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東風日産が新型N7を予告――LiDAR+Momentaで「最初だけ」問題を解消できるか

    [無料]東風日産は2026年9月22日、BEVセダン「N7」の新型を正式発表する。発売を翌日に控え、東風日産の王騫副総経理は相次いで新N7について発信し、今回の改良で最も重視したのが運転支援であることを明らかにした。

    新N7はLiDARを搭載し、Momentaと共同開発した新しい運転支援システムを採用する。中国メディアでは都市NOAへの対応も伝えられている。現行N7にもMomentaの運転支援を搭載する上位仕様は存在するが、全車LiDAR非搭載であり、新型では中国BEV市場で急速に高度化した運転支援競争への対応が焦点となる。

    ただし、今回の改良を単なる「スマート化」として見ると、N7が置かれている状況を見誤る。

    N7は発売直後には月販1万台に迫る勢いを見せながら、その後急速に失速した。東風日産自身も今回は、初代N7で証明した「合弁ブランドでもNEVを素早く作れる」という段階から、「NEVを継続して進化させられる」ことを証明する段階へ移ったと説明している。

    新N7は、東風日産にとって「最初だけ売れるNEV」から脱却できるかを問われる改良でもある。

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    発売直後は月9500台、現在は1300台前後

    中国の新車購入時保険加入データでN7の推移を見ると、その形はかなり鮮明である。

    2025年春の発売後、月販は急速に増加。5月の約3400台から6月には6000台を超え、8月には約9500台まで上昇した。

    ところが、そこがピークだった。

    9月には約6900台へ減少し、10月約4500台、11月約3400台と低下。その後いったん持ち直したものの、2026年に入ると1000台前後まで落ち込み、春以降もおおむね1000~1600台程度で推移している。

    別集計でも、2026年7月のN7販売は1323台とされ、前年同月比81.75%減だった。

    つまりN7には、「誰も欲しがらなかった」という問題があったわけではない。

    むしろ逆である。

    発売直後には、月1万台近くを購入するだけの顧客層が確かに存在した。しかし、その勢いを維持できなかった。

    新N7で問われるのは、その理由をどこまで解消できるかである。

    東風日産自身が「運転支援の不足を補う」と説明

    王騫氏は9月21日の投稿で、新N7の中核顧客についてかなり具体的に説明している。

    中心となるのは、従来の合弁ブランド車からNEVへ買い替える、あるいは買い増しするユーザーであるという。

    この層は必ずしも最高性能や最先端スペックだけを追うわけではない。家族で利用するクルマとして、安全性、快適性、安定性、長期的な品質を重視する。

    王氏は、初代N7が発売直後に大きく販売を伸ばしたことを「まさにこのユーザー層から選ばれた結果」と説明する。

    一方で、続けて今回の新N7について、「今回は新N7で運転支援の不足を補う」との趣旨を明確にしている。

    ここが今回の改良を理解するうえで重要である。

    初代N7にはMomentaのエンドツーエンド(E2E)型運転支援を搭載する仕様も用意されていたが、LiDARは搭載していなかった。中国市場ではその後も都市NOAを含む高度運転支援の低価格帯への普及が進み、N7の商品競争力の弱点が目立つようになった。

    今回のLiDAR搭載は、単なる装備追加ではなく、その弱点に対する回答という位置づけになる。

    「敢開、好開、離不開」

    東風日産が興味深いのは、高度運転支援を単純なスペック競争として説明していない点である。

    王氏は新N7の開発を、ファミリーユーザーが運転支援を受け入れていく、

    「使ってみようと思える」「使いやすい」「やがて手放せなくなる」という段階に沿って磨き上げたと説明する。

    前日の投稿でも、今回最も大きくアップデートする領域として運転支援を挙げていた。

    新N7ではLiDARを搭載し、Momentaと共同開発したシステムを導入する。その理由について王氏は、「車内にいるのは家族であり、手に握っているのは家族全員の人生」と表現し、運転支援を家族の安全に直結する装備として位置づけた。

    これは東風日産が狙う顧客像とも一致する。

    最新技術を最優先する中国NEVユーザーではなく、従来の合弁ブランドが持っていた安心感を維持しながら、NEVとスマート化へ移行したいユーザーである。

    2000世帯を訪問、4万件超の意見を回収

    新N7は、発売から約1年で単純に装備を追加しただけではないと東風日産は強調する。王氏によれば、この1年間に東風日産は、

    • 2000世帯以上のN7オーナー家庭を訪問

    • 4万件を超える実際の提案・意見を収集

    • 5回のOTAを実施

    • 230項目以上の商品ディテールを改善

    してきた。「ユーザーの声を聞く」という言葉はスローガンではなく、この1年間の具体的な行動だったという。

    ここには東風日産が初代N7で証明しようとしたものと、新N7で証明しようとしているものの違いが表れている。

    初代N7のテーマは「スピード」だった。

    中国NEVメーカーが猛烈な速度で新型車を投入するなか、従来型の合弁メーカーでも中国市場に合わせたBEVを短期間で開発・投入できることを示す必要があった。

    実際、発売直後の販売を見る限り、その第一段階には成功した。

    しかし中国NEV市場では、発売するまでの速さだけでは足りない。

    発売後にユーザーデータやフィードバックを回収し、OTAで改善し、ハードウェアを含む商品改良へ素早くつなげる必要がある。

    新N7では、東風日産がその「発売後の速度」まで中国勢に近づけるかが問われる。

    品質では「32時間分解ライブ」

    一方で東風日産は、中国NEVメーカーと同じ戦い方だけをしようとしているわけでもない。

    新N7のもう一つの柱として強調しているのが、従来の合弁メーカーが得意としてきた品質である。

    東風日産は新N7に関連し、32時間にわたる車両分解ライブ配信を実施。第三者機関に車両を渡し、長時間かけて分解する過程を公開するとしている。

    王氏は「品質はファミリーカーの最低ライン」と説明し、東風日産の品質を細部まで透明化する姿勢を打ち出した。

    つまり、新N7の商品戦略はかなり明瞭である。

    中国NEVメーカーから運転支援や高速の商品改善サイクルを取り込みながら、合弁ブランドが蓄積してきた製造品質や長期使用への安心感は捨てない。

    その組み合わせによって、既存合弁ユーザーをNEVへ移行させようとしている。

    本当のターゲットは「合弁からNEVへ移る人」

    王氏が今回、「合弁ブランドからの買い替え・増車」を中核顧客として明示したことも重要である。

    中国NEV市場を単純に「中国ブランド対外資ブランド」と見るだけでは、この層は捉えにくい。

    中国には、NEVへの移行には抵抗がなくても、購入先を中国新興ブランドへ一気に切り替えることには慎重なユーザーが残っている。

    そうしたユーザーに対して、「従来の合弁ブランドの安心感」と「中国NEVのスマート化」を同時に提供する。

    これがN7の狙う場所である。

    中国の自動車関係者からは、こうした意味で合弁系BEVの競争相手はTeslaではないかとの見方も出ている。「中国ブランドを積極的には選ばないが、NEVには移行する」という顧客層を巡る競争という解釈である。

    ただし、これは東風日産自身が示した競合定義ではなく、第三者による市場分析である。

    むしろ東風日産自身が強調するのは、競合車のスペックを単純に追うことではなく、「実用性を重視するファミリーユーザー」をきちんと取り込むことである。

    「合弁でも速く作れる」の次へ

    王氏は前日の投稿で、初代N7についてこう総括している。

    昨年はN7によって、東風日産が「合弁ブランドでありながらNEVを作るスピードも速い」ことを証明した。しかし、スピードは入場券にすぎない。新しいNEVを作り続け、良い商品へ改善し続けることこそ長期戦の核心だという。

    この言葉と実際の販売推移を重ねると、新N7の意味がよく見える。

    初代N7
    → 中国市場に合わせたBEVを素早く投入
    → 発売直後は月9500台規模まで拡大
    → その後、販売が急速に低下
    → ユーザーの声を収集しOTAを継続
    → 高度運転支援の弱点が残る
    → 新N7でLiDAR+Momentaを投入

    という流れである。東風日産にとって、初代N7は「合弁でも中国NEV市場のスピードについていけるか」という実験だった。

    新N7は、その次の実験になる。

    一度売れるクルマを作れるだけではなく、発売後も中国市場の進化に合わせて商品を育て、継続的に売れるクルマにできるのか。

    2025年夏に月1万台近くまで膨らんだ需要が存在した以上、N7の商品コンセプトそのものが市場から拒否されたとは言いにくい。一方、2026年7月には1323台まで落ち込んでいることも事実である。

    9月22日に正式発表される新N7で、東風日産はその間に生じた大きな落差を埋めにいく。

    LiDARとMomentaは、そのための分かりやすい新装備である。しかし本当に問われているのは装備の有無ではない。

    東風日産は、N7の「最初だけ売れる」問題を、発売後も継続して進化する中国型の商品開発へ転換することで解消できるのか。

    新N7は、中国の合弁ブランドがNEV時代に生き残るための次の課題を映す、一つの試金石になりそうである。

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