処遇改善加算の実績報告、5月から始める3つの準備
処遇改善加算の実績報告、毎年7月末になって慌てていませんか。
賃金台帳の集計、裏付け資料の整理、加算額との突合——これを7月に入ってから始めると、どう頑張っても間に合わないことがあります。現場でそういう場面を何度も見てきました。
今年こそ余裕を持って乗り切るために、5月から動き出すための準備を3つにまとめました。
実績報告で自治体が必ず見る3つのチェック項目
実績報告書を提出すると、自治体の担当者は必ずいくつかのポイントを確認します。ここを押さえておくと、後から問い合わせや修正を求められるリスクが大幅に減ります。
① 加算収入と賃金改善額が一致しているか
実績報告の根幹は「受け取った加算を、職員への賃金改善に使いましたか」という確認です。
加算算定額(月次の加算収入の合計)と、実際に職員に支払った賃金改善額の合計が、大きくズレていると必ず問い合わせが来ます。完全に一致する必要はありませんが、差額が生じた場合は理由の説明が求められます。
「もらった分だけ配った」という証明が求められる、とイメージするとわかりやすいです。
② 賃金改善の「対象者・金額・支給方法」が明示されているか
誰に・いくら・どのような形で支払ったかが、書類から読み取れる状態になっているかを確認されます。
支給方法は「基本給への上乗せ」「手当の新設」「一時金」などさまざまですが、どの方法であっても根拠となる資料(賃金台帳、支給一覧など)が必要です。「記録がない」では対応できません。
③ 賃金改善計画書(年度初めに提出した計画)と整合しているか
年度始めに提出した処遇改善計画書に書いた内容と、実績が大きく食い違っていないかも確認されます。
「計画では全職員に基本給上乗せと書いたが、実際は一時金のみだった」というケースは要注意です。変更があった場合は、その旨を実績報告書に明記するか、事前に自治体へ相談しておくことが必要です。
5月〜6月にやるべき賃金改善額の集計と裏付け資料の整え方
自治体が見るポイントがわかったところで、実際に5月から何をすべきかを整理します。
月次の加算収入を集計する
まず、報告の対象年度(4月から翌年3月まで)の各月の加算収入を、科目別に集計してください。
令和6年6月に、処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3つは1本にまとまりました。ただ、会計側の科目が旧3加算のまま分かれて残っている法人はあります。集計に入る前に、自法人の科目が今どうなっているかを一度見ておくと安全です。
会計ソフトや資金収支の月次データをもとに、Excelに転記しておくと後の突合作業がスムーズになります。
賃金改善額の集計を給与台帳から行う
続いて、各月の給与台帳から賃金改善に該当する金額を拾います。
「処遇改善手当」として科目が明確に分かれている法人は比較的楽です。ただし「基本給に上乗せした」場合は、前年度の基本給との差額を職員ごとに計算する必要があります。これが5月〜6月のうちに終わっていないと、7月の本番で確実に詰みます。
裏付け資料を一か所にまとめる
自治体へ提出または閲覧に備えて、以下の資料をあらかじめひとつのフォルダにまとめておくと、問い合わせが来たときに慌てずに済みます。
月次の賃金台帳(全対象期間分)
処遇改善手当・一時金の支給一覧(職員別・月別)
処遇改善計画書(年度当初に提出したもの)
加算算定額の根拠(請求書や自治体からの通知)
この「一か所にまとめておく」は、実績報告だけの話ではありません。同じ資料は、運営指導でもそのまま見られます。私が毎年使い回している準備の中身は、こちらにまとめました。
賃金改善実績の集計で経理がつまずく典型パターン
制度の概要はわかっていても、いざ集計してみると判断に迷う場面があります。現場でよく見かける2つのパターンを紹介します。
一時金の「どの月に計上するか」問題
賃金改善を一時金で支給した場合、「支給した月」と「発生主義で計上した月」がズレることがあります。
たとえば「3月分の一時金を4月に支払った」場合、実績報告書ではどちらの年度に含めるかを正確に整理する必要があります。
基本は「支給した時点」ではなく「対象とした賃金改善期間」が何年度かで判断します。迷った場合は、自治体の手引きを確認するか、事前に担当窓口へ問い合わせておくことをおすすめします。
法定福利費(社会保険料の事業主負担)は賃金改善額に含められるか
一部の自治体や加算の種類によっては、賃金改善に伴って増加した法定福利費(社会保険の事業主負担分)を賃金改善額として計上できる場合があります。
ただし、これは加算の種類・自治体のルール・年度によって扱いが異なります。手引きを必ず確認し、「含めてよいかどうか」を事前に確認してから集計を進めてください。含められると判断した場合は、根拠となる資料も別途保管しておきましょう。
追記(2026-08-19):5月から始める理由は、7月末の実績報告が、7月10日の労働保険・社会保険の提出物と同じ月に乗るからです。1年のどこで何が重なるかは、こちらにまとめました。
今すぐやることリスト
今年度の加算収入を会計ソフト・請求データから月次で集計する
賃金改善の支給方法を確認し、給与台帳からの集計方針を決める
裏付け資料をフォルダにまとめ始める
提出先の自治体の手引き・様式を今年度版で入手しておく
一時金・法定福利費の扱いについて自治体窓口に確認する
無料のExcelテンプレも置いています
社福経理の現場で「あったら助かる」と感じたExcelテンプレを、無料で配布しています。ダウンロードはnoteの記事から直接できます(登録不要)。
この記事の山場である「職員別の賃金改善額を給与台帳から拾う」の土台になるのは、給与計算チェックシートです。毎月ここを揃えておけば、5月の集計は拾うだけで済みます。
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