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千里科技、ADAS累計搭載100万台を突破――ボルボと新規協力、2027年に車載AIエージェント投入

    [メンバーシップ限定]中国の自動車AI企業、千里科技(601777.SH)は2026年10月22日、重慶で開催された汎用人工知能大会で、ADASの累計搭載台数が100万台を突破したと発表した。

    印奇董事長は「千里2.0」と位置付ける新たな事業段階について説明し、技術開発、量産規模、車載AIシステムの三つの領域で成果を公表した。

    ADASは16車種に採用され、運転支援機能の有効化率は93.9%に達したという。吉利(GEELY)傘下の複数ブランドへの供給に加え、ボルボとの新たな協力関係も明らかにした。

    技術面では、世界モデルと行動モデルを組み合わせた「WA-JEPA」の研究成果を紹介した。さらに、吉利、StepFunと共同開発する車載AI「Super Eva」の累計搭載台数が50万台を超え、2027年第1四半期には新たなPersonal Agentを車載化する計画を発表した。

    今回の発表は、千里科技がADASの量産供給企業として規模を拡大するだけでなく、運転支援とスマートコックピットを統合するAI企業への転換を進めていることを示すものである。

    ADAS累計100万台、16車種に採用

    千里科技は今回、運転支援システム「千里浩瀚」の累計搭載台数が100万台を超えたと発表した。

    同社によれば、この規模に到達するまでに要した期間は約18カ月である。

    採用車種は16車種に広がり、吉利のGalaxy、Zeekr、Lynk & Co、smartなど、複数ブランドで採用が進んでいる。

    これまで中国のADAS市場では、高度な運転支援機能を一部の高価格帯モデルに搭載することが中心だった。

    しかし、千里科技は高級車だけでなく、より幅広い価格帯の車両への供給を進めている。

    同社が今回強調したのは、個別の技術性能だけではない。

    複数の完成車ブランド、異なる車両プラットフォーム、さまざまな価格帯に対応しながら、ADASを継続的に量産供給する能力である。

    ただし、100万台は累計搭載台数であり、2026年単年の納車台数や販売台数ではない。

    また、16車種すべてに同一のADASハードウェアやソフトウェアが搭載されていることを意味するわけではない。

    搭載機能や演算能力は、車種や仕様によって異なる可能性がある。

    有効化率93.9%、AEB作動240万回超

    千里科技は、実際の利用状況についても数字を公表した。

    運転支援機能の有効化率は93.9%に達したという。

    また、累計の能動的危険回避回数は890万回を超え、このうちAEB(自動緊急ブレーキ)の作動は240万回を超えたと説明した。

    これらは、量産車への搭載規模だけでなく、利用者による機能の使用状況を示す指標として注目される。

    ただし、数値の解釈には注意が必要である。

    まず、有効化率93.9%について、今回の発表では、搭載車両全体に対する機能の有効化割合なのか、特定の機能や対象車両に限定した割合なのか、詳細な算出条件が示されていない。

    そのため、運転時間の93.9%でADASが使用されたという意味ではない。

    また、危険回避890万回、AEB作動240万回についても、実際に防止した事故件数を示すものではない。

    AEBの作動には、衝突の危険が高い場面での制動介入などが含まれるが、作動しなかった場合に必ず事故が発生したとは限らない。

    したがって、これらは会社が公表したシステム作動実績として扱うべきであり、事故削減効果を直接証明する統計とは区別する必要がある。

    一方、100万台規模の車両から得られる運行データは、ADASの改善にとって重要な基盤となる。

    多様な道路環境や交通状況に対応するためには、実車から得られるデータと、シミュレーションによる検証を組み合わせる必要がある。

    千里科技は、量産規模の拡大をAIモデルの継続的な改善につなげる方針を示している。

    ボルボと新たな協力、国際メーカーへの供給を拡大

    今回の発表では、ボルボとの新たな協力関係も明らかになった。

    千里科技は、吉利系ブランドへの供給を拡大するとともに、国際的な完成車メーカーとの協力を進める方針を示した。

    その具体的な動きとして公表されたのが、ボルボとの協力である。

    ただし、今回の発表では、採用予定車種、搭載するADASの仕様、量産開始時期、契約金額などは明らかにされていない。

    したがって、ボルボの特定車種に千里科技のADASが搭載されることや、すでに量産供給が始まっていることまでは確認できない。

    また、ボルボは吉利グループと資本関係を持つ自動車メーカーである。

    今回の協力を、吉利グループとは資本関係のない完成車メーカーへの新規採用と同じ意味で評価することも適切ではない。

    それでも、千里科技にとっては重要な動きである。

    吉利傘下の複数ブランドで量産実績を積み重ね、その技術を国際的な完成車ブランドへ展開する道筋が具体化してきたためである。

    今後の焦点は、ボルボとの協力がどの車種、どの市場、どの技術領域に及ぶかである。

    特に、中国国内向け車両への採用なのか、欧州を含む海外市場向け車両への採用なのかによって、事業上の意味は大きく異なる。

    欧州UN R171認証を取得、海外展開の準備を進める

    千里科技は今回、2026年3月に運転支援システムが欧州のUN R171規則に基づく認証を取得したことも紹介した。

    同社は、中国のADASシステムとして先行する認証取得事例だと位置付けている。

    UN R171は、運転者による監督を前提とした運転支援システムの要件を定める国際的な車両規則である。

    認証取得は、海外市場向けの技術適合を進めるうえで重要な成果となる。

    ただし、UN R171に基づく認証を取得したことだけで、すべての欧州市場における販売認可や、あらゆるADAS機能の使用が認められたことにはならない。

    実際の市場投入には、対象車両、搭載機能、適用される法規、車両全体の認証などを確認する必要がある。

    千里科技がボルボとの協力を公表した今回の発表では、こうした海外向け認証の蓄積が、今後の国際展開を支える要素として位置付けられている。

    世界モデルと行動モデルを統合、WA-JEPAを発表

    技術開発面で注目されるのが、千里科技が紹介した「WA-JEPA」である。

    同社はこれを、世界モデルと行動モデルを組み合わせた研究技術として説明している。

    従来のADASでは、カメラやセンサーで周囲の環境を認識し、その結果に基づいて車両の行動を計画する方式が広く利用されてきた。

    近年は、認識、予測、行動判断を大規模AIモデルで統合する研究が進んでいる。

    世界モデルは、周囲の交通環境が今後どのように変化するかを表現・予測するための技術である。

    一方、行動モデルは、車両がどのような操作を選択すべきかを判断する。

    両者を組み合わせることで、単に現在の道路状況を認識するだけでなく、車両の行動と、その結果として生じる周囲の変化を関連付けて扱うことが期待される。

    千里科技は、WA-JEPAについて、NAVSIM-v2の開ループ評価と、HUGSIMの436シーンを利用した閉ループ評価で高い性能を示したと発表した。

    ただし、今回の発表では、具体的な評価スコア、比較対象、実験条件の詳細までは明らかにされていない。

    そのため、他社の世界モデルやVLAと数値で比較し、性能上の優劣を判断することはできない。

    また、研究段階のモデルが、すでに100万台の量産車へ搭載されているわけでもない。

    今回の発表では、量産ADASの実績と、次世代モデルの研究成果を分けて評価する必要がある。

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    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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