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🐯寅子を、もう一度はじめから書いてみようと思った。※予告動画付き

こんにちは、Bellです。

ここしばらく、寅子のことばかり書いていました。

『インビジブルフレーム』を書き終えて。

そのあと、寅子シリーズがそもそもどうやって始まったのかを振り返る記事を書きました。

最初は、寅年の妻のために書いた、一本の短編でした。

それが一作で終わらず、二作、三作と続いて。

気がつけば、ずいぶん遠くまで来ていました。

そして先日は、『インビジブルフレーム』の後日譚まで書きました。

そんなふうに、ここしばらく寅子シリーズのことを振り返っているうちに、ふと気になったことがあります。

そういえば、一番最初の寅子って、どんなだったっけ。

久しぶりに、第一作を開いてみました。

『京都発・新幹線連続殺人事件』。

すべての始まりになった話です。


🖋 久しぶりに会った、最初の寅子

読み始めて、ちょっと不思議な感じがしました。

もちろん、寅子なんです。

気になることがあると放っておけない。

何か引っかかると、じっと考え始める。

そして隣には、ひとしがいる。

ちゃんと、私の知っている二人です。

でも。

少しだけ違う。

考えてみれば、当たり前でした。

この第一作を書いたとき、私は寅子の話を、その後こんなに長く書くことになるとは思っていませんでした。

一作書いてみよう。

たぶん、そのくらいだったと思います。

だから当然、まだ書いていないことがたくさんありました。

寅子が、なぜ困っている人を見ると放っておけないのか。

両手の親指と人差し指でつくる、あの小さな「フレーム」はどこから来たのか。

ひとしと、いつ、どこで出会ったのか。

二人がどうやって、いまの二人になったのか。

そんなことは、第一作を書いた時点では、私自身も知りませんでした。

それが、その後も書き続けるうちに、少しずつできていきました。

不思議なものです。

最初に人物を全部つくってから物語を書いたのではなく、物語を書いているうちに、その人の過去ができて、その人らしい言葉ができて、その人ならどうするかが分かるようになっていった。

いつの間にか私は、第一作を書いた頃よりも、寅子とひとしのことをずっとよく知っていました。

すると、昔の作品を読んでいて思うわけです。

「今の寅子だったら、ここでどうするんだろう」

とか。

「ひとし、今ならそんな言い方しないよな」

とか。

別に、昔の寅子が間違っているわけではありません。

あれはあれで、最初の寅子です。

ただ、その後の二人を知ってしまった私には、少し違って見えるようになっていました。

変わったのは、作品というより。

たぶん、書いている私の方なんだと思います。


🖋 ちょっと直すだけのつもりでした

そこで、最初は軽い気持ちで考えました。

少し直してみようかな、と。

文章を整えて。

あとからできた設定と合わないところを直して。

いまの寅子とひとしらしい会話にして。

それくらいなら、すぐ終わるだろうと思っていました。

ところが。

始めてみると、全然そんなことにはなりませんでした。

一か所直すと、その前が気になる。

そこを直すと、その後も変わる。

会話を変えると、行動も変わる。

そして何より、

「いまの私が知っている寅子とひとしを、もう一度あの事件に放り込んだら、どうなるんだろう」

と考え始めてしまいました。

こうなると、もう「修正」ではありません。

ほとんど、もう一度書いています。

そこで今回、これは「改訂版」とは呼ばないことにしました。

セルフカバー版。

昔の歌を、何年か経って同じ歌手がもう一度歌うように。

メロディーは同じでも、声も、歌い方も、そこに乗る時間も違う。

そんな感じで。

同じ事件を、いまの私が知っている寅子とひとしでもう一度書いてみようと思いました。


🚅 第一弾は、『京都発・新幹線連続殺人事件』

ということで。

現在、

『京都発・新幹線連続殺人事件(セルフカバー版)』

を絶賛執筆中です。

舞台は、三月末の京都。

大阪への出張を終えたひとしと、京都駅で待ち合わせた寅子。

目的は、満開の桜。

そして、熊鍋です。

比良山荘へ行って熊を食べ。

鴨川の桜を眺め。

翌日は、一條戻橋や晴明神社を歩き。

平安神宮のしだれ桜を見て。

中村楼で田楽豆腐を食べる。

ちなみに、このあたりはかなり実話です。

私たち夫婦が実際にした京都旅行を、物語の中へ入れています。

そして、これも実話なのですが。

二日目。

のんびりしすぎました。

八坂あたりで時計を見たら、新幹線まで一時間もない。

しかもホテルには荷物を預けたまま。

そこから二人で四条通りを走り、ホテルで荷物を回収し、地下鉄に飛び乗って京都駅へ。

発車五分前。

なんとか新幹線に滑り込みました。

「間に合った」

あのときは、本当にそう思いました。

もちろん、現実の私たちは、それで普通に東京へ帰りました。

でも、小説の中の寅子とひとしは違います。

間に合ってしまいました。


🌸 桜の京都で、見てはいけないものを見る

前日の夜。

寅子とひとしは、鴨川沿いの店で、ある有名な政治評論家を見かけます。

いつもテレビでは自信満々に政治家を斬っている男が、その夜は、なぜかひどく怯えている。

しかも。

その男が、人目を避けるように会っていた相手は、テレビでは犬猿の仲として知られる野党政治家でした。

なぜ、あの二人が。

寅子の中に、小さな引っかかりが残ります。

そして翌日。

京都駅を発車した東京行きの新幹線で、二人はまた、その政治評論家を見かけます。

偶然だろう。

東京へ向かう新幹線なのだから、そんなこともある。

そう思っていた、そのとき。

前方の車両で、一人の男が倒れます。

倒れていたのは――。

昨夜、政治評論家と密かに会っていた、あの政治家でした。

そこから。

二人の京都旅行は、まったく別のものに変わっていきます。


🚨 いかにも、二時間ミステリーです

今回あらためて書いていて、自分でも思いました。

ずいぶん、二時間ミステリーみたいな話を書いたものだな、と。

桜の京都。

犬猿のはずの二人の密会。

謎の女。

消えた鞄。

正体の分からない「物」。

新幹線の中で起きる連続殺人。

そして――。

止まらなくなった新幹線。

いかにもです。

でも、せっかくセルフカバーするなら。

その「いかにも」を、今回は思い切りやってみようと思いました。

京都の旅の部分も、昔よりずっと丁寧に書いています。

寅子とひとしの夫婦らしい時間も増やしました。

事件の仕掛けも、かなり組み直しています。

そして、第一作を書いた頃にはまだ存在していなかった、その後の寅子シリーズとのつながりも、邪魔にならない程度に少しずつ織り込みました。

初めて読む方には、普通に一本のミステリーとして。

これまで寅子シリーズを読んでくださった方には、

「ああ、この二人が、あの第一作へ戻ってきたんだ」

と思っていただけるものになればいいなと思っています。


🎬 ということで、予告編を作りました

まだ絶賛執筆中です。

なのですが。

こういうことをやっていると、また余計なことをしたくなります。

今回のセルフカバー版。

どうせ二時間ミステリーみたいな話なら、

二時間ミステリーみたいな予告編も作ってしまおう。

ということで。

作ってみました。

いかがでしょう。

自分で小説を書いて。

自分でセルフカバーして。

その予告編まで自分で作る。

いったい私は何をしているんだろう、という気も少しします。

まあ、楽しいのでいいことにします。

『京都発・新幹線連続殺人事件(セルフカバー版)』。

現在、絶賛執筆中です。

京都を出た新幹線の中で、寅子とひとしは何を見ることになるのか。

そして。

二人が見ていたものは、本当に事件のすべてだったのか。

もう少しだけ、お待ちください。

近日公開予定です。


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