスとの互換性を確保できます。これらの周波数帯では、ワイヤレス干渉が問題になりにくい傾向にあります。

    使える範囲が広いので、広げても当たりにくい。
    だから制限しないほうがよい、という話です。

    そもそもどの帯域が使えるかは、機器と制度の側で決まっています。
    6GHz帯がいつから使えるようになったかと、「Wi-Fi 7対応」と「6GHz帯対応」が別の話であることを、こちらで扱っています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n3551cc36bb7f


    管理する側が固定すると、端末の選択が働かなくなる

    端末は、広いほうを選びたがる

    5GHzと6GHzで「すべてのチャネル幅を有効に」と書かれているのには、意味があります。

    同じメーカーのローミング資料に、端末が候補を選ぶときの優先順位が並んでいます。

    80 MHz、40 MHz、または20 MHzよりも160 MHzチャンネル幅を優先する

    20 MHzよりも40 MHzチャンネル幅を優先する

    広い幅を出しているネットワークが選ばれやすい、ということです。

    ここで、管理する側が「安定させたいから80MHzに固定しよう」とやると、160MHzに対応した端末にとっては選ぶ理由が1つ減ります。
    自動にしておけば、そのときの状況で決まります。

    無線モードも、全部開けておく

    同じ考え方が、無線モードについても書かれています。

    通常いちばんいいのは、ルーターで使えるモードの一部だけでなく、全部を有効にしておくことです。そうすれば、古いデバイスも含めてすべてのデバイスが、それぞれが対応している中で最速の無線モードを使って接続できます。

    古い機器に合わせて上を切らない。
    全部開けておいて、端末に選ばせる。

    推奨値も「すべて(推奨)」と書かれています。

    端末の側がどう選んでいるかは、別の記事で扱っています。
    つなぐ先が切り替わらない理由と、無線の名前の付け方をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n30613cb10f85


    隣の機器と、同じ道を使っていないか

    チャネルは自動が推奨値

    幅の話とあわせて、もう1つ見るところがあります。
    チャネルです。

    ルーターの各周波数帯は、道路の車線のように、複数の独立した通信チャネルに分かれています。チャネルを自動選択する設定になっている場合、ルーターが最適なWi-Fiチャネルを自動で選んでくれます。

    自動が推奨値です。

    機器が複数あるなら、別々にする

    そのうえで、機器を複数置いている会社への注意があります。

    ルーターを複数設置していて、特に互いの距離が近い場合は、それぞれで別々のチャネルを使うように設定してください。

    アクセスポイントを増やしたのに速くならない、という場合、隣どうしが同じチャネルで電波を出し合っていることがあります。

    このとき、幅を広げていると被害が大きくなります。
    幅が広いほど、隣とぶつかる範囲も広くなるためです。

    見る順番

    実務としては、この順で見ます。

    1. 2.4GHzの幅が20MHzになっているかを確認する。広げてあれば、まず戻す

    2. 5GHzと6GHzを自動にする。固定していたら、自動に戻す

    3. 機器が複数あるなら、チャネルが重なっていないかを見る。自動でも、電源を入れた順によっては重なったまま固定されることがある。一度、全部を再起動すると選び直す

    4. それでも遅いなら、幅ではなく台数と配置を疑う

    1台に人が集中していれば、幅を広げても足りません。

    変えるときは、変える前の値を書き留めてからにします。
    1か所ずつ変えて、1つずつ確かめる。
    まとめて変えると、どれが効いたのか分からなくなります。


    メッシュの子機は、バックホールに電波を使っている

    奥の部屋が遅い理由は、2つある

    メッシュWi-Fiを入れました。
    親機と子機を置けば、どこでもつながる。

    奥の部屋は確かにつながります。
    ただ、遅い。
    親機のそばより明らかに遅い。

    メッシュの子機は、2つの役目を同時にこなしています。
    1つは、手元の端末を受け入れること。
    もう1つは、そのデータを親機まで運ぶこと。

    この運ぶ側の区間を、バックホールと呼びます。

    無線でやっている場合、子機の電波は往復に使われます。
    端末から受けて、親機へ送る。
    同じ電波を2回使うので、その分だけ細くなります。

    奥の部屋が遅いのは、端末と子機のあいだが弱いからとは限りません。
    子機と親機のあいだが弱い場合があります。

    有線にすると、無線のほうは自動的に切れる

    TP-Linkが公開しているFAQに、仕組みが書かれています。

    Ethernetバックホールは、Decoユニット同士を有線で接続できる機能です。

    切り替わり方も書かれています。

    Decoは、Wi-Fiよりも安定性と速度に優れたEthernet接続を介してデータを転送します。Ethernetバックホールが確立されると、Wi-Fiバックホールは自動的に切断されます。

    LANケーブルを挿すと、運ぶ側が有線に替わり、無線のほうは自動で切れます。
    設定画面での操作は要りません。

    子機の電波は、手元の端末を受け入れることだけに使われます。
    往復に分け合っていたものが、片道になります。

    全部を有線にする必要はない

    1台だけでも成立します。

    いいえ。任意のサテライトDecoを他のユニットに接続するだけでも構いません。この場合、Ethernetバックホールは有線接続されたDeco間でのみ機能します。

    奥の1台だけケーブルを引く、という形でも効きます。


    有線でつなぐ先には、条件がある

    挿してよい口は、2つだけ

    ここが、この資料でいちばん大事なところです。
    どこに挿してもよいわけではありません。

    Decoはデフォルトでルーターモードで動作します。サテライトDecoは、メインDecoのLANポートまたはメインDecoのLANポートに接続されたスイッチのLANポートに接続する必要があります。ネットワークループを避けるためです。

    親機のLANポートか、そこにつながったスイッチのLANポート。
    この2つだけです。

    ループというのは、配線が輪になって、同じデータがぐるぐる回り続ける状態です。
    こうなると通信が止まります。

    空いている口に挿しただけで起きることがあります。

    なお、ブリッジモードで動作している場合は、任意のDecoユニットまたはモデムとルーターに接続できる、とも書かれています。
    モードによって、つないでよい先が変わります。

    親機のLANポートが足りなければ、あいだにスイッチを入れることになります。
    同じ資料には、この用途で使える機種が名指しで挙げられています。
    そのうちの1つが、8つの口があるこの機種です。

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    切り替わる瞬間にも、ループは起きる

    配線が正しくても起きる場合があります。

    DecoがWi-FiバックホールからEthernetバックホールに切り替わる際、1~2秒間ネットワークループが発生することがあります。スイッチがループ検出をサポートしている場合、Decoの使用ポートをブロックすることがあります。

    スイッチが賢いと、この1秒か2秒を事故だと判断して、口を止めてしまいます。
    正しく配線したのに有線にならない、という現象の原因がこれです。

    スイッチの相性は、ほとんど問題にならない

    スイッチについては、こう書かれています。

    市場で流通するほとんどのスイッチは、Decoのこの機能をサポートしている、という説明です。
    そのうえで、持っていない場合や互換性がない場合に、具体的な機種が挙げられています。

    つまり、スイッチを疑うのは最後です。
    先に見るのは、挿した口と、ループ検出の設定のほうです。

    既存のルーターがある会社は、モードを見る

    もう1つ、構成によって変わる点があります。

    Decoシステムがルーターモードで動作している場合、モデム/ルーターに直接接続できるのはメインDecoのみです。別のルーターから宅内の各部屋に分岐させる場合はDecoの動作モードをブリッジモードに切り替えてご利用ください。

    すでに社内にルーターがあって、そこから各部屋へ分岐している会社では、モードの切り替えが要ります。
    ここを飛ばすと、ルーターが二重に並ぶ形になります。


    ケーブルを引く前に、決めることがある

    どこが細いのかを、先に切り分ける

    手順です。

    1. 遅いのが端末と子機のあいだなのか、子機と親機のあいだなのかを切り分ける

    2. ケーブルを通せるかを見る。天井や壁の中を通すなら工事になる。既設のLANが使えるなら、そこに載せられる

    3. 挿す口を決める。親機のLANポート、またはそこにつながったスイッチのLANポート。図に描いてから挿す

    4. あいだにスイッチを入れるなら、ループ検出の設定を先に確認しておく

    5. 挿したあと、管理アプリで有線になっているかを確認する

    1番は、3か所で測ります。
    親機のすぐそば、子機のすぐそば、奥の部屋。
    子機のそばでも遅ければ、バックホールの側です。

    5番には、資料の裏付けがあります。
    アプリでネットワークマップを開き、サテライトをタップすると、どの機器と接続しているか、有線が有効かどうかを確認できる、と書かれています。

    挿しただけで満足せず、切り替わった表示を見ます。

    置き場所そのものを考え直す場合

    社内にデータの置き場を作る話は、別の記事で扱っています。
    大元の機器と回線の性能は超えられない、という点をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n52ad8513a230


    まとめ

    • チャネル幅は、広いほど速いが、干渉の影響を受けやすく、ほかの機器に干渉する確率も上がる、と書かれている

    • 推奨値は帯域で逆になる。2.4GHzは20MHz、5GHzと6GHzは自動またはすべてのチャネル幅である

    • 2.4GHzを20MHzにしておくと、ほかのWi-Fiネットワークや2.4GHz機器が近くにあるときに起こりやすい問題を回避できるとされている

    • 5GHzと6GHzは、干渉が問題になりにくい傾向にあるため、制限せず自動にしておくほうが、性能と互換性の両方を確保できるとされている

    • 端末は広い幅を優先して選ぶ。管理する側が固定すると、その優先が働かなくなる

    • 無線モードも、一部ではなく全部を有効にしておくのがいちばんよい、とされている

    • 機器を複数置いていて距離が近い場合は、別々のチャネルを使うよう指定されている

    • メッシュの子機は、端末を受け入れる電波と、親機まで運ぶ電波の両方を使っている。後者をバックホールと呼ぶ

    • 有線でつなぐと、Wi-Fiよりも安定性と速度に優れた接続でデータを転送し、無線のバックホールは自動的に切断されると書かれている

    • 全部の子機を有線にする必要はなく、有線でつないだ機器のあいだでのみ働く

    • つなぐ先は、親機のLANポートか、そこにつながったスイッチのLANポートに限られる。ループを避けるためである

    • 切り替わる際に1秒から2秒のループが発生することがあり、スイッチのループ検出が働いて口をふさぐ場合があるとされている

    • スイッチについては、市場で流通するほとんどが対応していると書かれている。疑うのは最後でよい

    • 既存のルーターから各部屋へ分岐させる構成では、動作モードの切り替えが必要になる

    皆さんの会社の2.4GHzは、20MHzになっているでしょうか。
    メッシュの子機と親機のあいだは、無線のままでしょうか。


    参考・引用元

    チャネル幅とチャネル

    メッシュの有線バックホール


    実務で使う書式について

    この連載の内容を、社内でそのまま使える書式にまとめたものを、別のマガジンで公開しています。規程のひな形、対応フロー、チェックシート、報告書式などです。

    実務で使う書式・キット
    https://note.com/yunta_fukurou/m/mfc25857fab40


    関連する記事

    機器を選ぶときの数字の読み方は、別の記事で扱っています。
    規格の数字より先に電波の制度があることと、認証が保証している中身をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n3551cc36bb7f

    社内にデータの置き場を作る場合は、こちらで扱っています。
    クラウドとの違いと、総額がHDDで決まる理由をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n52ad8513a230

    機器を1台足す前に確かめることは、境界の側にもあります。
    ファイアウォールとUTMの違いと、足す前に見る3つをまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n8483037cfd1d

    つないだ先が古いままになる話は、持ち出す媒体の側でも起きます。
    USBメモリに大きなファイルが入らない理由と、共有フォルダで弾かれる文字をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n8cbec20bce98

    つなぐ先が切り替わらないほうは、別の記事で扱っています。
    端末が移る条件と、無線の名前を1つにまとめる手順をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n30613cb10f85

     
     
    Digital Workplace Architect|社内外のIT・AIの導入と運用 IT・AI・セキュリティと周辺機器の「今さら聞けない」を一次情報で解説。書式・キットも。 Amazonのアソシエイトとして、梟 〜GLEANINGS〜は適格販売により収入を得ています。

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