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未完成婚・セックスゼロで母になる!?#21 ホルモン剤注射、ぼろぼろになる心

注1)精神が、めちゃくちゃに落ち込んだときの気持ちを書いています。
気持ちを持っていかれやすい方は、読まずにスルーしてください。

注2)ロマンティック・アセクシュアル気味な夫に向けた、私のありのままの感情は、アセクシュアルな方々への否定となるかもしれません。しかし、私のnoteは、アセクシュアルではない人とアセクシュアル気味な人とが夫婦として生きていく、その葛藤を書くことがテーマです。ご了承ください。


膣性交をするタイミングは逃したが、愛犬との最後の別れをして、自宅に戻ってきた。2025年、新年になっていた。

⬇️前回からの続き

1月の生理が始まった3日後から、ホルモン剤の注射が始まる。いよいよ、不妊治療の最高段階、体外受精だ。

結婚前に卵子凍結を失敗していた私、あのときのホルモン剤の副作用はキツかった。今回は、副作用がキツくないことを、ひたすら願った。



自宅へ戻ってから、夫とセックスをするチャンスはゼロではなかった。子供を作る目的がなくてもセックスする意思を、夫も示してくれていた。

しかし、私は肉体的にも精神的にも疲れていた。年末年始のドタバタ、愛犬の急な病、覚悟している別れ、飛行機での往復、おまけに1月から不妊治療と両立できそうな新しいバイトを始めていた。

睡眠も浅めで、疲れもすぐにとれなかった。セックス好きの手慣れた男が相手だったならば、それでもできていただろう。前戯ありでも、20分あれば絶頂までイケる。

でも、ロマンティック・アセクシュアル気味の性欲ゼロ夫とするには、私が完全リードして手探りでやらなければならない。セックス好きの私だが、このときはそんな元気は残っていなかった。


生理周期が乱れない私、予定より1日早かったものの生理がやって来た。いよいよホルモン剤の始まりだ。バイトを早退し、急いで病院へ向かう。

ついに、夫と一度も膣性交をしないまま、体外受精が始まる………子供が欲しいから体外受精へ進むのに、私の心は悲しさと不安でいっぱいだった。

病院の待合室に座る女性たちを、羨ましく眺める。ここにいる人たちは、何かしらの理由があって不妊治療を受けている。

でも、夫と一度も膣性交をしないままに、不妊治療を受けている女性がここにいるんだろうか………きっと、私1人に違いない……。

いいなぁ………
この人たちは、夫から愛されたことがあるんだ…………

熱い夜を過ごしたことが、きっと何度もあるんだ……
いいなぁ………いいなぁ………

なんで私たちには、それがないんだろう………

惨めだった。
滲み出てくる涙を、こっそりと拭った。


担当医師が、初診の毒舌男性婦人科医から、小動物のようにかわいい女性婦人科医へ変わった。優しそうな先生でホッとした。(あの毒舌医師には心から感謝してるし好きです、別の意味で笑)

⬇️総合病院での初診のお話

卵子凍結失敗のときのホルモン剤の副作用がひどかった私、医師もそれに配慮してくださった。

「今度のホルモン剤は、卵子凍結のときとは違う種類のものをお出しします。ヒトの遺伝子を組み込んだ細胞を用いて製造しているので、副作用が少ないと言われています。注射もペンタイプなので、アンプルを折って薬剤を混ぜる必要もないですし、注射もしやすいです。」

医師の説明を聞いて、安心した。
続いて、看護師から自己注射の説明……2年前に頑張ってやっていたが、もうやり方は覚えていない。

今回処方されたのは、ゴナールエフ皮下注ペン。以前の針よりも細く、薬液の量もダイヤルを回して設定するのでだいぶラクだ。それでもビクビクしながら、シリコンの模擬お腹にペンタイプの針を刺す。

これを自分のお腹に刺すのか〜……
やっぱり恐いよねぇ〜……

それでも何でも、やるしかないのだ!!!
がんばれ、自分!!!!


最初こそ、「いやだ!恐い!刺せない!」とギャーギャー叫びながら、心を決めるのに30分かかっていた自己注射…それでも、毎日していくうちに自然に慣れていき、5分くらいでできるようになってきた。慣れってすごい……!!!

早く注射する私のコツは、「この注射針を自分の腹に向け震えているこの瞬間に、地震が来たらどーするか!?」という、妄想追い込み法だった笑

地震が起こったら、間違いなく、あらぬ場所に注射針をぶっ刺し、痛い思いをする……そんなん嫌だ!!そうならないために!ほら!さっさと打つ!!

これは、効く!!!!!!


自己注射がなかなかできない方に、おすすめしたい笑

こうして、ホルモン剤注射という行為には慣れていったが、最初は無痛だった注射の痛みは、少しずつ強くなっていった。ホルモン剤を続けていくと、どんどん卵巣が腫れていく。通常はひと月に1個しか育たない卵胞を、ホルモン剤で無理やりに複数個育てているのだ。

それにつれて、卵巣はどんどん大きく腫れていき、注射の痛みも増していった。そして、何よりも…………

私は、精神的にどんどん追い詰められていった。


「私はまだ一度も、夫とセックスができていない…なのになぜ、この人との子供を産もうとしているのだろう………」

私の心は、そんな思いに蝕まれていった。

もしかしたら、セックスはできているのかもしれない。

「挿入なしのセックスは、セックスでないのか?」という質問には、「挿入がなくても、愛のある気持ちいいセックスができる」と、多くの方が答えるだろうし、私もそう思う。本心でそう思っている。

前戯だけでも双方が気持ちよくなれるし、イケるし、愛を感じることができる。その経験もしている。

だが………私たちは「一度も」挿入セックスができていない。子供ができるには「挿入して中に精子を出すセックス」が必要なことは明白だ。

私たちには、それがない……………

この違和感は、この不安は、この嫌悪感は、もう本能的なものとしか言いようがないかもしれない。

私は、一度もこの人の男性器を受け入れたこともなく、その男性器で気持ちよくなったこともなければ、子供の元となるものを受け取ったこともない。

なのに、なぜ……………?なぜ、この人との子供を産もうとしているのだろう……

子供ができるようなセックスが一度もない。だからこそ私が夫との子供を産むには、体外受精しかないのだ。選択肢はひとつだ、わかっている…

でも嫌だ………セックスなしで子供を産むなんて……本当は、こんなの嫌だったのに………なんで?なんで?

今たとえ、この状況を我慢して乗り越えたとて…

採卵、体外受精、移植、着床、そして妊娠すれば、その妊娠期間中に、私は夫とセックスするのだろうか?

普通の男性ならば、妊娠中の妻とセックスできなくて、夫が欲求不満でとても辛くなる。だから、安定期にセックスしてもいいと医者から言われれば喜んでするだろうし、妻とセックスできずに溜まった性欲を風俗やら、ときには浮気という形で発散させる。

だが、私の夫はロマンティック・アセクシュアル気味な性欲ゼロの夫である。通常時でさえ、自分にはセックスは必要ないと言っている。

おまけに、夫は心配性なところがある。「余計な刺激を与えて流産したら大変だ!だから、セックスはやめておこう。」そんなセリフを言う夫が、目に浮かぶ…

子供が産まれたしばらく後も、セックスできない。なんなら、女性側はホルモンの変化と子供を守らなければいけない本能から、夫とセックスしたくなくなる、とも聞く。

確かに、性欲強めだった私の友達たちも、みんな母になったら夫としたくなくなった、と言っていた。

このまま治療がうまくいき、子供が産まれれば、これから数年先までセックスがない未来が訪れる可能性が高い。

挿入ありセックスが0回、挿入なしセックスも3回ほどしかしていないまま、子育てをする生活…


対して、もし不妊治療を頑張っても、子供を授からなかったら………これから、どちらかが先に死ぬまでのあいだ、夫婦2人だけの生活が待っている。

子供もいない、セックスもない、夫婦2人の生活…

「子供を作るためならセックスする意味はある、でも夫婦のコミュニケーションとしてのセックスはいらない」と、結婚当初に言っていた夫……

今でこそ、その思いが変化して、精子無力症でセックスにより子供が産まれる可能性がとても低いと判明していても、夫は私とセックスする努力を確かにしていた。

それでも、私は罪悪感を強く持っていた。夫はセックスは必要ないと言っているのに…夫がいらないと言っているものを、私が求めている。私は夫に無理をさせているかもしれない………

夫の性欲はゼロだ。夫が自ら、私を求めてくることは、今までもこれからもないだろう。私から誘わなければ、スキンシップゼロ夫婦になるのは、確実だ。

結婚当初からずーーっと、どちらか一方が死ぬまで、夫婦2人だけのこんな生活……


子供がいる未来

子供がいない未来


どちらを想像しても、幸せな日々を思い描くことができない………


子供がいる未来を想像しても、幸せを想像できないことで、私はさらに自分を責めた。

子供を望んでいる。心から望んでいる。
私は、結婚する前からずっと、子供を産み育ててみたかった。

夫と結婚し、やっと妊活に挑戦できるようになって、それなのに、子供が生まれた未来を想像しても、幸せに思えないなんて…

その子にも本当に申し訳ないし、母親として最低極まりない。不妊治療に何年も励み、辛い思いをしている女性は、世の中にたくさんいる。そんな女性たちにも失礼だ。

こんなことを思っているなんて…
私には妊娠する資格なんて、ない…



ドロドロした思いを、誰にも言うことができなかった。


未完成婚なことを伝えている母、セックスの話もオープンな母子関係だ。夫とのことで、これまで散々心配をかけてきた。私と夫が離婚寸前だった時期は、母と夫との関係もおかしくなった。母と夫は、最近やっと和解したばかりだった。

これ以上、母に心配をかけたくない…


友人たちにも、言うことができなかった。夫と未完成婚なことを相談している友達は、何人かいた。その友人たちは、皆、自然妊娠で子供が産まれていた。夫と膣性交ができないまま体外受精を経験した友人は、もちろん一人もいなかった。

この苦しさを、わかってもらえるはずがない…みんな、普通に夫とセックスして愛されて、子供を作っている…いいなぁ…うらやましいなぁ…


ネット検索したら目に入ってくる、「○○年セックスレスだけど妊活に挑戦!私はこうしてレス解消できました!」という記事…

今は、セックスレスですけど、昔はあったんですよね?夫とセックスしたこと、あるんですよね?私は、それだけで十分うらやましいです。夫とセックスの経験がある人のレス解消の手段なんて、まったく役に立ちません。こんな経験、したことあります?

見も知らぬ人への羨みも、苛立ちも湧いてくる。不健康な不幸自慢…


夫にも、もちろん言わなかった。

未完成婚を発端として、新婚半年間はずっと離婚危機だった。私はこのときも荒れに荒れ、その様子から精神疾患を疑われた。「子供が欲しい39歳が、新婚当初からずっとセックスがなく、妊活の一歩すら踏めなくて、精神を病まないほうがおかしいだろう!」と叫びたいが、ロマンティック・アセクシュアル気味の夫には理解されるはずもない。

今ここで、私が不安定になっている様子を見せたら…また、精神疾患を疑われる…
そんなのムカつく!!!!私は、おかしくなんかない!!!
おかしいのは!!あんたの方なのに!!!!!

絶対絶対、夫には私が落ち込む様子を悟られてなるものか!!!!
このひどい状況にも耐えて、私の心が強いことを証明してやるんだから!!

しかも、どうせ言ったって、私の辛さも悲しさも夫には伝わらない。体外受精が始まる前に言ったんだ、「セックスする前に、子供を作るのはつらい」って…「こんなの自然じゃないって」って…「嫌だ」って…

私は、ちゃんと言ったのに…!!ずっと伝えてきたのに!!いまだに、夫は私の気持ちを理解していないじゃないか!!

私の気持ちを言ったって、夫の独自理論で跳ね返されるだけだ。

夫には性欲がない。自分にとってないものが、ある状態を想像することはできない…そして、自分にとってあるものが、ない状態を想像することもできないのだ…

セックスについて、夫と話して話して、私にはようやくそれがわかってきた。

夫には、伝わらない…夫には、理解してもらえない…

言っても無意味だ……
もう、伝えることにも、話すことにも、議論することにも疲れた…


熟睡できず、何度も目が覚めるようになった。

突然、怒りや悲しみに襲われた。

なんでもないときに、ふいに涙がこぼれてくる。

膣性交がないせいなのか、ホルモン剤のせいなのか…。両方のせいなのか…。夫と膣性交をした上で、ホルモン剤注射をした場合と比べようもないから、わからない。

こんな心身の状態で、いい卵子を作ることができているのだろうか…

ごめん…ごめんね、卵ちゃん…このときを、待ちわびていたのに…弱くてダメな母でごめん…


私は、孤独だった。

私は、私を孤独にさせた。


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