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BYD、工場データでロボットAIを育成へ――李柯副総裁、製造現場から家庭への展開構想を語る

    [日刊]中国BYDの執行副総裁、李柯(ステラ・リー)氏は、フランスのインタビュー番組「Liberté by Vant News」に出演し、AIとロボット事業に関する同社の考え方を明らかにした。

    李柯氏は、AIをBYDの最優先課題の一つと位置付けたうえで、自動車製造の現場におけるAI活用と産業用ロボットの開発を重視していると説明した。

    注目されるのは、BYDが自社工場を単なるロボットの導入先としてだけでなく、ロボットAIを学習させるためのデータ基盤として捉えていることである。

    李柯氏は、BYDの製造現場で得られる実際の作業データが、高度な産業用ロボットの学習に役立つと述べた。

    さらに、将来的には、こうした製造能力とAI技術を組み合わせ、家庭で高齢者の世話や掃除、調理などを担うロボットへ展開する可能性にも言及した。

    自動車メーカーとして蓄積してきた製造技術を、AIによって物理世界で活動するロボットへ広げようとする構想である。

    ただし、今回のインタビューでは、ロボットAIの学習データ量やモデル構成、実機性能、家庭向け製品の量産時期などは示されていない。

    現時点では、BYDの経営幹部が示した技術開発の方向性として捉える必要がある。

    BYD、AIを経営の最優先課題に位置付け

    インタビューで司会者は、AIがBYDの将来にどのような役割を果たすのかを質問した。

    李柯氏は、AIが企業活動に大きな変化をもたらすとしたうえで、BYDはAIを最優先課題に位置付けていると説明した。

    その際、李柯氏が強調したのは、BYDが単なる自動車メーカーではないという点だった。

    同社は電池事業から出発し、電子機器の製造、自動車開発、部品の内製化などを通じて、幅広い製造技術を蓄積してきた。

    李柯氏は、BYDには高度な技術を実際の製品や製造工程へ落とし込む能力があると説明する。

    その能力をAIと組み合わせることで、製造現場の効率を高め、新たな製品や事業へ展開できるという考え方である。

    AIの応用先として最初に挙げたのは、自動運転ではなく製造業だった。

    李柯氏は、BYDがAIを活用する重要な現場として、自社の工場を位置付けている。

    自動車製造は、多数の部品や設備、作業工程が組み合わさる産業である。

    そこには、AIを活用して生産効率や自動化の水準を高める余地がある。

    BYDは、自動車を製造する企業であると同時に、自社の製造現場をAI技術の応用先として利用できる企業でもある。

    「自動車の次はロボット」、製造業から展開

    李柯氏は、現在のBYDの主要事業が自動車であることを踏まえながら、将来の重要な領域としてロボットを挙げた。

    その第一段階となるのが産業用ロボットである。

    BYDは大規模な自動車製造拠点を保有しており、生産工程の自動化を進めるうえで多くの産業用ロボットを必要としている。

    李柯氏によれば、BYDにはロボットの開発に取り組む社内チームがある。

    同時に、外部の開発チームとも協力し、製造現場の自動化を進めているという。

    この説明からは、BYDがロボット技術をすべて自社開発する方針を示しているわけではないことも分かる。

    社内開発と外部との協力を組み合わせながら、必要なロボット技術を獲得しようとしている。

    ただし、今回のインタビューでは、社内チームの規模や開発中のロボットの種類、提携先企業、導入台数などは明らかにされていない。

    確認できるのは、BYDが産業用ロボットをAI活用の重要な領域と位置付け、自社開発と外部協力の双方を進めているということである。

    製造現場の作業データをロボットの学習に活用

    今回の発言で最も重要なのは、李柯氏がBYDの製造現場で得られるデータに言及したことである。

    李柯氏は、自社の産業用途で蓄積されるデータが、より高度な産業用ロボットを学習させるうえで役立つと説明した。

    これは、単にAIを搭載したロボットを工場へ導入するという話ではない。

    工場そのものが、ロボットAIを育成するための環境になり得るという考え方である。

    ロボットが物理世界で作業するためには、周囲の状況を認識するだけでなく、対象物の位置や形状、作業の順序、動作の結果などを理解する必要がある。

    例えば、部品をつかむ、移動させる、所定の位置へ組み付けるといった作業では、視覚情報と身体の動作を結び付けなければならない。

    こうした能力をAIに学習させるには、物理世界における実際の作業経験が重要になる。

    自動車工場には、部品の搬送、組み付け、検査、設備操作など、多様な作業が存在する。

    BYDは、こうした製造現場を自社で保有している。

    そのため、工場で得られるデータをロボットAIの学習へ利用できれば、ロボットを導入するだけの企業とは異なる開発環境を構築できる可能性がある。

    もっとも、李柯氏は、具体的にどのようなデータを収集しているかまでは説明していない。

    作業映像なのか、ロボットの関節や制御に関するデータなのか、人間の作業を記録したデータなのか、あるいは複数の情報を組み合わせたものなのかは不明である。

    データの収集方法や学習モデルへの投入方法についても、詳細は明らかになっていない。

    したがって、BYDが特定のロボット基盤モデルを完成させた、あるいは大規模な学習データセットを構築済みであると判断することはできない。

    今回確認できるのは、製造現場のデータをロボットAIの高度化へ結び付けようとする経営上の方向性である。

     
     
    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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