見出し画像

未完成婚・セックスゼロで母になる!?#24 新婚旅行に潜んでいた落とし穴|カミングアウト前①

夫と一度も膣性交ができないまま、体外受精が始まり、どんどんメンタルが不安定になっていった私。
採卵の後に高熱を出し、ついに我慢が限界を超えた。

⬇️これまでのお話


「セックスするよりも先に、子供を作ろう」

そう決めて不妊治療を始めたものの、一度も膣性交がないまま試みる体外受精は、予想をはるかに上回る苦行だった。

自分1人で辛さを抱えることができなくなった私は、知人のアドバイスもあり、義理の母へ未完成婚をカミングアウトする決意をした。

実は、義理の母へ未完成婚をカミングアウトすることは、私と義理の母にできていた過去のわだかまりを、完全に解消する可能性も秘めていた。


時はさかのぼり、夫と一緒に暮らし初めた最初の2カ月間、表面をなぞるようなキスからまったく進展しない夫婦の身体的距離に、どんどん不安が増していった。

抱きしめ合ったり、キスをしたりしても、その後の展開へ盛り上がる気配がまったくなかった。

この頃、キスはおろか、夫から抱きしめてくれることも一切なく、コミュニケーションのすれ違いもあり、私からのセックスの誘いはすべて夫から断られていた。

「セックスをしたいと思わない。」
「子供を作る目的のセックスなら意味があるけど、夫婦のコミュニケーションとしてのセックスはいらない。」
「自分から、キスしたり抱きしめたりは無理、できない。」

今まで聞いたこともなかった言葉の数々に、目の前が真っ暗になった。セックスに誘う度に、期待しては不発に終わり、「あぁ……今夜も一人で眠るのか……」と、泣きながら、夜な夜なこの状態を検索した。

行き着いたのが『未完成婚』『アセクシュアル』という定義だった。


ロマンティック・アセクシュアル

おそらく夫に一番近いだろう、このセクシャリティは『恋愛感情はあるが、性的に惹かれない』というものだった。

絶望した。

お見合いのスピード結婚ではあるが、私はいつの間にか、しっかり夫が好きになっていた。

「やっと出会えた、やっと結婚できた愛する人と、私はこれから先ずっと、セックスができないのか…?」 

「たとえセックスできたとしても、このスピードでは子供は間に合わない…私は、子供を作るチャレンジすらできないままに、このまま老いていくのか…?」

新婚の幸福感は、一気に絶望に変わった。

「この結婚は、間違いだったんじゃなかろうか…?お互いに違う人を探したほうが、幸せになれるんじゃないか…?」

毎日毎日、『離婚』というキーワードが頭の中を渦巻いていた。



一緒に暮らして2カ月目に、ついに心を決めて夫へ打ち明けた。
この話し合いが決裂したら、もう離婚しかないと思った。

私は、セックスのある夫婦生活を望んでいる。

セックスの誘いを断られる度に、傷ついて泣いていた。

夫婦間にセックスがない生活と、異性の友達との同居生活の区別がつかない。今の生活は、友達との合宿のようにしか思えず、夫婦であると思えない。

なぜ、私を拒否するのか?私じゃダメなのか?私以外だったら、受け入れられるのか?
私がダメなら、他の人を探して欲しい………

もし、誰ともセックスをしたくないのなら…
夫と同じように、セックスのない夫婦を理想とする女性も、数は少ないが確かに存在する。セックスのない結婚、「友情結婚」を専門にする、結婚相談所もある。

私と別れて、もう一度、その友情結婚専門の相談所で、性的な考えが一致する新しいパートナーを探すこともできる。あなたは、その方が幸せなのか…?

ぼろぼろに泣きながら、夫に伝えた。


「違う。そうじゃなかったんだ。本当に拒否する気持ちは、まったくなかったんだ。コミュニケーションが下手でごめん………他の人がいいなんて、思っていない。」

夫も、泣きながら伝えてくれた。

私を、拒否する気持ちはまったくなかったこと。
自分の無意識の言動で、私を傷つけていたことを反省し悔やむ気持ち…

私の気持ちが、離れそうになっていることにも気づいたのだろう、
「まだ、間に合う?」
と、涙を流しながら私に尋ね、初めて夫から抱きしめてくれた。

あのときの夫の顔、恐る恐る私に触れた手を、私は今でも忘れられない。

その後、初めてセックスに挑戦するも、その道のりの遠さにうろたえてしまった。これは、本当に子供が間に合わないかもしれない………

直感的に、カウンセリングや医療機関の助けがないと、まずいと感じた。私に残された、妊娠できる期間はとても少ない。

勇気を出して、夫にカウンセリングを受けたい、と伝えたが「必要ない」と一蹴された。

仲直りしたと思った、やっと抱き合えたと思った、次の瞬間に、また私は絶望してしまった。私は、本当に子供が産めなくなるかもしれない……

今思うと、女慣れしていない夫は、自分の状況を受け入れるのにいっぱいいっぱいだったのだ。女性とセックスの話をするのも、セックスそのものに挑戦するのも、恥ずかしさやプレッシャーでいっぱいだったに違いない。

一方、私は、女性経験がわりと豊富な年上男性としか恋愛してこなかった。女性慣れしていない恋愛に消極的な夫のような男性のことが、まったくわかっていなかったのだ。

夫にとって、初めてセックスに挑戦したあのとき、緊張からかまったく反応しなかったことに、私は動揺を隠せなかった…。それは、今でも悔やんでいる。

笑顔で「楽しかったよ!またしようね!」そう言えれば、どんなにかよかったろう…
でも、私は「あぁ……やっぱり、私ではダメなんだ…」と思ってしまった。

私は私で、自分の状況にいっぱいいっぱいで、余裕がなかった。結婚を機に、長距離の引っ越しもして、すべての環境が変わっていた。そして何よりも、このままでは子供を作るチャレンジすらできないという恐怖に、追い詰められていた。



表面上は仲直りしつつも、心は絶望したまま、私は仕事の都合と結婚式の打ち合わせのために、一度実家へ帰った。

遠距離のお見合いだったため、籍は入れ一緒に暮らし始めたものの、私たちは結婚式も新婚旅行もまだしていなかった。

結婚式は、仕事上、交友関係の多い私の実家のある地方で、昨年の秋にすることで合意していた。
そして、その結婚式の前の夏に、新婚旅行も兼ねた、家族旅行を計画していた。

私と夫の共通の趣味は、旅行と音楽だ。旅行先は海外の個人旅行一択、せっかくなら旅行ついでに海外でフォトウェディングをしよう!という話になった。その写真を使って、日本でのアフターパーティーのような、レストランウェディングをする流れだった。

一番最初は、2人だけ海外フォトウェディングをしようか、と話していたが、私の母がどうしてもウェディングドレス姿が見たい!と希望した。

私は1人娘で、両親は離婚していた。
夫の父親は近年亡くなり、母親1人だ。

アラフォー同士の結婚、2人の母親は元気ではあるが、いつなにが起こるかわからない年齢でもある。親孝行をしておきたい気持ちもある。

親と海外旅行をするならば、親が動けるうち、私たちに子供が産まれる前、そんな貴重なタイミングは「今」しかなかった。

2人の母親に共通の趣味もあることで、フォトウェディングを兼ねた新婚旅行+母親2人を連れた親孝行旅行、という詰め込みまくった旅の計画を立てていた。

夫と私は、旅慣れている、という自信もあった。

だがしかし、この計画を読めば、この旅は最初から危険をはらんでいることに、勘のいい人たちは気づくだろう……

私は、この旅の計画の大きな落とし穴に、このときはまだ気づいていなかった。



子供を望みながら、夫とうまく意思疎通もセックスもできない状況の中、表面上は仲直りして、実家へ帰った私に、夫から1通のメッセージが届いた。

「そろそろ、海外旅行のホテルを予約しようと思います。ゆっくり休めるよう、母が親子同室を希望しています。

つきましては、このホテルのこの部屋でどうですか?」


新婚旅行、母子同室だって!?!?!?



私は、完全にキレた。









いいなと思ったら応援しよう!