光のあった場所から、絵を思い出す──「小出楢重 新しき油絵」 府中市美術館
窓から差し込む光を見て、ふと思い出した。
床に落ちる淡い影。
午後になると少しだけ角度を変える光。
そんな何気ない景色から、
小出楢重のアトリエを思い出した。
吹き抜けの大きな窓から、やわらかな光が差し込む、小出楢重のアトリエ。
そしてそのあとに訪れた、府中市美術館の「小出楢重 新しき油絵」展のこと。
西洋人の肌とは違う、日本人のやわらかな艶を纏った肌の色。
いわゆる「裸婦の楢重」として知られる作品たちが、
あのアトリエで描かれていたのだと思うと、少しだけ見え方が変わる。
繊細なトーンは、
あの空間に満ちていた光のおかげだったのかもしれない。
アトリエができる前、彼は小さな和室で描いていたという。
モデルを横たわらせるポーズも思うように取れず、
日本家屋の気配がどうしても画面に入り込む。
壁に布をかけたり、フランス人形やランプを置いたりして、
西洋の空気をつくろうと苦心したらしい。
少し可笑しくて、妙に親近感がわく。
完璧な一枚のために、背景を整えたり、見せたくないものを隠すのは、
“映える一枚”を探している今のわたしたちと、案外似ている。
作品を見ながら、記憶はさらに、昨年秋に訪れた山崎隆夫の展覧会へと遡る。
白い絵の具で光を入れるところや、
どこか似た静物のモチーフに、ふと足が止まる。
アトリエを引き継いだ師弟関係とは、
こんなふうに残るものなのかもしれない。
思いがけず、時間をまたいで、ひとつの展覧会を観ていたようだった。
作品そのものだけではなく、
そこに差し込んでいた光まで想像してしまう。
作品が生まれた場所に惹かれる理由が、少しだけわかった気がする。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
少しでも響くものがあれば、“スキ”で教えていただけるとうれしいです。
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