
SDカードのマークはどれを見るか|箱の最大速度ではなく、下限の数字
展示会の様子を記録することになりました。
カメラは会社のものを使います。
売り場でSDカードを選びます。
箱に「最大170MB/秒」と大きく書いてあるものを買いました。
速いほうがよいだろう、という判断です。
当日、録画が途中で止まります。
容量はまだ残っています。
箱の大きい数字は、読み出しの速さであることが多く、録画に効くのは別の数字です。
そして、その別の数字は、小さなマークで書かれています。
この記事では、SDカードのマークの読み方を、規格を決めている団体の日本語資料から並べます。
この記事は、SDアソシエーションが日本語で公開している資料をもとに、2026年9月時点の内容にしています。規格は改訂されます。お使いの機械の説明書とあわせて確認してください。
SDカードのマークは、4種類ある
規格を決めているのは、どこか
SDカードの規格をまとめているのは、SDアソシエーションという団体です。
日本語の解説が公開されています。
そこに、マークの種類が書かれています。
スピードマークにはスピードクラス、UHSスピードクラス、ビデオスピードクラス、SD Expressスピードクラスの4種類があり、マークに数値を組み合わせて最低限の書込みスピードを表している、と説明されています。
カードの表面に、丸の中に数字、Uの中に数字、Vのあとに数字、Eのあとに数字、という形で刷られています。
4種類それぞれの、数字の並び
同じページの注に、それぞれの中身が書かれています。
スピードクラス Class2、4、6、10
UHSスピードクラス U1、U3
ビデオスピードクラス V6、V10、V30、V60、V90
SD Expressスピードクラス E150、E300、E450、E600
ここで「V6」が入っていることに気づいたかもしれません。
よく見かけるV30やV60の下に、V6とV10があります。
何を保証している数字なのか
そして、何を表しているかも書かれています。
すべてのスピード クラスは、規格で定義された条件下でマルチ ストリーム アクセス (SD Express スピード クラス規格対応) を含む、最低限のシーケンシャル カード アクセス性能を保証します。
最低限、です。
ここが箱の数字と違うところです。
箱の数字は上限、マークの数字は下限
録画で困るのは、上限ではない
箱に大きく書かれた「最大◯◯MB/秒」は、条件がそろったときに出る上限です。
マークの数字は、下限です。
それを下回らないことを保証する、という意味の数字です。
録画で困るのは上限ではありません。
下限です。
同じ解説に、こう書かれています。
ビデオ録画で必要なのは録画を続けても「フレーム落ち」が発生しない最低限の書込み速度であり、これによりスムーズなビデオ再生が可能になります。
映像は、一定の速さで途切れずに書き続けなければなりません。
一瞬でも間に合わなければ、そこで落ちます。
上限がいくら高くても、下限が保証されていなければ録画には使えません。
買うときに見るのは、小さいほうのマークです。
マークは、通り道の速さとも結びついている
もう1つ、同じ注に書かれていることがあります。
マークは、どの接続方式で使えるかまで決まっています。
Class10はハイスピードバスIFの製品、U1とU3はUHSバスIF製品、V6とV10はハイスピードおよびUHSバスIF製品、V30はUHSバスIF製品、V60とV90はUHS-IIおよびUHS-IIIバスIF製品に実装可能とされています。
つまり、古いカメラに最新のマークのカードを入れても、そのマークの速度は出ません。
カードだけ良いものにしても上がらない、という形です。
この構図は、パソコンの中のSSDと同じです。
差し込む側の世代で頭打ちになります。
機械の側の仕様をどこで見るかは、別の記事で扱っています。
カタログの数字が何を測ったものかと、仕様の見つけ方をまとめています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/nb43bf2dd1174
同じ「10」でも、種類をまたぐと保証が付かない
同じ種類の中なら、数字が上のものが使える
まず、通る組み合わせのほうからです。
例えば、使用するホストデバイスがスピードクラス4のSDメモリカードを要件としている場合、スピードクラス4、6または10のSDメモリカードを使用することができます。
同じ種類のマークの中では、数字が同じか上なら使えます。
V10を求める機械にはV30でもよい、という読み方になります。
種類をまたぐと、その保証は付かない
ここが、いちばん引っかかるところです。
同じ解説に、はっきり書かれています。
ただし異なるマークの組み合わせ、例えばClass10, U1およびV10では、同じ10MB/secの書込みスピードを表してはいますが、期待する書込みスピードは得られません。
Class10も、U1も、V10も、どれも10MB/秒を表しています。
それでも、期待した速度は得られないと書かれています。
カメラの説明書に「V30以上」と書いてあれば、探すのはV30かV60かV90です。
丸の中の10でも、Uの中の3でもありません。
売り場で見るのは、この順番
使う機械の説明書を先に見る。必要なマークが書いてある
箱の大きい数字は、いったん無視する。読み出しの上限であることが多い
同じ種類のマークで、同じか上のものを買う
種類をまたいで、数字だけ合わせない
「速いカードを買ったのに止まった」は、たいてい「速い」の意味が違っていただけです。
同じ形の読み違えは、パソコンの中のSSDでも起きます。
表示される容量とは別に、生涯で書ける量の上限が決まっている話を別の記事で扱っています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/ncab65f480736
空いていても、録画できなくなることがある
使い回していると、並び方が崩れる
もう1つ、見えない終わり方があります。
同じ解説の、断片化についての記述です。
ファイルの記録と消去を繰り返すことでデータ格納領域は徐々に断片化していき、書込みスピードが影響を受けます。
そして、その先です。
全体としてまだ空き領域があるにもかかわらず録画ができなくなってしまう可能性があります。
空きが表示されているのに、録画が始まらない。
カードが壊れたように見えますが、並び方の問題です。
対処も、同じページに書かれている
挙げられているのは2つです。
断片化がなくなるようにデータを並べ替えるか、カードの中身を別の場所へ移してカードを初期状態に戻すか。
現場での言い方にすると、こうなります。
撮ったら全部移す
移したらカードは初期化する
使い回しながら、消したり足したりを続けない
撮ったものを向こうに置いたままにしない、という点では、バックアップの考え方と同じです。
取っているつもりの状態と、復旧できて初めて成立するという話は、こちらで扱っています。
https://note.com/yunta_fukurou/n/nacbfdb5577fd
会社で使うなら、行き先も記録する
展示会や現場でカードを配ると、どれがどの機械用か分からなくなります。
マークの違うカードが混ざると、止まった原因を探すところからやり直しになります。
買った本数と行き先を、台帳に残しておくことになります。
この台帳や、現場に出す機材の点検を書面にするなら、同じ形の書式があります。
事前準備チェックリストと緊急連絡先シートを含む6種です。
アプリを置くなら、見るマークが違う
映像用とは別の区分がある
ここまでは、映像を書き続ける速さの話でした。
スマートフォンやタブレットにカードを入れてアプリを置く場合は、効く性能が違います。
SDアソシエーションは、この用途にアプリケーションパフォーマンスクラスという別の区分を定めています。
A1とA2の2つです。
A1はSD物理仕様 Ver.5.1で、A2はVer.6.0で規定された、と説明されています。
A2では、コマンド・キューイングとキャッシュ機能またはメンテナンス機能がサポートされている場合に、効率的なメモリ管理が可能になる、とされています。
効くのは、細かい読み書きの回数のほう
この区分で使われている単位が、IOPSです。
同じ解説に、こう書かれています。
IOPSは1秒当たりに実行可能な4KBリード/ライトコマンド数
映像は、大きなデータを一定の速さで流し続けます。
アプリの動作は、小さなデータを何度も出し入れします。
求められる性能が違う、ということです。
ここでも、機械とカードの両方が要る
そして、組み合わせの条件も書かれています。
A2に対応したホストデバイスでA2パフォーマンスを得られるのは、A2に対応したカードとの組み合わせのみです。A1に対応したホストデバイスとA2に対応したカードの組み合わせでは、少なくともA1のパフォーマンスが得られます。
前の章と同じ形です。
機械とカードの両方が対応していて、初めて出ます。
なお、この規格が使えるのはUHSタイプのSDHC/SDXCメモリカード製品である、とも書かれています。
まとめ
SDカードのスピードマークは4種類あり、それぞれ最低限の書き込み速度を表すと説明されている。上限ではなく下限の数字である
種類ごとの数字は、Class2・4・6・10、U1・U3、V6・V10・V30・V60・V90、E150・E300・E450・E600である
箱に書かれた最大◯◯MB/秒は、多くの場合は読み出しの上限である。録画で効くのは、途切れずに書き続けられる最低速度のほう
同じ種類の中なら、機械が求める数字と同じか上のものを使える。スピードクラス4を求める機械には4、6、10が使える
ただし種類をまたぐと保証は付かない。Class10、U1、V10はどれも10MB/秒を表すが、期待する書き込み速度は得られないと明記されている
マークは、対応する接続方式とも結びついている。V60とV90はUHS-IIおよびUHS-III製品に実装可能とされている
記録と消去を繰り返すと領域が断片化し、空きが残っていても録画ができなくなる可能性があると説明されている。並べ替えるか、中身を移して初期状態に戻す
アプリを置く用途には別の区分があり、A1はVer.5.1、A2はVer.6.0で規定されている。A2の性能は、A2に対応した機械との組み合わせでのみ得られる
皆さんの会社のカメラは、説明書で何のマークを求めているでしょうか。
いま入っているカードには、そのマークが付いていますか。
参考・引用元
スピードマークと断片化
SDアソシエーション「スピードクラス」(SD Association、2026年9月時点) https://www.sdcard.org/ja/developers-2/sd-standard-overview/speed-class/
アプリ用の区分
SDアソシエーション「アプリケーションパフォーマンスクラス」(SD Association、2026年9月時点) https://www.sdcard.org/ja/developers-2/sd-standard-overview/application-performance-class/
実務で使う書式について
この連載の内容を、社内でそのまま使える書式にまとめたものを、別のマガジンで公開しています。規程のひな形、対応フロー、チェックシート、報告書式などです。
実務で使う書式・キット
https://note.com/yunta_fukurou/m/mfc25857fab40
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