「デザインできる人/できない人」ではなくなってくる ─ 比較優位とAI時代のデザイン分業③
(一つにまとめていたのですが、テーマがごちゃったので記事を分割しました🙏)
AIによって、これまで「デザインできない人」だった人も、案を形にし、比較し、選べるようになってきました。だとすると、これからの境界線は、本当に「デザインできる人/できない人」のままなのでしょうか。
前回の記事②は、AIによって非デザイナーとデザイナーの比較優位が組み替わり始めているのではないか、と書きました。今回はその続きとして、デザイナーの比較優位はどこに残るのか、そもそも職種や肩書きで分けて考え続けてよいのかをもう少し掘り下げてみます。
AI時代、デザイナーの比較優位はどこにある?
デザイナーの比較優位について考えてみたいのですが、ふと「デザインはデザイナーに任せるには重要すぎる」という言葉を思い出しました。
AIの登場によって、ある意味ようやく、従来デザイナーが一括して抱えていたプロセスの一部を、チーム内で分担しやすくなってきたのかもしれません。
例えば、
① 仮説を大量探索する:非デザイナー+AI
② 評価軸をつくる/方向を決める/構造化する:デザイナー+AI
③ 精度を上げる:デザイナー+AI
④ 最終判断・品質保証:デザイナー
というプロセスも考えられます。
もちろん、これが唯一の正解というわけではありません。案件やチームによって、最適な分担は変わるでしょう。
ただ、少なくともこうやって考えていくと、デザイナーの価値を「デザイン(見た目)を作れること」だけで捉えていると、案件やチームでAI活用/推進はますます難しくなっていきそうですよね。
「何を作るべきなのか」
「どこまで探索すればいいのか」
「何を基準に選ぶのか」
「それは本当に目的に合っているのか」
「最終的にデザインとして成立しているのか」
こうした部分で、デザイナー(デザインの専門知識を持つ人)の比較優位が強く現れてくるのかもしれません。
一方で、ここでも少し興味深いことがあります。ベイジの記事「デザイン案をAIで300個作ったライターからの学び」の話が再び出てくるのですが、ライターの方はすでに「選別」まで行っています。
つまり、審美眼や判断力はデザイナーだけが持つものとも言い切れなくなってくる。
むしろ今後、境界線は、「デザインできる人/できない人」ではなく、良い評価軸を持って、AIの探索を方向づけられる人/できない人へと変わっていく可能性があります。

あえて今までこの表で判断を「個人差あり」と表現していたのものも、そこにありました。
その上で、専門的なデザイン知識が必要になる地点では、デザイナーの比較優位が強く出てくる。じゃあそこは具体的にどこなのか?何なのか?
専門的なデザイン知識ってなんぞやというのも掘り下げないととなってきますし、むしろ肩書きに縛られず、個人の能力にフォーカスして考えるところでとあるのかもしれませんね🤔
(AI時代は肩書きに縛られないで、と言っていた人たちの話が個人的にやっと腑に落ちてきた感じがあります。)
・・・
デザイナーが比較優位ではない工程まで抱え込むと、AI時代にはチーム全体が非効率になる
一方で、デザイナーもデザインプロセスの中でAIで効率があがる部分がもちろん出てきます。
そうなった時に、デザイナーを絶対優位だけで捉えて、比較優位ではない工程まで抱え込むと、AI時代にはチーム全体が非効率になるのでは?と。
デザイナーにとってもチームにとってもこれは大事な示唆かもと感じています。
AIによって起きているのは、非デザイナーがデザインできるようになっただけではありません。
ここまでをまとめると、デザインプロセスを分解したとき、これまでデザイナーが一括して持っていた仕事の一部について、非デザイナー+AIのほうが比較優位を持つケースが生まれてきたと見ることができます。
これは、AIでデザイナーが不要になるという話とは違います。
むしろ、繰り返しになりますが、デザイナーが自分の比較優位ではない工程まで抱え込んでいると、AI時代にはチーム全体として非効率になるという話に近いのではないでしょうか。
AI導入を、デザイナーをAIで高速化するとだけ捉えるのではなく、
AIによって、チーム内の分業そのものを再設計すると捉える。こちらのほうがAI時代に重要なのかもしれません。
最後に:私たちはAIで何がやめられるようになったのか?
先日Xで話題になっていた投稿にもあったように、私自身も、私の周りでも、AIによって逆に負担が増えたという話をよく見聞きします。
物理的もメンタル的にも。
ちょっと無理かもな、と思ったことを書きます。
— 岡野 優太 | ENVY DESIGN Inc. (@web_e_design) August 14, 2026
私は、デザインの修正で感情が揺れることはほとんどありません。なぜなら、人それぞれ思いや感じ方は違うからです。だから「この人はこう感じたんだな」と受け入れて、納得いただけるまで修正するようにしています。…
そして、「AIでちゃちゃっと作ってよ」も発生しています。
でも私は、これはデザイナー個人がAIをもっと上手に使えるようになれば解決する話ではないと思っています。
そもそもの業務フローを洗い出して、
・人がやる仕事
・AIに任せる仕事
・非デザイナーでも担えるようになった仕事
・デザイナーが集中するべき仕事
を改めて組み直す必要がある。
(そう、これにはそもそも周りのデザインリテラシーを上げないと…と新たな悩みも発生します🤤)
以前からなんとなく、「AIを入れるなら、組織やチーム全体で業務フロー自体を変えないといけないのでは?」と感じていたのですが、
今回Akiさんの「比較優位のデザイン」とベイジの「デザイン案をAIで300個作ったライターからの学び」の2つの記事を重ねて考えたことで、私自身、その解像度が一段上がった感じがしました。
具体的な方法まで書いた記事ではありませんが、AIで何ができるようになったか?だけではなく、AIによって、誰が何をやらなくてよくなったのか?という視点で仕事を見直してみると、今感じているモヤモヤを少し違う角度から捉えられるかもしれません!
私もそういう意味で、今一度自分のやっていることを棚卸しをしてみたいなと思いました。(おわり)
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