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MEGAリコールで「自社開発電池」への確信――理想、新型車を自社セルへ、次は15C「5分充電」

    [メンバーシップ限定]2025年10月、上海で理想汽車(Li Auto)の大型BEV「MEGA」が走行中に発火した。

    その8日後、理想はMEGA 1万1411台のリコールを発表した。対象車では冷却液の防腐性能不足により、特定条件下で冷却用アルミプレートが腐食・漏液し、極端な場合にはバッテリーの熱暴走につながる可能性があるとして、冷却液だけでなく駆動用バッテリー、フロントモーターコントローラーまで無償交換する異例の対応を取った。

    理想にとって、このリコールによる損失計上は10億元を超えたという。

    それから約11カ月。

    理想の馬東輝・共同創業者兼総裁兼チーフエンジニアらが、2026年9月21日のメディア向け説明会で、自社開発電池についてかなり踏み込んだ説明を行った。

    重要なのは、MEGAのリコールを受けて自社開発電池を始めたわけではない、という点である。

    理想によれば、セルの自社開発にはすでに6年を費やしている。しかしMEGAのリコールは、その方向をさらに確信させる出来事になった。

    馬東輝氏はMEGAについて、電池を誰が製造したかにかかわらず、「これは理想の責任」と明言した。

    そして事故を経験したことで、研究開発、部品、製造、検証までのデータを自ら掌握する重要性を改めて認識したという。

    その答えとして理想が進めているのが、PACKは自社開発・自社製造、セルは自社開発・委託製造という電池体制である。

    そして今回、その先まで見えてきた。

    今後新たに投入する車種では原則として自社開発電池を採用し、現在の5Cから、ガソリン車の給油時間に近い「5分充電」を目標とする15Cへ進む。

    さらにその先には固体電池を置く。

    MEGAのリコール、自社開発セル、欣旺達(Sunwoda)への出資、中創新航(CALB)への製造委託、そして15C。

    これまで別々に見えていた理想の動きが、一つの電池戦略としてつながってきた。

    MEGAリコール、「電池メーカーの問題」にはしなかった

    2025年のMEGAリコールで特徴的だったのは、理想が電池サプライヤーへ責任を転嫁しなかったことである。

    馬東輝氏は今回、改めてこの点に言及した。

    ユーザーが購入したのは電池メーカーの商品ではなく、「理想MEGA」である。

    したがって、どの企業が電池を生産していたとしても、最終的な責任を負うのは理想であるという考え方だ。

    これは昨年のリコール時にも見えていた。

    当時、理想は中国メーカーとしては異例なほど詳細に問題を公開し、李想CEO自身も「万分の一の確率でも、命は一度きり」と説明した。

    今回の説明によって、その対応が現在の電池戦略へどうつながったのかが、さらに明確になった。

    MEGAに搭載されていた電池は、理想とCATLが共同開発したものだった。しかし最終製品は理想のクルマである。

    ならば最終責任だけを自動車メーカーが負い、電池内部の情報をサプライヤー側が握る構造のままでよいのか。

    理想が出した答えは「ノー」だった。

    リコールが「自社開発」を始めさせたわけではない

    ただし、ここは時系列を間違えてはいけない。

    MEGAの発火事故が起きたから、慌てて自社開発電池へ転換したわけではない。

    馬東輝氏は、自社開発電池は長期戦略であり、事故発生後に決めて翌年量産できるようなものではないと説明している。

    理想によれば、セル自社開発への取り組みは6年前から進めてきた。

    MEGAリコールが変えたのは方向ではない。

    その方向に進む理由を、より強くした。

    事故を経験したことで理想は、研究開発、部品、完成車製造、検証までのデータをさらに深くつなぎ、問題を早期発見できる体制の重要性を認識したとしている。

    これは理想がこれまで説明してきた「理想電池、理想担保」、つまり「理想の電池は理想が保証する」という考え方ともつながる。

    責任を負うのであれば、技術とデータにも踏み込む。今回の説明では、その関係がより鮮明になった。

    自社開発の目的は「3つをつなぐ」

    理想はセルを自社開発する目的を「3つをつなぐ」と整理した。

    一つ目がデータである。

    材料、設計、製造工程、セル、PACK、BMS、完成車、試験、さらにユーザーが実際に使用した後まで、電池のライフサイクル全体のデータをつなぐ。

    理想の「連山」システムでは、サプライヤー側の製造データまで含めて追跡し、電池関連データを20年間保存する。

    車両納車後もクラウドで24時間365日バッテリー状態を監視し、異常があれば事前に警告するという。

    二つ目が車両体験である。

    セル、PACK、BMS、熱管理、電動駆動、車両制御、充電器を個別に最適化するのではなく、一つのシステムとして設計する。

    三つ目がアフターサービスである。

    従来はバッテリーに問題が起きると、完成車メーカー、電池メーカー、サービス部門の間で原因や責任の確認が必要になる場合がある。

    理想はこれをユーザーへ負担させない。

    セルを誰が製造したかにかかわらず、ユーザーは理想だけに連絡すればよく、診断から修理まで理想が責任を持つという考え方である。

    つまり「自社開発」の目的は、電池メーカーになること自体ではない。責任、データ、技術を同じ主体へ集めることである。

    今後の新型車は自社開発電池へ

    そして今回、新たに重要な方針が明らかになった。

    馬東輝氏は、2026年以降に新しく投入する車種について、PACKは自社開発・自社製造、セルは自社開発・委託製造という自社開発電池を採用していきたいと説明した。

    外部購入セルと自社開発セルを何対何で使うのかという質問に対しても、今後の新型車では自社開発電池を使うため、「外部購入との比率という問題は存在しない」としている。

    現在のセル製造委託先は欣旺達と中創新航である。

    販売台数がさらに増えれば、ほかの大手電池メーカーとの協業も検討する。

    つまり製造メーカーを固定するのではない。セルの設計主体を理想側へ固定する。

    ここがポイントである。

    CATLを切るのではなく、関係を変える

    これまでCHINA CASEでは、理想の電池戦略を「CATLブランド電池」と「理想ブランド電池」の二本立てとして整理してきた。

    今回の説明を見ると、その構造もさらに先へ進み始めている。

    資料では、新型MEGAとi9の初期車両にはCATL製電池を搭載したものの、その在庫消化後は理想が自社開発し、欣旺達と中創新航が委託製造する電池へ全面的に切り替えたとしている。

    だからといって、CATLとの関係を解消するという話ではない。

    理想は今後も、TQCD――技術、品質、コスト、供給・納入能力――に加え、データ共有や共同開発に十分対応できる企業であれば、他の大手電池メーカーとの協業にもオープンだとしている。

    将来CATLがどのような位置付けになるのかまでは、今回の資料からは確定できない。ただし、少なくとも理想が目指している構造は明確になった。

    「どの電池メーカーのセルを買うか」から、「理想が設計したセルを誰に作ってもらうか」へ。

    電池メーカーとの関係そのものを変えようとしている。

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    急速に進む中国のCASE(Connected&Cabin,Autonomous,Shared&Service,Electric)やAIについての最新情報。2018年から1日1本以上のレポート配信。毎朝8:00日刊中国モビリティレポートと適時号外レポート

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