精神科医が障害年金を嫌がる理由【診断書を書いてくれない本当の事情】
障害年金の申請を考えた時、最初に壁になるのは『主治医』である。
主治医は病気を治すために伴走してくれる心強い味方だが、障害年金の申請となると急に障害になる主治医もいる。
中には、障害年金の話をするだけで露骨に嫌な顔をする人もいる。
私も経験があるが、診断書の作成を渋ったり拒否したりするケースも存在する。
しかし、なぜ精神科医は障害年金申請、もとい診断書の作成を嫌がるのか。
今回の記事では、その理由と対処法を整理していく。
精神科医はなぜ障害年金を嫌がるのか
過去の記事でも触れているが、障害年金申請で最も重要になるのは主治医の書いた診断書だ。障害年金の可否を決めるのは年金機構で、年金機構は主治医の診断書を基準に審査を行うからである。
つまり、主治医の診断書の書き方で障害を持つ当事者の生活が大きく左右されることになる。
障害基礎年金2級が通った場合、月7万円程のお金が受給できることになる。
これがあるかないかで、当事者の生活は大きく変化する。ひいては、長期的な人生すら左右することになるのだ。
次は、主治医が診断書作成を渋る理由を複数紹介していく。
診断書の作成は面倒・責任が重い
障害年金申請用の診断書は、書くことがかなり多い。病名や症状だけでなく、患者の生活状況や就労状況なども書く必要があるからだ。
あまり信じたくはないが、このややこしい書類を書くのが面倒という医師も少なからずいると思われる。
また、先述した通り診断書は障害年金の受給の可否を大きく左右する資料になる。主治医は患者の生活、人生を左右しかねない書類を書くことになるのだ。内容には大きな責任が伴うのは言うまでもないだろう。
この手間と責任を嫌って、障害年金申請を渋る医師は一定数いる。
過去に私がお世話になっていた主治医にもその傾向があった。
制度に詳しくない
「うつ病などの精神疾患は障害年金の対象ではない」
という誤解をしている人はしばしばいるが、残念なことに精神科医の中にもそういう人がいる。
この誤解をしているため、障害年金の相談をそもそも受けつけない医師もいるということだ。患者からしたら門前払いをされる形になる。
また、障害年金の制度自体に詳しくないため診断書を書かない医師もいるだろう。そういう医師は診断書を書こうにも書き方がわからず、ミスを避けたいがために診断書の発行を断ったりする。
知らないことはミスにつながるため、避けようというメカニズムだ。
理解できなくはないが、患者からしたらたまったものじゃないだろう。
患者との関係を壊したくない
障害年金用の診断書は重要書類であり、受給できるかを左右しかねないことは言うまでもない。
診断書を依頼された場合、主治医には記載内容に関するリスクが生じる。
そのリスクは、時に患者との信頼関係を破壊しかねない。
あえて症状を重く書くのはリスクだし、逆に軽く書いて障害年金がもらえなかった場合、患者から不満が出る可能性は十分にある。ありのままを書いた結果、不支給になった場合も患者との関係にはヒビが入るかもしれない。
障害年金手続きに置いて、主治医は患者と年金機構との板挟みになる。
そのトラブルを回避するために、診断書を渋る医師も多いということだ。
余談だが、私が過去にかかっていた病院の主治医は
「あなたの症状では絶対に受給できないから診断書は書かない」
と話していた。
また、高額な費用のかかる診断書を書いて不支給だった場合のトラブルも嫌だと言っていた。自分が受給できるだろうと判断した患者にしか診断書を出さない方針だったようだ。
信じられないかと思うが、そういう医師もいるということの照明のために自分の話をさせてもらった。
働けると判断しているケース
次に、患者が働けると医師が判断しているケースだ。
私たち患者は月に1回、多い場合は2回以上は診察で医師と話す。
その際に生活の支障や症状について相談することになるわけだが、思うように状況が主治医に伝わらないことがある。
その結果、患者は働ける状況じゃないのに主治医は働けると判断するという、すれ違いが発生することがある。この認識のズレが、障害年金の相談の際に足を引っ張ることは多々あるだろう。
病気でしんどくても、どうにか働けるなら働くべき、という考えを持った医師の場合、なおさら診断書を渋られてしまう。
そもそも障害年金に否定的
障害年金制度を警戒している医師も、診断書の発行を渋る可能性が高い。制度そのものへの不信というよりは、安易な需給への警戒と言うべきだろうか。
障害年金という制度に頼ることを甘えと考えていて、患者はどうにか働いて社会復帰を目指すべきという考えを持った医師は少なからずいる。ネット上にもそういう考えの人が多いのだから、とうの主治医がそういう考えを持っている可能性も捨てきれないというわけだ。
これはもうすれ違いなどではなく思想の問題だ。
主治医がそういうタイプだった場合、障害年金の申請そのものが難しくなるのは言うまでもない。
主治医が渋る場合の対処法
障害年金を検討している精神障害者を不安にさせる内容ばかり書いてしまったので、ここからは主治医が診断書を渋るタイプだった場合の対処法を書いていく。
診断書で困っている人がいたら参考にしてほしい
生活の困難を具体的に伝える
まず、診察時に生活の困難や症状の重さを具体的に伝えることが重要だ。主治医に状況の深刻さが伝わっていない場合は、まずすれ違いを解消する必要がある。
症状や生活の困難に関して、抽象的な話はなるべくしないようにしよう。
生活のどういう場面でどう困っているのかを、具体的に主治医に伝えるのが重要だ。
診察時に上手く話せない人は、あらかじめメモを用意しておくのがいいだろう。
精神疾患を持つ人は、辛い状況をどうにかやり過ごしてしまいがちで、喉元を過ぎてしまうと主治医に伝えるのを忘れてしまったりもする。そのため、症状や困りごとをメモにまとめておいて、診察時に伝えられるようにしておくといいだろう。
また、中にはメモをそのまま主治医に読んでもらうようにしている人もいるそうだ。話すこと自体にプレッシャーを感じる場合は、メモを読んでもらうという手段も考えた方がいいだろう。
状況の伝達を重ねていけば、すれ違いによる診断書の拒否は回避できるはずだ。
転院を検討する
すれ違いが決定的な場合、主治医の思想が強くてどうしても診断書を出してもらえない場合など、こちらの対処だけではどうにもならないパターンもある。
というか診断書を渋られたり拒否されたりした時点で、こちらの対処でどうにかなることは少ないと私は思う。その時点で、患者側は医師に不信感を抱くことになるからだ。
その場合は、転院を検討するのが無難だろう。
他の病院で新しい主治医と診察を重ねて、診断書を出してもらうのが近道になる。私の場合も、最初の主治医に否定されて転院し、転院先の主治医に診断書を書いてもらって障害年金を受給できた。
ただ、転院する場合の注意点もある。
まず、転院先の病院にそのまま行かないことだ。
障害年金において重要になるのは、通院が継続していることだからだ。勝手に転院してしまうと新しい病院での初診日が基準になってしまい、そこから1年半は申請自体ができなくなる。
なので、転院する場合は今の病院で紹介状を出してもらい、新しい病院の初診を受ける必要がある。記録上で通院を途切れさせないことだけは気をつけよう。
まとめ
主治医は患者からの要請があったら、基本的には診断書を書かなければならない。しかし、医師にも事情があって渋る、あるいは拒否するケースも少なくない。
そこで診断書の取得、ひいては申請を諦めてしまう人も少なくないだろう。
しかし、対策をすれば状況を改善することができるし、最悪の場合は転院を経ての申請も可能であることは覚えておいてほしい。
障害年金に否定的でない医師を見つける
日々の診察での伝え方に気をつける
困っている人は、この2点を意識してみるといいだろう。
そうすれば、少なくとも障害年金申請の入口に立つことはできるはずだ。
以下の記事に、障害年金の診断書対策について書いている。
申請を検討している人は目を通しておくと人生が大きく変わるかもしれない。
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