「ママ、一緒に行こう」と言わなくなった中1の娘
上の子が中学生になった。
まだ中学生になって半年ほどだったのに、急に中学生らしくなったように見えた。
剣道部に入った。
塾にも通い始めた。
小学生の頃とは、何もかも変わった。
中学校って、義務教育だよねぇ??
なのに、とてもお金がかかる。
剣道着に、防具に、竹刀。
剣道なんて、私は何も知らなかった。
子どもがやりたいと言うから始めたら、まあ、お金が出ていく。
万単位のお金が、羽が生えたように飛んでいく。
試合があれば交通費もかかる。
中学生になれば電車も大人料金だ。
塾にも通い始めた。
これまた万単位の月謝がかかる。
夏期講習、冬期講習。
英検、漢検、数検。
剣道の級審査。
何かするたびに受験料がかかり、そのための参考書や問題集も買う。
義務教育なのに、どうしてこんなにお金がかかるんだろう。
そう思っていた。
でも、大変なのはお金だけではなかった。
この辺りの中学校は、毎日給食ではなくお弁当だった。
朝が苦手な私には、それが地味にしんどい。
部活の試合があれば、休日もお弁当。
土曜日は朝から部活。
週末も、以前のようにのんびりできなくなった。
塾は週に二回。
19時から22時まで。
女の子だから、22時を過ぎると心配で、マンションの下まで迎えに行った。
雨が降れば、夫が車で迎えに行った。
定期テスト前になると、さらに忙しい。
週末は朝から晩まで塾。
テストが近づけば、毎日、学校から帰って塾へ行く。
テスト当日は、登校前に塾で一時間勉強してから学校へ向かう。
だから私も、普段より早く起きてお弁当を作った。
正直、親もなかなか忙しい。
でも、娘は頑張っていた。
こちらが心配になるほど頑張っていた。
私の子とは思えないほど根性がある、と本気で思った。
だから、何も言えなかった。
頑張っている子どもに、
「そんなに忙しくしないで」
とは言えない。
やりたいことをやっているのだから。
部活も。
勉強も。
友達と遊ぶことも。
娘は、どんどん自分の世界を広げていった。
そして私は、無性に寂しかった。
娘から私への用事は、
「ご飯」
「○○やっておいてくれる?」
「お金ちょうだい」
そんなものばかりになった。
半年前まで、
「ママ、一緒に○○行こうよ」
「ママ、一緒に遊ぼうよ」
と言っていた子が、いつの間にかそんなことを言わなくなった。
近寄っていっても、
「何?」
と、少し面倒そうに言われる。
成長した証だとわかっていた。
子どもが親から離れていくのは、当たり前のことだ。
わかっていた。
でも、わかっていても寂しかった。
子どもが小さい頃は、
「早く大きくなってくれないかな」
と思っていた。
一人で着替えられるようになれば。
一人で留守番できるようになれば。
手がかからなくなれば。
もっと楽になると思っていた。
実際、手はかからなくなった。
自分で学校へ行き、
自分で友達と遊び、
自分でやりたいことを見つけ、
自分で自分の世界を広げていく。
親が望んでいたことのはずだった。
でも、その成長と引き換えに、
「ママ、一緒に行こう」
と言ってくれる時間は、
少しずつなくなっていった。
あの頃の私は、それが寂しかった。
子どもが成長することは、うれしい。
でも、少し寂しい。
親になるまで、そんな当たり前のことを知らなかった。
娘の物語
2歳の頃、「ママとパパを見つけたの」と不思議な話をした娘。
中学生になると、親の知らない世界をどんどん広げていきました。
そして大人になった娘は、家を出ていきました。
▶ 「ママとパパを見つけたの」2歳の娘が話した、生まれる前の記憶
