
BYD、DENZA Z9GTの都市部NOAを2027年に欧州OTA提供――LiDARなど標準搭載、UN R171認可へ現地適応
[メンバーシップ限定]BYD傘下の高級車ブランドDENZAは2026年10月12日、パリモーターショーに合わせ、欧州市場向けの都市部ナビゲーション連動運転支援機能「CNOA」を2027年に導入する計画を発表した。
最初の搭載車種は、欧州市場へ投入するフラッグシップモデル「DENZA Z9GT」である。必要なセンサー類は車両に標準搭載されており、2027年にOTAによるソフトウェア更新で機能を提供する方針である。
CNOAは、ナビゲーションで設定した経路に沿って、市街地の交差点や信号、周囲の交通状況に対応しながら走行を支援する機能である。BYDが中国国内で展開する高度運転支援システム「天神之眼(God's Eye)」の都市部NOAに相当する。
ただし、欧州向けZ9GTに搭載されるアルゴリズムのバージョンや、中国仕様との技術的な同一性は明らかにされていない。
今回の発表で重要なのは、BYDが中国で普及させてきた高度運転支援技術について、欧州市場での提供時期、対象車種、OTAによる導入方法、法規対応の方向性を具体化したことである。

2027年、Z9GTに都市部NOAをOTA提供
DENZAは2026年4月、パリで欧州ブランド展開を発表した。その段階からZ9GTへの高度運転支援機能の導入を視野に入れていたが、今回、都市部CNOAを2027年に提供する計画を明確にした。
特徴は、機能を利用するために車両のハードウェアを交換するのではなく、OTAによってソフトウェアを追加する方式を採ることである。
DENZAによれば、欧州向けZ9GTには必要なセンサーや演算関連のハードウェアがあらかじめ搭載される。
車両の販売開始時点ですべての運転支援機能を利用できるわけではなく、後から機能を有効化する構成となる。
もっとも、2027年という時期は現段階の導入計画である。実際の提供には、ソフトウェアの完成だけでなく、欧州の関連法規への適合と必要な認可が前提となる。

LiDAR1基、カメラ11台、レーダー3基を搭載
今回の公式発表では、欧州向けZ9GTのセンサー構成も示された。
車両にはLiDAR1基、カメラ11台、ミリ波レーダー3基、超音波センサー12基を搭載する。
これらのセンサーを組み合わせ、車両周囲の道路環境、他車両、歩行者、自転車などを認識する構成である。
注目すべきは、都市部NOAの提供に先立って、必要なハードウェアを車両側に用意する点である。
欧州向けZ9GTは、当初から将来の機能追加を前提とした商品として設計されている。
ただし、LiDARの搭載数だけで運転支援性能を比較することはできない。実際の性能は、認識アルゴリズム、走行判断、車両制御、学習データ、現地道路環境への適応などによって左右される。
また、中国向けZ9GTと欧州向けZ9GTでは、ハードウェア構成やソフトウェア仕様が異なる可能性がある。中国国内の実装内容を、そのまま欧州仕様に当てはめることはできない。

「天神之眼」の都市部機能を欧州へ
BYDは中国国内で、高度運転支援システム「天神之眼」を幅広い車種へ展開している。
2026年5月には、天神之眼の都市部NOAを対象とする事故損害補償制度を発表するとともに、システムの進化や自社開発の車載AIチップなどについて説明した。
今回DENZAが欧州導入を表明したCNOAは、この天神之眼が持つ都市部ナビゲーション連動運転支援に対応する機能である。
ただし、天神之眼は単一の固定されたシステムではない。車種や価格帯に応じてセンサー構成や演算能力が異なり、ソフトウェアも更新されている。
今回の欧州向け発表では、Z9GTのCNOAに関するセンサー構成は示されたものの、中国国内で使用される特定のシステムバージョンとの対応関係は明らかにされていない。
したがって、今回の発表は「中国仕様の天神之眼を、そのまま欧州へ移植する」と理解するより、BYDが持つ都市部NOA技術を欧州向けに適応させ、現地の制度に沿って提供する計画と捉える方が正確である。
