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金木犀は、姿より先にやってくる── 香りで気づく、秋のはじまり

金木犀の香りが、ふっと風にのってきた。

「あっ、もう咲いたのかな」

そう思って、辺りを見回す。
けれど、どこに咲いているのか、すぐには見つからない。

金木犀は、不思議な花だ。
姿を見るより先に、香りでその存在を知る。

まだ昼間は暑さが残っていて、木々もそれほど色づいていない。
秋らしい景色には、もう少し時間がかかりそうなのに。
金木犀だけが、ひと足先に秋を知らせにくる。
ずいぶん気の早い、季節の案内人だ。

季節が変わったことは、カレンダーよりも、
もっと小さなことが教えてくれる。

風の温度。
日が暮れる早さ。
そして、どこからともなく届く花の香り。

今年の秋も、そんなふうに始まった。


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