
SSDは同じ1TBでも寿命が違う|TBWの読み方と、書いた量の数え方
社内のパソコンの保存装置が足りなくなって、SSDを1枚買い足すことになりました。
通販の一覧を開くと、同じ1TBがいくつも並んでいます。
形も同じ、容量も同じ、値段だけ幅があります。
安いほうでよいのではないか。
そう思って、いちばん安いものを選びます。
違うのは速さだけではありません。
何回書けるかが違います。
しかも、桁で違います。
この記事では、SSDの寿命と速さについて、メーカーが公表している数字の読み方を並べます。
製品の推薦はしません。
仕様表のどの欄を見るか、という話です。
この記事は、サンディスク、キオクシア、キングストンが日本語で公開している資料をもとに、2026年9月時点の内容にしています。製品の数値は改訂されます。お使いの型番でメーカーのページを確認してください。
SSDは同じ1TBでも、書ける量が25倍違う
TBWという欄がある
SSDの仕様表に、TBWという数字があります。
サンディスクの日本語のサポートページに、定義が書かれています。
書き込みの耐久性は、書き込みテラバイト数 (TBW) で測定され、SSD に書き込むことができるデータの合計量を定義します。
合計量です。
容量ではありません。
1TBのSSDに、生涯で600TB書ける、という言い方をします。
同じ会社の別のページには、その前提も書かれています。
SSDには、耐久性(摩耗制限)と呼ばれる読み取り/書き込みサイクルの数が限られています。
書ける回数に限りがある。
だから、書いた量を数えている。
そういう作りです。
公表されている一覧から、1TBだけを抜き出す
TBWは、容量では決まりません。
ウエスタンデジタルの製品について、日本語で一覧が公開されています。
そこから1TBの製品だけを抜き出します。
WD Green SN350 NVMe SSD(WDS100T2G0C) TBW 80 保証3年
WD Blue SN570 NVMe SSD(WDS100T3B0C) TBW 600 保証5年
WD Black SN700 NVMe SSD(WDS100T2X0C) TBW 600 保証5年
WD Red SN700 NVMe SSD(WDS100T1R0C) TBW 2000 保証5年
同じ1TBで、80と2000です。
25倍あります。
値段の差は、速さだけでも、ブランドだけでもありません。
何回書き直せるか、の差です。
用途が、名前に出ている
Greenは一般向け、Redはネットワーク保存機(NAS)向けです。
四六時中書き込みが続く用途は、TBWの大きいものが前提になっています。
同じ一覧には、業務用のものも載っています。
WD Gold DC SN600 は、960GBでTBWが1402、7.68TBで11213です。
一般向けとは桁が違います。
自社で使う機械が、どちらの世界の話なのかを先に決めることになります。
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同じ製品名でも、型番で違う
ここが、いちばん引っかかるところです。
同じ一覧の WD Green SN350 NVMe SSD には、1TBが2行あります。
WDS100T2G0C はTBWが80、WDS100T3G0C はTBWが100です。
製品名も容量も同じで、型番だけが違います。
製品名だけでは引けません。
箱の型番で引く、という手順になります。
そのパソコンにどの型番が入っているかを、買う前に決めておくところまでが、選ぶ作業です。
本体を選ぶときの数字の読み方は、別の記事で扱っています。
カタログの駆動時間が何を測った数字なのかと、保守の翌営業日がいつから数えられるかをまとめています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/nb43bf2dd1174
保証は、年数かTBWの早いほうで終わる
2社とも、同じ書き方をしている
見落とされるのはここです。
ウエスタンデジタルの一覧には、表の前にこう書かれています。
SSD 製品の保証期間は、次のいずれか早い時点で終了します。
そして、続けて「保証期間」と「TBW」の2つが挙げられています。
サンディスクの一覧にも、同じ趣旨の書き方があります。
SSD製品の保証期間は、次の日のいずれか早い方の時点で終了します。
こちらも、続けて「保証期間」と「エンデュランス(TBW)」の2つが並んでいます。
5年保証でも、5年守られるとは限らない
TBWに先に届けば、そこで終わります。
書き込みの多い使い方をしている機械ほど、年数より先にTBWへ届きます。
監視カメラの録画、毎日の全体バックアップ、動画の書き出し。
こういう用途が当てはまります。
「まだ3年しか使っていないのに」は、保証の話としては通りません。
容量を倍にしても、書ける量が倍にならない
直感と合わないところが、もう1つあります。
WD Green SN350 NVMe SSD の WDS100T3G0C は1TBでTBWが100、WDS200T3G0C は2TBでTBWが100です。
同じです。
サンディスクの一覧でも、SSD PLUS M.2 NVMe SSD は1TBが100、2TBが100で、こちらも同じでした。
容量を倍にすれば長持ちする、とは限りません。
倍になる製品もあり、据え置きの製品もあります。
TBWが書かれていない製品もある
同じサンディスクの一覧で、SSD PLUS SATA SSD の行を見ると、240GBから2TBまで、TBWの欄がすべて「-」です。
書かれていないものは、比べられません。
比べたいなら、書いてある製品から選ぶことになります。
見えない予備の領域が、寿命を決めている
消すときは、大きな塊でしか消せない
なぜ製品によってこれだけ差が出るのか。
仕組みを1つだけ知っておくと、以降の話がつながります。
キングストンの日本語の解説に、こう書かれています。
NAND フラッシュはページレベルで読み書きが可能ですが、イレーズはブロックレベルでのみ可能です。
書くときは細かい単位でできるのに、消すときは大きな塊でしかできない、ということです。
そのため、1ページだけ書き替えたい場合でも、ブロック全体をいったん読み出して、消して、書き直すことになります。
1回の書き込みに、裏で何倍もの作業が付いてきます。
使う人からは見えない領域がある
その作業のために、メーカーはあらかじめ領域を取り分けています。
オーバープロビジョニングと呼ばれます。
このオーバープロビジョニングのための記憶域はユーザーがアクセスすることはできず、ホストのオペレーティングシステムからは見えません。
容量としても表示されません。
1TBと書いてあるものの中に、表示されない作業場所がある、という形です。
同じ容量で、TBWが2倍以上違う例がある
同じ解説には、割合と寿命の関係も書かれています。
OP のパーセント値が大きくなるほど、SSD の寿命は長くなります。
挙げられている業務用の例では、同じ480GBで、予備が7パーセントの構成はTBWが438、32パーセントの構成は1139です。
2倍以上あります。
表示される容量が同じでも、中の作りは同じではありません。
1つ目の章で見た25倍の差は、こういうところからも来ています。
遅くなったときに、見る順番
箱の速度は、挿す場所で決まる
ここからは、使っているうちに遅くなるほうの話です。
SSDの箱には「最大7,000MB/秒」のような数字が書かれています。
条件がそろったときに出る上限です。
サンディスクのサポートページに、ある製品についてこう書かれています。
最大速度は、PCIe Gen 5 NVMe M.2 スロットを備えたホストマザーボードに接続されている場合にのみ表示されます。
同じページには、差し込み口の世代ごとの目安も出ています。
PCIe Gen 3が3,500MB/秒、Gen 4が7,000MB/秒、Gen 5が14,000MB/秒です。
PCIeは、パソコンの中で部品をつなぐ通り道の規格です。
世代が上がるほど太くなります。
速いSSDを買っても、挿す側が古ければ、古いほうの上限で頭打ちになります。
故障でも、不良品でもありません。
熱くなると、わざと遅くする
次に、だんだん遅くなるほうです。
キオクシアの技術解説に、こう書かれています。
3Dフラッシュメモリも動作することで発熱し、特に85℃以上になると安定した動作ができなくなるため、動作速度や性能を落として過熱を抑える仕組みを備えています。一般的にこのような仕組みは「サーマルスロットリング」と呼ばれています
熱で壊れないように、機械のほうが自分で速度を落としています。
故障ではなく、そういう設計です。
効いてくるのは、長く書き続けたときです。
数十GBの動画を1本書き出す、数百GBのバックアップを一気に取る。
最初は速く、途中から落ちる。
これに当てはまります。
同じ解説には、排熱の場所が足りなくなっている事情も書かれています。
近年のモバイル製品では小型化、実装部品の高密度化が進んでおり、それらを配置するスペースが無く、排熱が問題となっています。
薄いノートパソコンほど、放熱の部品や送風機を置く場所がありません。
「あのパソコンだけ書き出しが遅い」という話が出たら、置き場所と使い方を先に見ます。
空きが無いと、遅くなる
3つ目が、空き容量です。
理由は、3つ目の章で見たとおりです。
空いている場所がたくさんあるうちは、そこへ書くだけで済みます。
空きが減ると、読み出して、消して、書き直す作業が増えます。
掃除をすれば直るという話ではなく、空きそのものが作業場所として使われています。
使い切らない運用にしておくと、この作業が軽く済みます。
同じことが、カメラやスマートフォンで使うSDカードでも起きます。
空きが残っているのに録画が始まらなくなる理由と、箱の数字とマークの読み方を別の記事で扱っています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/n7d5faa7c6ff9
書き込みキャッシュは、速くなるが落ちると失う
同じサンディスクのページには、速度を上げる設定も案内されています。
Windowsの書き込みキャッシュを有効にする、というものです。
ただし、その直後に注意が置かれています。
書き込みキャッシュがオンになっていると、データが失われる可能性がある。
データ転送中に電源が突然落ちたり、強制終了したりした場合に起きる、と説明されています。
速さと引き換えのものです。
社内の機械で一律にオンにする前に、何を扱う機械かを見ることになります。
遅いと言われたときの順番
実務としては、この順で見ます。
いつから遅いのかを聞く。買った直後からなら差し込み口の世代、だんだんなら空き容量か熱である
空き容量を見る。残りが1割を切っているなら、まずそこ
「最初だけ速くて途中から遅い」かを確かめる。そうなら熱である
それでも説明がつかないときに、故障を疑う
遅いという申告のうち、機械が壊れているものは多くありません。
たいていは条件の話です。
あと何TB書けるかは、自分で数えられる
書いた量は、機械の中に記録されている
「そろそろ替えたほうがいいですか」と聞かれます。
壊れてはいません。
動いています。
この問いに、勘で答えないで済む方法があります。
SSDには、自分の状態を報告する仕組みが入っています。
S.M.A.R.T.と呼ばれます。
サンディスクの日本語の手順ページでは、メーカーの管理ソフトを入れ、ドライブを選び、ツールからS.M.A.R.T.のデータを開き、「書き込まれたデータ単位」を探す、という手順が案内されています。
1000と512を掛けると、TBになる
画面に出てくるのは生の数で、そのままでは何TBか分かりません。
同じページに、読み替え方が書かれています。
示されている値の TBW は、X 単位に (1000x512) を掛けた値を求められます 例 27310980 x 1000 x 512 = 13 TB。
掛け算を1回するだけで、比べられる数字になります。
1つ目の章で見たTBWは、この数字と比べるためのものです。
1TBでTBWが600の製品に、いま13TB書いてあるなら、まだ2パーセントです。
TBWが80の製品に200TB書いてあるなら、とうに超えています。
交換の目安も、公表されている
では、いつ替えるのか。
同じページに、次の場合はドライブを交換してください、として2つが挙げられています。
ドライブのヘルスが0パーセントに達したとき。
そして、保証期間が終わったときです。
2つ目の章で見たとおり、保証期間そのものが年数とTBWの早いほうで終わります。
つまり、この2つは別々の話ではなく、つながっています。
全部の製品が、同じ項目を報告するわけではない
同じページには、注意も添えられています。
すべてのSSDがすべての詳細を共有できるわけではありません。ドライブを製造する企業は、報告できる詳細を選択します。
項目が出てこない製品もあります。
その場合は、買った日と用途から見当をつけることになります。
年に1回の点検に落とす
社内の運用としては、これだけです。
買った日と、型番と、TBWを台帳に書いておく
年に1回、書き込み量を見る
年数かTBWのどちらかが先に見えてきたら、その機械を交換の候補に入れる
この台帳や、年に1回の点検を書面にするなら、同じ形の書式があります。
事前準備チェックリストと緊急連絡先シートを含む6種です。
「壊れてから替える」をやめる、というだけの話です。
壊れてから替えると、止まっている時間と、戻せなかったデータが付いてきます。
戻せるかどうかを年に1回確かめる手順は、バックアップの側でも同じ形になっています。
取っているつもりの状態と、復旧できて初めて成立するという話をまとめています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/nacbfdb5577fd
まとめ
SSDの仕様にあるTBWは、その製品に書き込めるデータの合計量として定義されている。容量とは別の数字である
同じ1TBでも、公表されている一覧ではTBWが80のものと2000のものがある。25倍の差がある
同じ製品名でも、型番が違えばTBWが違うことがある。製品名ではなく型番で引く
保証は、保証期間とTBWの「いずれか早い時点」で終わると、2社とも明記している。年数だけを見ていると、書き込みの多い用途では先に切れる
容量を倍にしてもTBWが据え置きの製品があり、TBWが公表されていない製品もある
消去はブロック単位でしかできないため、空きが作業場所として使われる。メーカーが取り分けている見えない領域があり、その割合が大きいほど寿命は長いとされる
箱の最大速度は、対応する差し込み口につないだ場合の数字である。Gen 3が3,500、Gen 4が7,000、Gen 5が14,000MB/秒が目安とされている
85℃以上では安定した動作ができないため、機械が自分で速度を落とす仕組みが入っている。故障ではない
書いた量はS.M.A.R.T.から読み出せる。表示された値に1000と512を掛けるとバイト数になる
交換の目安は、残り寿命が0パーセントに達したとき、または保証期間が終わったとき、と案内されている
皆さんの会社で、いちばん書き込みの多いパソコンはどれでしょうか。
そこに入っているSSDのTBWは、何と書いてありますか。
参考・引用元
TBWと保証期間
サンディスク「サンディスク内蔵SSDの耐久性と保証期間」(回答ID 52766、2026年9月時点) https://support-jp.sandisk.com/app/answers/detailweb/a_id/52766
サンディスク「WD 内蔵 SSD の耐久性と保証期間」(回答ID 52851、2026年9月時点) https://support-jp.sandisk.com/app/answers/detailweb/a_id/52851
残り寿命の確認
サンディスク「内蔵SSDの残存寿命と耐久性を確認する手順」(回答ID 52678、2026年9月時点) https://support-jp.sandisk.com/app/answers/detailweb/a_id/52678
速度
サンディスク「WD_BLACK SN8100 NVMe SSDの速度低下を解決し、パフォーマンスを最大限に引き出す方法を学びましょう」(回答ID 53078、2026年9月時点) https://support-jp.sandisk.com/app/answers/detailweb/a_id/53078
キオクシア「パッケージ内昇圧回路を用いたサーマルスロットリングレスSSD技術」(先端技術トピックス、2023年9月6日) https://www.kioxia.com/ja-jp/rd/technology/topics/topics-50.html
予備領域と寿命
キングストン「SSD オーバープロビジョニング (OP) を理解する」(Kingston Technology、2026年9月時点) https://www.kingston.com/jp/blog/pc-performance/overprovisioning
実務で使う書式について
この連載の内容を、社内でそのまま使える書式にまとめたものを、別のマガジンで公開しています。規程のひな形、対応フロー、チェックシート、報告書式などです。
実務で使う書式・キット
https://note.com/yunta_fukurou/m/mfc25857fab40
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https://note.com/yunta_fukurou/n/nacbfdb5577fd
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