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AIで非デザイナーとデザイナーの仕事が組み替わる可能性 ─ 比較優位とAI時代のデザイン分業②

(一つにまとめていたのですが、テーマがごちゃったので記事を分割しました🙏)

前回の記事①では、そもそも「比較優位」とは何かについて書きました。
ここからは、その考え方をAIが入ったデザインの仕事に当てはめてみたいと思います。

AIによって変わるのは、単に「できること」が増えるだけではないのかもしれません。これまで合理的だったデザイナーと非デザイナーの分担も、少しずつ変わり始めているのではないでしょうか。

AIが入ったことで、非デザイナーとデザイナーの比較優位が組み替わり始めている

Akiさんの「比較優位のデザイン」とベイジの「デザイン案をAI300個作ったライターからの学び」の記事を重ねて読んでみた時に、ベイジの記事で起きていることは、単純に非デザイナーでもAIでデザインできるようになったという話ではないのでは?と思いました。

むしろ、AIが入ったことで、非デザイナーとデザイナーの比較優位が組み替わり始めていると見ることができるのではないか?
ここが今回、私が興味深いと感じた部分です。

Before:まず、AIがいない世界

もちろん個人差や職種差はありますが、かなり大雑把にデザインの仕事を分解してみます。

生成AIが今のように広まる以前は、頭の中にアイデアがあったとしても、それを視覚的な案として形にするには一定のデザインスキルが必要でした。
そのため、考える → 作る → 比較する → 選ぶ → 直す → 仕上げるという、かなり広い範囲をデザイナーが一括して担当するのが合理的でした。

つまりデザイナーは、デザインプロセスのかなり広い範囲で「絶対優位」を持っていたと言えます。ただ、「比較優位」で考えると少し違った景色が見えてきます。

デザイナーが例えば「大量に案を出す」ことに1時間使えば、その1時間は他の得意な仕事には使えません。ここが、AIによって変わってきます。

After:そこにAIが入ると

ベイジの記事では、ライターの方がAIを使って300案を生成し、そのうち9割を捨て、30案程度まで絞っています。
さらに、良い案が出る → なぜ良かったのかをAIに分析させる → 次のプロンプトに反映する → また生成するというループを繰り返しています。

AIによって、デザイン案を実際に形にするためのハードルが大きく下がったわけです。

同じ仕事の分解で見ると、例えば下表のように、AIが入ることで非デザイナーが比較優位の前提である、「デザイン案を形にする」「大量の案を出す」という同じ仕事が可能になってきたため、デザイナーと比較優位で考えられるようになってきます。

(※ちなみに、一つ前の表と合わせて、この表はあくまで「できる・できない」の能力をざっくり比較したものです。デザイナーもAIを使えば、大量生成もできます。むしろデザインの知識がある分、上手にAIを使える場面も当然あると思います。)

では、誰がやるのがいいのか?

ここで改めて、デザイナーと非デザイナーで、比較優位で「何を諦めるか?」を考えてみたいと思います。

非デザイナーがAIで探索している1時間と、デザイナーがAIで探索している1時間。同じ1時間でも、その間に諦めている仕事は同じではありませんよね。

デザイナーがその時間を使えば、例えば
・デザインとしての妥当性を判断する
・情報を構造化する
・細部を調整する
・品質を上げる
といった、より専門性を必要とする仕事ができるかもしれません。

一方、AIによって非デザイナーでも大量探索を担えるようになったのであれば、その工程を非デザイナーが担当したほうが「諦めるもの」が少ないケースが出てきます。

つまり、能力としてはデザイナーにもできる。
でも、個人単位ではなく、組織やチームとしての様々なコストまで考えると、非デザイナー+AIに比較優位が生まれることがあるということです。

さらにベイジの記事では、もう一つ面白い指摘がされています。デザイナーは手を動かせるからこそ、途中で、「自分で直したほうが早い」と制作に入ってしまいやすい。(身に覚えがある…笑)
一方、非デザイナーは自分で直接デザインを直せないからこそ、AIに対して何度もダメ出しし、試行回数を増やせる。

つまり、これまで弱みだったはずの「自分ではデザインできないこと」が、AIによる大量探索の工程では、逆に作用する場面が出てきた。これを比較優位として考えると、なかなか興味深い逆転だと思います。

ただし、「非デザイナーに案出しを任せて、デザイナーは仕上げればいい」という単純な話でもない

とはいえ、「じゃあ非デザイナーに大量生成させて、デザイナーは最後だけ見ればいい」という単純な話でもないと思います。

ベイジの記事でライターの方が実際にやっているのは、生成そのものよりも、むしろ編集やディレクションです。
300案を作ること自体はAIがやっていて、人間がやっているのは、出す → 見る → 捨てる → 理由を考える → 指示を変える → また出すという仕事です。

ベイジの記事でも、これを「ディレクターとエディターを行き来する感覚」と表現しています。つまり、比較するべきなのは、「非デザイナー vs デザイナー」だけではありません。

本当は、前回も出てきた
・非デザイナー+AI
・デザイナー+AI
・AI単体
の三者で、どの仕事をどう分担するのかを考える必要がありそうですよね。
(しかもベイジの記事ではライターさんだからこそ、ディレクション・編集スキルが活かせたので、非デザイナーだれもが上記のようにいくという話でもありません。)

そして、ここでAkiさんの記事にあった、

「AIによって何ができるようになったか」だけでなく「AIによって自分が何をやめられるようになったか」を見る

比較優位のデザイン|Aki

という話につながってきます。

デザイナーとして大事な考え方としては、AIでデザイン案を300案出せるようになることではなく、300案出す仕事を自分がやる必要があるのか?ということかもしれません。(つづく)

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つづき:

前回:


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