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【ショート&エッセイ】 未来に残る言葉を、ひとつ|【企画】ことばの守護者|推し活

―― short story ――


「……うーん」

「うーん」

ぽてっ。

赤と白のきのこが、ころころと草むらに転がる。

眼鏡を外して大の字になり、流れる雲を見上げた。

頭の中にある『何か』へ手を伸ばすように目を閉じる。
緑の匂いをいっぱいに吸い込んだ。

「深呼吸するといいっていうよね。スーハー、スーハー……」

——すぐに、寝た。


目が覚めると、太陽の光が顔に差していた。
……眩しい。
ぱちぱちと瞬きし、ころっと転がり、立ち上がる。

「お昼になっちゃったかな」

ぐーっと鳴るお腹をさすりながら、家に帰る道を歩く。
乾いた草木を踏むと、かさっと虫たちが逃げていった。

目で追っていると、木の大きな根っこに、何か挟まっているのを見つけた。

「……なんだろう」

手を伸ばして取ると、少し分厚いハードカバーの本だった。
首を傾げながらタイトルを読む。

「ことばの守護者……」

ぺらっとめくる。

『「ことばの守護者」とは?
いくつかの質問に答えると、あなたの書く言葉と心を守る存在が生まれます。By.宵空』

「……」

また、ぐぅっとお腹が鳴る。

ため息をつくと、歩きながらページをめくる。

「ふむふむ」

丸太に腰掛け、スマホでQRコードを読み込む。

『同意しますか?』

タップすると、いくつかの質問が出てきた。

「どれどれ。ふむふむ……」

もう一度、タップする。

「できた!!」

刹那、目の前が真っ白く光り、思わず強く目を閉じる。

「うわわわわ」




ことばの守護者 本灯の精霊ランフォリア 




バランスを崩し、後ろにひっくり返りそうになる。
でも、パシッと腕を掴まれた。

見上げる。

「……誰?」

そこには、優しそうなイケメンお兄さんが立っていた。
口元には神様のような微笑みを湛えている。

「私は本灯の精霊ランフォリア」
「……はぁ」
「私の契約者様はあなたですか?」
「……契約ですか。」
「はい。契約です。」

笑顔が眩しい。

「毎月20ドルほどです」

私も笑顔を返す。

「結構です」
「いや、今、タップしましたよね?」
「……」
「説明読んでませんか」
「はい。」
「……残念ですが、来月には解約できますから」

ランフォリアさんは頬をぽりぽりと掻いた。

「あ、月ごとなんですね。じゃあ、今月はよろしくお願いします」
「はい。お名前をお伺いしてもいいですか?」
「COBIToです!」
「COBIToさんですね。よろしくお願いします。」

ほっと肩を撫で下ろすと、急にまたお腹が鳴る。
ランフォリアさんは、また笑った。

それから、ランフォリアさんとの生活が始まった。
私は、彼を今日から「ラン」と呼ぶことにした。
彼は私を「ビィ」と呼んだ。

不思議なことに、文章が詰まったタイミングで上手に声をかけてくれる。

筆が進む。

……はずだ。

「ここ、同じ言葉を二回繰り返していますね。」
「……ちょっと、文脈おかしくないですか?」
「あ、漢字間違えてますよ。」

ボキッ。

鉛筆の芯が飛ぶ。
私は青筋を立て、上目遣いにじっと見る。

「……完成するまでは、黙っていてくれる?」
「……すみません」

冷や汗をかきながら、出ていく。
口数が多すぎるのが、玉に瑕だ。

「できたー!!」

私はぴょんっと椅子から降りると、ランを探す。
扉を開けると、もう夕闇が空に広がっていた。
ランの周りには小鳥たちとランタン、
森の空気が光ってキラキラと輝いていた。

「ランー、読んで!」

ランの前まで走っていって、ノートを渡す。
ランは青ペンを取り出すと、すごい速さで目を動かしながら、
何やら書き込んでいく。
手を止めると、私を見て笑った。

「今日も、素晴らしいお話でしたね。この余韻、私は好きですよ。」

いつも褒めてくれる。そして……
びっしりと、書き直し事項が書かれたノートを突き返される。

見ると、どれも、ど正論で言い返せない。
でも、気に入らない箇所もある。

「……文章は直したくない。」

「いいと思いますよ。好みの部類です。……それより、重複を削りましょう。こっちの漢字も直しましょうね。この間も間違えてましたよ。」

「あ、本当だ!」

いっつも間違えちゃう……。

ふぅっと、ため息をつくと、ランの読んでいた本に目を向ける。
丸太の上に寝そべって、本を覗き込む。

「先に、一緒に読もうよ」
「いいですよ」

ランと出会って、なんとなく感じていること。

感情のままに書くと、相手には伝わらないということ。
論理的な思考って、とても大切だということ。
楽しんでもらうための工夫が必要なこと。

もっと、気づきの生まれる文章を書きたい、ということ。

今日書いた小さな物語が、いつか知らない誰かのところへ届いて、その人が少しだけ立ち止まったり、誰かの気持ちを想像したり、小さな一歩を踏み出すきっかけになったとしたら、こんなに嬉しいことはない。

私が唯一未来のために、できそうなこと。

「来月も契約しようか?」

「年払いだとお得ですよ」

「……今は、いいや」








この度、守護精霊と契約いたしました森のCOBITo🍄です。
ちょっと、遊んでみました。笑

宵空さんの『ことばの守護者』リレーで物語にしてみました。
(物語にしないといけないルールはありませんので、皆さま、お気軽にやってみてくださいね☺️)



今回、COBITo🍄に、素敵な守護者のバトンを下さった方をご紹介します。

梔白カイさんです🌿

葬灯の女神様♡
すごく素敵。他にも……ぜひ、見に行ってくださいね。

🌱梔白カイさんの素敵な作品✨

 短編小説『神様は何もくれなかった』
  たった一人から届く言葉に救われ、やがて縋り、歪んでいく――
  創作者の承認欲求と孤独を描いた心理短編です。

🌱連載小説『クラゲと亡霊』マガジン
  消えたい少年と未練を探す亡霊が、触れられない距離の中で、
  少しずつ互いを現実につなぎ止めていく青春ファンタジーです。


🌱
COBIToの好み全開・おすすめ3選(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)

 『ヘリオトロープ』この関係がたまらないのです(*ᴗˬᴗ)⁾⁾

『おっぱい』読みたいよね?読みたくなるでしょ。笑
 いいお話ですよ☺️

『肉』大好物です(/ω\)これが、一番好きだったり……ダークだよ♡


梔白カイさんの文章は、とても静謐です。

静かな日常に沈む喪失も、常識が反転した世界の愛も、人には見せたくない心の歪みも、少し冷たい温度で描かれています。

感情を説明し尽くすのではなく、匂いや音、身体の感覚として、そっと残していく。だからこそ、読み終えたあとも、物語の意味が胸の中でじわじわと形を変えていきます。

優しいだけでも、暗いだけでもありません。人間の格好悪さや危うさまで見つめながら、その奥にある孤独や愛を取りこぼさない物語だと思います。

ぜひぜひ読んできてくださいね🌿



今回は、お手製バトンをご用意しました。笑

憧れの同じ境界仲間である

『🌿風の猫|ココロリーフの物語』さんへお届けします☺️

風の猫さんのご紹介は、また、日を改めて🥹✨
どんな守護者さんが現れるのか、楽しみです。

バトン🍄


それでは、また、どこかの物語で🌿


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