
AIVA、車内2時間から車外22時間へAIサービスを拡張――ME7・ウェアラブル端末・Agentを統合、先行体験ユーザー募集
[メンバーシップ限定]賽力斯(SERES=セレス)と字節跳動(ByteDance=バイトダンス)などで展開し、AIDV(AI定義車)を標榜するAIVAは2026年10月22日、AI Vehicle(AIV=AI自動車)を起点に、利用者の日常生活全体へサービスを広げる「AIVA Life」構想を発表した。車内で過ごす約2時間と、車外で過ごす約22時間をつなぎ、AIが利用者を継続的に理解し、生活を支援する仕組みを目指す。
AIVA Lifeは、初の量産車として開発を進める「AIVA ME7」、身に着けるAI端末「AIVA Loop」、利用者の状況や要望を理解してサービスにつなげる「AIVA Agent」の三つで構成される。
同社は構想の発表に合わせ、利用者と共同でサービスを育てる「AI先行体験ユーザー」の募集も開始した。
今回の発表で注目されるのは、ME7の車両性能やデザインではない。AIVAが自動車をAIサービスの一部として位置付け、利用者との関係を乗車中だけでなく、日常生活全体へ広げようとしている点である。

車内の2時間だけでは、利用者を十分に理解できない
AIVAが新たに掲げたのは、「2+22」という考え方である。
同社は、人が自動車の中で過ごす時間を1日平均約2時間と想定する。残る22時間には、仕事、運動、家族との時間、睡眠など、さまざまな活動がある。
従来の車載AIは、主に乗車中の音声操作、ナビゲーション、エンターテインメント、車両機能の制御などを担ってきた。しかし、自動車が駐車場に止まっている間、車載AIが利用者の日常生活を継続的に支援することは難しい。
AIVAは、この時間的な断絶を解消しようとしている。
車内での会話や操作だけでなく、車外での活動や利用者の要望も理解し、日々のやり取りを通じて、その人に合った支援を提供する。
同社が目指すのは、一度の指示に応答するAIではなく、利用者との継続的な関係を通じて理解を深めるAIである。
なお、1日2時間という数字はAIVAが構想を説明するために用いた想定であり、すべての利用者の実際の乗車時間を示すものではない。

AIVA ME7・AIVA Loop・AIVA Agentの三層構造
AIVA Lifeは、役割の異なる三つの要素を組み合わせる。
AIVA ME7:車内AI空間
ME7は、利用者が乗車中にAIと接する中心的な場所となる。
AIVAはME7を、単にAI機能を搭載した自動車ではなく、利用者を理解し、サービスを提供するためのAI空間として位置付ける。
音声による対話に加え、車内で利用者の状況を把握し、適切な支援につなげることを目指す。
AIVA Loop:身に着けるAI端末
AIVA Loopは、利用者が車外でもAIサービスを利用するためのウェアラブル端末である。
同社の説明では、常時利用できる端末として、車外で過ごす約22時間の生活状況を把握する役割を担う。
これにより、AIとの接点を自動車の車内から日常生活へ広げる。
ただし、今回の発表資料では、AIVA Loopの具体的なセンサー構成、通信方式、連続使用時間などの詳細仕様は明らかにされていない。
AIVA Agent:情報をサービスへ変えるAI
AIVA Agentは、ME7とLoopが把握した利用者の状況や要望を理解し、具体的なサービスへつなげる役割を担う。
例えば、利用者が予定を忘れないように支援したり、過去の会話を踏まえて提案したり、仕事や趣味の計画づくりを手伝ったりする。
AIVAは、この三つを組み合わせることで、車内と車外をまたぐAIサービスの仕組みを構築すると説明している。

予定の確認、仕事の記録、週末の計画を実演
今回公開された説明映像では、AIVA Lifeが目指す利用体験も紹介された。
一つは、家族との約束を思い出させる場面である。
利用者が週末に確認すべき予定を尋ねると、AIが以前の約束を踏まえて、子どもを水族館へ連れて行く予定について応答する。
別の場面では、仕事上の打ち合わせで生まれたアイデアや設計変更の内容を記録し、その後の学習・実践計画を整理するようAIに依頼する。
さらに、以前からサイクリングに出かけたいと考えていた利用者に対し、AIが休日の外出を提案し、撮影機材を忘れないよう促す場面もある。
これらの例に共通するのは、利用者が毎回すべての事情を説明するのではなく、AIが過去のやり取りや状況を踏まえて応答するという考え方である。
AIVAは、こうした継続的な理解を通じて、利用者との間に自然な関係を築くことを目指している。
もっとも、今回の映像は構想を説明するデモであり、紹介された機能がすべて量産時点で利用可能になることを保証するものではない。実際のサービス提供範囲や対応時期については、今後の発表を確認する必要がある。

「AIネイティブ自動車」の意味を車外へ拡張
AIVAはこれまで、ME7を「AIネイティブ自動車」と位置付け、AIを車両設計の出発点に据える思想を説明してきた。
従来の自動車にAI機能を追加するのではなく、AIが利用者を理解し、必要な支援を提供することを前提に、車内空間や機能を設計するという考え方である。
今回のAIVA Lifeは、その思想を車外へ広げる取り組みと捉えられる。
自動車は移動のための製品であると同時に、利用者とAIが関係を築くための接点となる。車外ではウェアラブル端末がその役割を引き継ぎ、Agentが継続的なサービス提供を担う。
これまで自動車メーカーが競ってきた車載AIの高度化とは、事業の対象範囲が異なる。
車両の販売や乗車中のサービスだけでなく、利用者が日常的に使うAIサービスを継続的に提供することが、新たな競争領域になり得る。
ただし、AIVAが構想する継続的な利用者理解には、個人情報や行動履歴の取り扱いという課題も伴う。
車内と車外の情報をどのように連携させるのか、利用者が記録や共有の範囲をどこまで管理できるのか。今回の資料では、こうした仕組みの詳細は示されていない。
