松本・滞在する旅~秋(③ 見応えあり、穂高神社の御船祭)
松本市のお隣り、安曇野市にある穂高神社の御船祭は、船形の山車が激突する熱い祭り。
小中学校は休みにして、生徒はお祭りに参加します。毎年、9月26日に宵祭、27日に本祭。
海がないのに、なぜ、お船なのか?
安曇野を開いた安曇族は、北九州を拠点にした海洋民族・海神(わたつみ)族の後裔といわれ、その名残りで山車を船形にした、とされています。穂高神社で祀っている穂高見命は海神族の祖神です。ちなみに、穂高神社の奥宮は上高地、嶺宮は穂高岳山頂にあります。
穂高神社に限らず、安曇野市や松本市の神社では、船形の山車を使う祭礼があります(松本市里山辺地区の御船祭)。
本連載は、通過する旅に物足りなさを感じ、“滞在する旅” を試した私の体験談と、その結論としての “2年間限定移住のすすめ” です。
信州ファンや滞在型の旅が好きな方の参考になれば、さいわいです。
私のライフワーク「昔の人びとの楽しみ方」の名残りも探っています。
1.お船到着

町内を曳行されたお船は、町会の人たちと一緒に境内へ。外国人の曳き手もいます。
お船には、着物が掛けられています。着物の持ち主は、一年間健康に過ごせるそうですよ。

境内に大人船(高さ6m、長さ12m)2艘と一回り小さな子供船3艘が集結。神事を待ちます。

笛や太鼓、鐘などのお囃子を担う若者たちがお船に乗り込み、待機している間も、お囃子を絶やしません。

お船には毎年、新調した穂高人形飾物を載せます。テーマも毎年変わり、左は戦国時代の女傑・お田鶴の「椿伝承」、右は安曇野を開いた安曇族の英雄「安曇比羅夫出陣」。
安曇比羅夫は、7世紀に日本に逃れた百済王子を、朝鮮に送り届ける活躍をみせました。しかし、白村江の戦いで敗れ戦死。命日の9月27日がお船祭りの起因といわれています。
2.神事開始

本殿の神様に祝詞奏上、玉串奉奠など約1時間の神事が続きます。誰が何をしているかの放送が入り、“低頭してください” との指示も時々あります。

いにしえから、神事を司っていた人達が拝殿を出て、神楽殿の周りを3周し(実質2周半)、鳥居から退出。先頭の旗は、松本藩から本祭(例祭)を仕切るように命を受けた家のものだとか(小笠原氏の家紋と似ています)。白い裃のようなものを着た人は場内の整備です。
3.子供船の奉納

等々力町区の子供船が入場し、御船奉納がスタート。祭りが一気に盛り上がります。

子供たちと父兄に曳かれた子供船は、神楽殿の周りを3周して鳥居から出ていきます。2番手は穂高町区の子供船、最後は西遊記をテーマにした、穂高区の子供船でした。
4.大人船の奉納≒激突

両町区(穂高町区・等々力町区連合)の大人船が姿を現します。大きい!
穂高区のお船と激突するので、掛けられていた着物は取り除かれています。



お船の中の若者たちは、お囃子を続けます。人形だけでなく、お船も毎年作って、神様に見ていただきます。

穂高区の大人船の登場。境内が熱気を帯びてきました。

穂高区の大人船は神前に向かい、両町区の船に出て行けとばかりに激突。
丸い女腹(左)と、突き出した男腹(右)がぶつかることで、子孫繁栄を願っているとアナウンスされていました(解説の場内放送付き)。
動画(38秒)で、衝突でも鳴り止まぬお囃子と怒号をお聞きください。

がっつり衝突し、双方の船腹が変形しています。
船の奥にある拝殿の前で3回衝突。人形は神様に向けています。

“押せ押せー” と怒号。お船の後方に乗っているお囃子の女の子たちも煽ります。(ギャラリーからは、“押されぱなしじゃーん” など厳しい声も)

若宮社前での衝突後、先に入った両町区の大人船が鳥居から出ていきます。
5.祭りの終わり

ところが、両町区の大人船は鳥居をくぐれず、ノコギリ登場。想定以上に変形したのですね。

一方、穂高区のお船は衝突で人形の首が折れました。この激しさが見所です。その中で演奏を続けるのだからお囃子は立派です。

穂高区のお船はスムーズに鳥居をくぐりました。お囃子の少女たちは安堵の笑顔(左下)。

お船が鳥居から出るのに小一時間かかってしまいましたが、神事は続けられ、本殿の扉が閉められて終了。扉を閉めるに先立って、“低頭してください” と放送が入りました。
神様たちはお船の奉納を楽しんでくださったことでしょう。17時ごろです。

神楽殿の周りにはお船の木製車輪の跡が残っています。
見応えあった~。目の前でお船が動き、激突するので、大満足。
写真は2023年で水曜日でしたが、2026年は日曜日が本祭りなので、混むかも。でも、一見の価値あり。多少天気が悪くても催行されるようです。
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■私の書籍 2025年出版。江戸・明治時代の村人たちの楽しみ方と現代生活への応用、松本での暮らしについても少し書いています。

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