【絶望IR】緊張を楽しむジャズと、調和を楽しむジャズ🎷🎢 ——ビバップ派とスウィング派を分けているものの正体をマサカリ解体する
ドーモ!!大田区の地下要塞でテキーラ片手にオーバーオールを着込み、サックスの物理演奏(三次元)とベトナム株(四次元)の二刀流で生き抜く狂犬こと、私、久住祐太です!!🌊🍻😎 よろしくメカドック、わんわん!!🐶🐾
前回、8歳の現場監督(娘)がディズニーのタワー・オブ・テラーの1ドロップ目で「ガチ泣き」から「無敵スター状態(満面の笑み)」にバグ変換された話を書いた。 恐怖が消えたのではなく、「落ちても死なない(絶対安全の結界)」と細胞が理解した瞬間、恐怖のまま極上のエンタメに反転したという、心理学の「逆転理論」の話である。
だが、あの記事を書きながら、俺の脳内のニュータイプ・センサーがずっとピピピッと反応していたのだ。 「これ、ジャズの聴き方の違いと完全に同じ構造じゃね?」
ジャズを聴くリスナーってのは、大雑把に二つの派閥(クラン)に分かれる。
ビバップやアブストラクト系が好きな人(戦闘民族)
スウィング、歌もの、ビッグバンド系が好きな人(平和な村人)
前者が楽しんでいるのは「緊張と緩和」だ。ゴムを限界まで引っ張って引っ張って、最後にパチンッ!と着地する快感。(そして、たまにゴムが切れて誰も着地しない) 後者が楽しんでいるのは「究極の調和」である。安心・安全・予定調和のレールに乗って、気持ちよ~く流れていく圧倒的なオーガズム。
この違い、マジで何なの? って思って調べたら、またしてもゴリゴリの理論があったわけよ! しかも音楽学と心理学の両面から「挟み撃ち(クロスチョップ)」で完全解明できる! いざ、アニメと漫画のメタファー全開で、ファンキーに解体していくぜ!!🪓🎸

1. 「緊張と緩和」とは、「クリリンのことかー!」的カタルシスである
1956年、レナード・マイヤーってオジサンが『音楽における情動と意味』でこう言った。 「音楽のエモさは、作曲者による『期待の操作(焦らし)』から生まれる」と。
さらに2006年、認知科学者デイヴィッド・ヒューロンがこれを「ITPRA理論」っていう、脳内アニメ展開5段階システムとして再構築したんだわ。
I(想像)——「そろそろヤバい敵(コード)来るんじゃね?」とワクワクする
T(緊張)——「ゴゴゴゴゴ…(覇気)」生理的覚醒(心拍数)が爆上がり!
P(予測)——「ここで主人公が覚醒するはずだ!」(予測の当たり外れ)
R(反応)——即座で内臓的、自動的なリアクション!
A(評価)——「やっぱり俺たちの推しは最高だぜ(ニヤリ)」(大脳皮質での意味づけ)
そして、この理論の核心(コア)にあるのが、「対比的valence(contrastive valence)」っていう必殺技の概念。
解決の瞬間に生じる快(カタルシス)の大きさは、その直前の緊張(絶望)の大きさに依存する。
これだよ!! これこそがビバップの正体だ!! フリーザが強くて絶望的(テンションノート増し増し)であればあるほど、悟空がスーパーサイヤ人に覚醒して「クリリンのことかー!」とぶちのめした時(トニックへの解決)の快感がエグい!!
ドミナントを限界まで引き延ばす。ツーファイブの解決を焦らす。偽終止で「ここで倒したと思ったか? 残念、まだ第2形態だ!」と肩透かしを食わせる。 これ全部、「着地の快感をインフレさせるために、手前の絶望(緊張)を増設する」っていう、少年ジャンプの王道バトル展開そのものだったわけ!!
不協和音(悪役)そのものは悪じゃない。強大な悪役がいるからこそ、主人公(解決)が輝く。俺たちジャズマンがやってたのは、快感の前借り(元気玉のエネルギー収集)だったのだ!!🌍🙌
2. じゃあ、スウィングや歌ものは「単純」なのか?
ここで全力で首を横に振っておきたい。No, No, No!!🙅♂️ ITPRA理論をもう一回見てくれ。「P(予測)」の段階があるっしょ?
ヒューロンの理論では、「予測が当たること」そのものに快が生じるんだよ! 人間の脳みそってのは、生き残るために「予測能力」を高めるように設計されてる。だから、「こう来るだろ!」がドンピシャで当たった時、脳は「お前、天才かよ!」って特大の快感ボーナスをくれるわけ。
つまり、こういうことだ👇
【ビバップ・アブストラクト派】 = 対比的valenceを使う。絶望(緊張)を積んで積んで、逆転勝利のカタルシスを最大化する「バトル漫画」。
【スウィング・歌もの・ビッグバンド派】 = 予測成功の快を使う。水戸黄門で印籠が出る瞬間や、アンパンマンの新しい顔が飛んでくる瞬間の、「やっぱり来たァァァ!」という究極の予定調和を楽しむ「日常系・王道アニメ」。
どっちも理論的に100%正当な快楽のルートなんだよ!! 使ってる脳内回路(術式)が違うだけ!
「ビバップのほうが高級でエライ」なんて話には1ミリもならない。むしろ、予測成功の報酬のほうが生物学的には根源(DNA)に近い。ビッグバンドの分厚いアンサンブルが、来てほしいところでバチッと鳴らす和音。あの快感は、「脳が先の展開を完全に読み切ったことへの、圧倒的なご褒美」だからなのだ!!🎺✨
3. アブストラクト(フリー系)は「安全バーをぶっ壊す」特級呪物
さて、前回の「タワー・オブ・テラー」の話に接続するぜ。 娘に起きたのは、「保護枠(絶対安全の結界)」の成立だった。「あ、これ落ちても死なないわ」ってATフィールドが展開された瞬間、恐怖がエキサイティングなエンタメに反転したわけだ。
これ、音楽でも全く同じことが起きてる。 ビバップの複雑な緊張が「快感」になるのは、「どれだけこじれても、調性の中にいる限り最後はどこかに着地する」という圧倒的な信頼(保護枠)があるからだ。安全バーがカチッと降りてるから、心置きなく絶叫マシン(アドリブ)を楽しめる。
だが、ここで村長の括弧書きが火を噴く。 (たまに緩和されないこともあるけど)
これだ。フリージャズとかアブストラクト系っていうのは、「意図的に安全バーをぶっ壊しにいく音楽」なのだ!! 「立体機動装置のガスが切れた状態で空中に放り出される」ようなもん。「ハンターハンターの暗黒大陸編」みたいに、いつ解決(連載再開)するかわからない絶望のフリーフォール!!😱
だから聴き手が真っ二つに割れる。安全バー(結界)なしで高覚醒に耐えられる変態(狂犬)と、耐えられない平和な村人に。
ここで面白いのが、「初心者の生存戦略」だ。 娘が「手をギュッとしてて」と言い、父から結界を借りたように、ジャズ初心者は外部から結界をレンタルする。 「これはマイルス・デイヴィスの歴史的名盤だから」「評論家が絶賛しているから」——あの権威づけこそが、初心者にとっての「安全バー」になるのだ。
「何やってるか全然わかんないけど、これは歴史的価値がある(死なない)らしい」という結界があれば、謎の不協和音を「不安」じゃなく「未知へのワクワク」として楽しめる。 つまり、ジャズ喫茶のウンチク語りマスターは、「解説のスピードワゴン(保護枠の供給業者)」だったのだ!!🎩🍷

4. なぜ「好き」と「嫌い」が分かれるのか ——1986年にすでに測定されていた
じゃあ、なんでスリルを求める人とそうじゃない人がいるのか? 前回は「感覚探索尺度(狩人か農耕民か)」で説明したけど、音楽でも同じことが言えるのか?
使える。ただし、別のパラメーター(下位尺度)が効く! 1986年のリトルとザッカーマンのゴリゴリの研究が出発点になっている。彼らの結果は明快だった。
感覚探索の総得点が高いやつ(ヒャッハー系) = あらゆるロックが大好き!無難なサントラは嫌い!
そしてジャズ好きについては、感覚探索よりも「外向性(パリピ度)」が高い傾向が繰り返し報告されている。 だが!! 「複雑で主流から外れた変態的な音楽(アブストラクトなど)」を好むかどうかを決める、最強の因子は別にある。 それが「開放性(Openness to Experience)」だ!!
開放性が高いやつ(好奇心がカンストしたジン・フリークスみたいな奴)は、ポップスの王道から外れた、複雑で挑戦的で内省的な音楽に惹かれる。逆に、明るく型通りの音楽には惹かれない。 2003年のレントフローとゴスリングの研究でも、「ブルース・ジャズ・クラシック・フォーク」は「内省的で複雑」というグループに分類され、開放性と一番強く相関することが証明されてるんだわ!🧠✨
5. ジェットコースターと複雑なジャズは「隣のパラメーター」
ここで、前回と今回の話をまとめるとこうなる👇
【TAS系統(スリル・冒険探索)】
好むもの: ジェットコースター、スキー、フリーフォール
効いている特性: 速度と重力からの解放を求める「立体機動装置」
【開放性系統(新奇さ・複雑さへの探索)】
好むもの: ビバップ、アブストラクト、非主流の複雑な音楽
効いている特性: 新奇さと複雑さを求める「暗黒大陸への探求心(開放性)」
これ、同じ「感覚探索尺度」っていう大きなステータス画面の中にある、隣り合った別のスキルツリーなんだよ。スリル・冒険志向(TAS)と、新奇さ・複雑さへの志向(開放性、および感覚探索の中では経験探索)は、重なる部分はあっても同じものじゃない。
ここから、一つの真理が導き出される。 「アブストラクトなフリージャズは大好きだけど、ジェットコースターは絶対に漏らすから乗らない」という人が、理論上ふつうに存在するってこと!! ……ジャズ界隈の皆さん、顔が思い浮かびませんか? 腕組みして難しい顔で聴いてるけど、富士急に連れて行ったら半泣きになるオジサンたちを。🤣🤣
逆に、スキーとスリルライドは同じ「TAS(重力への反逆)」だから、前回俺が言った「スキー好きは絶叫好き」は同じ因子だったわけ。
ちなみに村長は、FUJIYAMAに単独登頂してヒャッハー!と言いながら、コルトレーンを聴いて悦に入るタイプ。TASも開放性もカンストしてる「狩人であり探検家」ってことらしい。両方高いと、自分で絶叫マシンに乗りに行った上で、そのヤバさをブログに書き殴るという、めんどくさい性格になるようだ。🤷♂️
(※なお正直に断っておくと、音楽嗜好の研究の多くは「ジャズ」「クラシック」というジャンル単位で行われており、ビバップ対スウィングというジャンル内部の対比を直接調べた研究は、私が見た範囲では見当たらなかった。なのでこの節の後半は、確立した知見からの村長的「外挿(オレ理論)」である)
6. サックス講師としての、実務的な「卍解」のタイミング
さて、ここまではぜんぶ「聴き手」の話だった。
ここからは「吹き手」の話をする。緊張と解決を、どういう順番で身体に入れるか、だ。
この18年サックスを教えてきた村長として、教育の現場にバチッと接続するぜ。ここからは論文の話じゃない。18年間、教室でやってきた実務仮説である。
まず、よくある誤解から潰しておく。
「初心者にはまず、安全な王道フレーズを配れ」。ツーファイブが素直にトニックへドーン!と落ちるやつを暗記させろ、という話。
うちの教室では、これをやらない。
なぜか。それは他人の解決だからだ。
暗記したフレーズが綺麗に着地しても、そこで発生する脳汁は「先生が用意した正解をなぞれた」の快感であって、「自分が読み切った」の快感ではない。似ているが、まったく別物だ。そして後者の経験値を積まないと、いつまで経っても呪力(技術)が自分のものにならない。
では何から始めるか。1音である。
いきなりアドリブをやらせる。ただし、使っていい音は1音だけ。
これが村長式の「保護枠(絶対安全の結界)」だ。枠を作っているのはフレーズではない。選択肢の数のほうである。
1音しかなければ、迷子になりようがない。外しても、次の小節でまた同じ音が鳴るだけだ。そのかわり、生徒はいやでも気づく。同じ1音が、コードが変わるたびに違う顔になる。 さっきまで気持ちよく収まっていた音が、次の小節では明らかに落ち着かない。
これが「解決」と「緊張」の初回接触である。理論ではない。身体で先に食らう。
そこから2音。3音。使える音を1つずつ配給していく。増えるたびに、「どこに落とせば収まるか」「どこで引っ張ると気持ち悪くなるか」の地図が、自分の中に描かれていく。
フレーズを配ると、この地図が描かれない。 地図の代わりに、他人が引いた道順を1本もらうだけだ。道順は早く目的地に着くが、道を外れた瞬間に終わる。
ビバップも、フレーズは教えない
同じ理屈で、うちではビバップのフレーズ集も配らない。教えるのはフレーズの作り方のほうだ。
理由は単純である。フレーズを100個覚えた人は、101個目で止まる。作り方を覚えた人は、止まらない。
そしてもうひとつ。フレーズを覚えた人は、そのフレーズが「効く場所」でしか使えない。作り方を知っている人は、いま鳴っているコードに合わせて、その場で作る。ジャズがやろうとしているのは、どう考えても後者のはずだ。
順番は、絶対にある
とはいえ、元の主張は生きている。「解決を保証する技術」と「緊張を作る技術」は、全く別のスキルツリーである。そして絶対に順番がある。
ただし、順番の理由が違う。安全なフレーズを持っているから安全なのではない。選択肢が少ないから安全なのだ。
「必ず安全に着地できる」を細胞レベルで理解して、初めて「焦らし・外し・ぶつけ」という高度なプレイ(卍解)が成立する。逆から教えると、ただの**「ずっと迷子で不安なだけの地獄の演奏」**になる。呪力ゼロで領域展開しようとして自爆するやつだ。
で、ここが面白いところなんだが
18年やってきて気づいたことがある。
入口と出口が、同じ形をしている。
初心者は1音から始める。選択肢がないから、1音を選ぶ。 そして上級者は、山ほど選択肢を持ったうえで、あえて1音を選ぶ。
外から見ると、どちらも音数が少ない。中身は正反対だ。前者は他に打つ手がなく、後者は他に打つ手が全部あるうえで撃たないと決めている。
この18年は、生徒を「音数の少ない場所」から連れ出して、ぐるっと回って「音数の少ない場所」に帰ってこさせる仕事だった、ということになる。
……最初から動いてなくない? という気もするが、まあ、そういうものである。ジャズとはそういうものだ。

7. 結論:タワー・オブ・テラーは「ビバップ」である
「緊張と緩和」は理論化されている(ITPRA)。解決の快感のデカさは、直前の絶望(緊張)のデカさに依存する(対比的valence)。
スウィングは単純じゃない。「予測が当たる(やっぱりアンパンマン!)」という別の極上報酬ルートを使っている。
ビバップが快感になるのは「調性の中なら最後は着地する」という保護枠(安全バー)があるから。アブストラクトはその枠を意図的に外す特級呪物。
聴き手を分けるのは「開放性と経験探索」。スリルライドを分けるのは「スリル・冒険探索」。隣り合った別のスキルツリーである。
保護枠は「安全なフレーズ」では作れない。「選択肢を絞る」ことで作る。初心者が1音しか吹けないのと、上級者があえて1音しか吹かないのは、外から見ると同じ形をしている。
そして最後に、この一連の考察で俺が一番シビれた結論を叫んでおく!!
タワー・オブ・テラーは、構造上、完全に「ビバップ」である!!🗼👻🎷
限界まで緊張を積み上げ、期待を裏切り、心臓をフワッとさせ、最後に地上へズドーンと着地する。対比的valence(カタルシス)を最大化するために設計された、完璧なジャズ・アトラクションだ。
一方、ディズニーのパレードは「歌もの・スウィング」である!!🐭✨ 予測どおりのキャラクターが、予測どおりのキラキラした音楽に乗って、予測どおりの音量でやってくる。そして人は、その圧倒的な予定調和の美しさに涙する。
どっちも極上の快感(エンタメ)だ。使っている脳内ルートが違うだけ。
……そして我が家の8歳の現場監督は、人生で初めて「ビバップ(タワテラ)」の洗礼を浴びて、「ストレス解消になった(整った〜)」と笑った。
よし。次は彼女に、ジョン・コルトレーンを聴かせてみようと思う。
精神崩壊するアブストラクトなフリー系じゃなくて、
『ジャイアント・ステップス(Giant Steps)』のほうな。😎🎷
……と言いたいところだが、正確を期しておく。
あの曲、実はタワテラじゃない。緊張を溜めていないのだ。
1〜2拍ごとに、ちゃんと着地する。というか着地しかしていない。
問題は、着地した先に毎回ちがう床があることだ。
長3度で3つのキーをぐるぐる回るせいで、
「解決したのに、さっきと違う場所に立っている」が延々と続く。
つまりこれ、タワー・オブ・テラーではなく、
着地するたびにフロアが入れ替わるタワー・オブ・テラーである。
ITPRAの「P(予測)」が、秒間何発も外され続ける。
……あれ。こっちのほうがヤバくない?
8歳の現場監督、耐えられるかな。
ウェーーーーーイ!!🥂✨
出典・参考(マジメなやつ)
Leonard B. Meyer『Emotion and Meaning in Music』(1956)
David Huron『Sweet Anticipation: Music and the Psychology of Expectation』(MIT Press, 2006)——ITPRA理論、対比的valence
Patrick Litle & Marvin Zuckerman「Sensation seeking and music preferences」Personality and Individual Differences 7(4), 1986
Stephen J. Dollinger「Research Note: Personality and Music Preference: Extraversion and Excitement Seeking or Openness to Experience?」(1993)
Peter J. Rentfrow & Samuel D. Gosling「The Do Re Mi's of Everyday Life: The Structure and Personality Correlates of Music Preferences」JPSP (2003)
Michael J. Apter, 逆転理論/保護枠(protective frame)
※音楽嗜好の性格研究はジャンル単位のものが中心であり、ビバップ対スウィングというジャンル内部の対比を直接検証した研究は確認できていません。第5節後半は既存知見からの外挿です。
