
理想汽車、10年越しの欧州進出――2015年のSEV構想からi6へ、オランダ・ノルウェーを起点にREEVも投入
[メンバーシップ限定]理想汽車(Li Auto)が、2026年10月12日のパリ・モーターショーで欧州戦略を正式発表した。
欧州市場への投入第1弾として、純電動の5人乗りSUV「理想i6」を披露。オランダとノルウェーを最初の進出国とし、今後、欧州の他の国々へ順次展開する方針を示した。
さらに、欧州市場ではBEVだけでなく、将来的にREEV(レンジエクステンダー式EV)も投入することを明言した。
今回の発表に先立ち、創業者の李想氏は同日、自身のWeiboで欧州進出に至る10年間の経緯を説明している。
理想汽車が創業した2015年、当時の社名は「車和家」であった。最初に構想した車両「SEV」は、欧州のL6e規格に対応する都市型小型電動車として開発され、パリとサンフランシスコでのシェアリング事業も計画されていた。
それから約10年。
理想汽車は中国市場で累計180万台以上を納車する自動車メーカーとなり、今度はi6を携えてパリへ戻ってきた。

2015年、理想汽車の最初の構想は欧州向け小型EVだった
理想汽車は現在、中国の高級ファミリーカー市場を中心に事業を展開している。
しかし、その出発点は現在の大型SUVやMPVとは大きく異なっていた。
李想氏によれば、2015年に会社を設立した当時、最初の製品として構想したのは「SEV」と呼ばれる小型電動車だった。
SEVは、欧州のL6e規格に対応することを前提として、設計の初期段階から開発されていたという。
L6eは欧州の軽量四輪車カテゴリーであり、日本の軽自動車とは異なる車両区分である。
当時の車和家は、このSEVを利用し、パリとサンフランシスコで都市型シェアリングサービスを展開する構想も発表していた。
つまり、理想汽車にとって欧州市場は、会社が成長してから新たに発見した海外市場ではなかった。
創業当初から、欧州の都市交通を事業の対象として考えていたのである。
ただし、当時のSEV構想は、現在の理想汽車の主力事業にはつながらなかった。
同社はその後、家庭向けの大型車両へ事業の中心を移し、REEVの理想ONE、Lシリーズ、さらにBEVのMEGAやiシリーズへと商品を拡大した。
今回のパリでの発表は、かつての小型EV事業を再開するものではない。
中国で独自の市場と技術基盤を築いた理想汽車が、改めて欧州市場へ参入するという位置付けである。

なぜ欧州進出は遅かったのか――「準備ができてから進出する」
李想氏は今回、理想汽車の海外展開が速くないことを自ら認めている。
そのうえで、同社の基本方針は、それぞれの市場に適した製品を選び、準備を整えてから参入することだと説明した。
発表会後のインタビューでも、国際事業責任者の呉佐明氏は同様の考えを示している。
同氏によれば、理想汽車は海外事業を10年間という時間軸で捉えており、現時点での欧州進出は遅すぎるものではないという。
重要なのは、車両だけでなく、販売チャネル、ブランド、価格体系を現地市場に合わせて構築することである。
理想汽車は2025年に国際事業を正式に開始した。
李想氏によれば、2025年1月にはドイツ・ミュンヘンに初の海外研究開発センターを設立している。
2026年7月には、中央アジアで理想L9を発売した。
中央アジアは地域によって人口密度が低く、充電設備の整備が十分ではない。そのため、外部充電に全面的に依存しないREEVが適していると同社は判断した。
一方、欧州では古い都市の道路が狭く、駐車スペースにも制約がある。同時に、国境を越える長距離移動も一般的である。
こうした条件に対応するため、欧州向けの先行車種としてi6を選んだという。
同じ海外市場であっても、中央アジアにはREEVの大型SUV、欧州にはBEVの5人乗りSUVを投入する。
理想汽車は、この市場ごとの商品選択を海外展開の基本方針としている。

欧州第1弾はi6、オランダとノルウェーから展開
10月12日の発表会では、理想i6の欧州初公開とともに、具体的な市場展開方針が示された。
最初の進出国はオランダとノルウェーである。
その後、他の欧州諸国へ段階的に販売地域を広げる。
発表会後のインタビューでは、呉佐明氏がノルウェー、デンマーク、スウェーデンにも言及した。
したがって、オランダとノルウェーを初期市場としながら、北欧諸国への展開も視野に入れていることになる。
ただし、各国での具体的な販売開始日、販売価格、店舗数などは今回の発表会では明らかにされていない。
また、理想汽車は欧州でも中国国内と同様にプレミアムブランドとして展開する方針を示した。
低価格帯のEVで市場へ参入するのではなく、家庭向けの快適性、車内空間、智能化技術を組み合わせた商品で競争する考えである。
