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BYD、23.59万元で高級車の基準を書き換える――大漢EVが挑むジャーマン3の価値体系

    [メンバーシップ限定]中国BYDは2026年10月13日、王朝シリーズの新たなフラッグシップセダン「大漢EV」を正式発売した。価格は23.59万~27.59万元。全長5,256mm、ホイールベース3,130mmの大型セダンに、最大1,008kmのCLTC航続距離、第2世代ブレードバッテリー、超急速充電、後輪操舵、エアサスペンション、運転支援システム「天神之眼B」などを組み合わせた。

    しかし、今回の発表会でBYDが最も強調したのは、単なる性能や装備ではない。

    王朝網販売事業部の陸天総経理は、20年以上の自動車業界経験を踏まえ、従来の中国高級車市場を支配してきたメルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、いわゆるジャーマン3(中国ではBBA)の価値基準そのものに疑問を投げかけた。

    大きな車体、高級な内装、優れた走行性能だけでは、もはや新時代のフラッグシップとは呼べない。1,000km級の航続距離、短時間充電、高度な運転支援、快適な座席、そして安全に対する責任まで備えて初めて、現代の高級車として成立するという主張である。

    その基準をBYDは、23.59万元から提示した。

    王朝シリーズの累計ユーザーが1,000万人を突破した直後に発表された大漢EVは、BYDが大衆市場で築いた規模と技術力を、従来の高級車市場へ持ち込む象徴的なモデルとなる。

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    王朝1,000万人の次は、フラッグシップ市場

    発表会の冒頭、陸天氏は王朝シリーズの累計ユーザーが9月末に1,000万人を突破したことを紹介した。

    王朝シリーズは、秦、漢、唐、宋、元、夏など、中国の歴史に由来する名称を用いながら、BYDの乗用車事業を支えてきた。

    その1,000万人という顧客基盤を背景に、BYDは今回、新たな大型フラッグシップセダン「大漢EV」を投入した。

    陸天氏が王朝ブランドの価値として掲げたのは、「底蘊」「温度」「魅力」の三つである。

    中国文化に根差した独自性、技術を人間の体験につなげる姿勢、そして長く所有しても魅力が失われない商品性を意味する。

    これは単なる新車発表会の装飾的な言葉ではない。

    BYDはこれまで、電動化技術、電池、価格競争力などによって市場を拡大してきた。しかし、高級車市場では性能や価格だけでなく、ブランドの歴史、文化、所有する意味、乗員が感じる特別感なども競争要素となる。

    大漢EVの発表会は、そうした高級車特有の価値にBYDが正面から取り組み始めたことを示している。

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    「9系」の基準をBYD自身が定義する

    今回の発表会で特徴的だったのは、陸天氏が「9系」という大型フラッグシップの基準を改めて定義したことである。

    中国の自動車市場では、7系、8系、9系といった数字が、車両の大きさや市場での位置付けを示す表現として使われることがある。

    陸天氏は、かつての9系は全長5m超、ホイールベース3m超といった大型車を意味し、その市場はBBAが支配していたと説明した。

    しかし、新エネルギー車(NEV)の時代には、車体の大きさだけでは十分ではないという。

    BYDが今回示した新たな基準は、主に三つである。

    第一に、9分前後で充電を完了できること。

    第二に、1,000km級の航続距離を備えること。

    第三に、高度な運転支援だけでなく、安全に対する責任やサポートを明確にすることである。

    これらは公的な車両分類や業界共通の認定基準ではなく、BYDが提案するフラッグシップ像である。

    重要なのは、BYDが既存の高級車の評価基準に自社製品を合わせるのではなく、自社が強みを持つ電動化技術や運転支援を、高級車に不可欠な条件として提示したことである。

    つまり、従来の高級車と同じ土俵で競争するだけでなく、競争の土俵そのものを変えようとしている。

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    23.59万元から、装備の標準化で従来の価格体系に挑む

    大漢EVは3グレードで構成される。

    1008km後輪駆動・LiDAR搭載尊享型が23.59万元。

    1008km後輪駆動・LiDAR搭載旗艦型が24.99万元。

    880km四輪駆動・LiDAR搭載旗艦型が27.59万元である。

    最廉価モデルでも、第2世代ブレードバッテリー、超急速充電、後輪操舵、エアサスペンション、天神之眼B、前席のダブルゼログラビティシートなどを備えると説明した。

    BYDによれば、全車標準装備は196項目に達する。

    発表会で陸天氏は、従来の高級車ではエアサスペンションや後輪操舵などを追加すると、車両価格が数万元単位で上昇することがあると指摘した。

    それに対し、大漢EVでは重要な装備を最初から標準化する。

    この考え方は、単純な値下げ競争とは少し異なる。

    従来の高級車では、車両の基本価格を起点に、顧客が必要な装備を選択して価格を積み上げる方式が広く採用されてきた。

    BYDは、こうしたオプションによる価格体系に対し、最初から主要装備を含めた完成度を提示することで競争しようとしている。

    発表会で陸天氏は、入門モデルが他社の上位グレードに相当するという趣旨の説明を繰り返した。

    もちろん、実際の装備差や商品価値は競合車種ごとに比較する必要がある。しかし、BYDが狙っているのは明確である。

    高級車を購入する際に、顧客がどこまで追加料金を支払うべきなのか。その従来の常識を変えようとしている。

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    「豪華」と「豪華感」は違う

    今回の発表会で、陸天氏は興味深い区別を示した。

    「豪華」と「豪華感」は同じではないというのである。

    装備の豪華さは仕様表に書くことができる。しかし、豪華感は実際に乗ったユーザーが感じるものであり、数字や装備の数だけでは説明できない。

    大漢EVでは、この考え方を内外装の細部に反映したと説明した。

    車体は全長5,256mm、全幅1,999mm、全高1,510mm、ホイールベース3,130mm。

    室内空間の効率を示す得房率は90.8%と公称する。

    前席にはダブルゼログラビティシートを採用し、後席には電動レッグレストやフットレストを備える上級仕様も用意した。

    さらに、31スピーカーのDevialetオーディオ、車内各所のディスプレー、プライバシーガラス、専用デザインの車両キーなどを組み合わせている。

    発表会では、運転席と後席の関係についても言及した。

    従来の高級セダンでは、運転席を運転手の場所、後席を所有者の場所として設計する考え方が強かった。

    これに対し、大漢EVでは、前席に座る人にもフラッグシップとしての快適性を提供するという。

    後席の豪華さだけでなく、オーナー自身が運転する際の体験も重視する。

    これは、中国の大型高級セダンが、運転手付きの移動手段だけでなく、家族で利用し、自ら運転する商品へと価値を広げていることを意識した説明と捉えられる。

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    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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