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4月から順に並べた、社福経理20年が毎年身構える山場ベスト5

社会福祉法人で会計とICTを20年やってきた経理実務家です。

「社会福祉法人 経理 年間スケジュール」で検索してたどり着いた方を想定して書きます。異動してきたばかりで1年の流れが読めない方、去年ひとりで回して「あの月がきつかった」という感触だけ残っている方。私も最初の年は、次に何が来るのかを知らないまま毎月ふりまわされていました。

今日は、その1年を4月から順に、5つの山場として並べます。ただ、並べる目的は途中で変わりました。



年間表は、身構えるためではなく「ならす」ために見る

先に結論を書きます。

私が年間スケジュールを並べるのは、山場に身構えるためではなく、業務を年単位でならすためです。山場そのものは消せませんが、前に倒せる仕事は思ったより多くありました。

決算も、年度更新も、実績報告も、それだけを1か月かけてやるなら難しい仕事ではないと感じています。しんどくなるのは、期日が動かない外部への提出物が、決算や月次といった内部の作業の上に、そのまま乗ってくる月です。内部の作業は「来週に回そう」ができます。外部の期日はできません。だから重なった瞬間に、逃がせるのは内部の仕事だけになって、月次が後ろにずれ、その遅れがまた次の山場に効いてきます。

何月に何があるかを覚えても意味は薄くて、どの月とどの月が重なるかが分かって初めて、どこを前に倒せばいいかが見えます。12か月を網羅した表は行政のサイトにもありますが、私が手元に置いているのは、重なりが起きる5か所だけを赤くしたものです。8月から10月と2月は、この5つに入れていません。月次を回しながら、前倒しの仕込みを差し込めるのがこの時期だからです。

ここから紹介する5つは、その代表例です。


毎年ここで身構える、5つの山場

① 4月|年度が2本走り出す。片方は3月に前へ倒せる

4月の異様さは、新年度が始まっているのに前年度が終わっていないことです。

4月1日から新しい予算で執行が始まる一方、3月31日で締めたはずの前年度の伝票が遅れて回ってきます。日付の違う2つの年度の伝票が積まれ、どちらに入れるかを1枚ずつ判断していく。年度が2本走る月は1年で4月だけで、この仕分けはどう工夫しても4月にしか来ません。

前に倒せるのは、もう一方の新年度の側でした。私の経験では、補正予算と新年度の当初予算を3月に決議します。予算の承認は法律上は理事会の職務ですが、定款で評議員会の決議事項に加えている法人は、そこまで通します。私が見てきたのは後者で、評議員会が終わるまで新しい予算は動かせません。だから決議が下りた瞬間に動けるよう、予算と実績を並べる表を3月のうちに作っておきます。どちらの形かは定款を見れば分かります。4月に間に合わせる仕事ではなく、3月に前に倒せる仕事だと気づくまで、何年もかかりました。

給与の年度替わりも、支払月しだいで山の位置が変わります。4月分を翌月に払う形なら、切替が乗るのは5月です。ここも一度確かめておくと、身構える月がずれずに済みます。


② 5月〜6月|決算は3月末ではなく、6月末に固まる

決算を初めて担当した年、私は3月31日をゴールだと思っていました。実際は、そこから3か月先です。

計算書類ができたあと、会計監査人を置いている法人ではその監査報告書が先に固まります。置いていない法人は、監事の監査から始まります。あとは同じで、理事会、評議員会と続き、最後に現況報告書や計算書類などを所轄庁へ届け出ます。期限は毎会計年度終了後3か月以内、つまり6月30日です。財務諸表等電子開示システムへの入力もあります。前がひとつ遅れると、後ろが全部ずれる並びです。私は6月末から逆算して、監査と会議2つ分の間隔を先に押さえます。

同じ時期に、消費税の申告も走ります。法人の消費税は原則、課税期間の終了から2か月以内。ただ社会福祉法人には、税務署長の承認を受ければ6か月以内の範囲で期限を延ばせる特例があります。私は税理士と組んで、この特例のほうの日程で回しています。どちらで動いているかは、一度確かめておくと安心です。

以前、決算は「終わった」ではなく「固まった」が正しい、と書きました。いま並べ直すと、固まる先はもう一段先の6月末でした。3月から5月のつまずきは、そちらにまとめています。


③ 6月〜7月|7月10日に、労働保険と社会保険が同じ日に着地する

労働保険の年度更新は6月1日から7月10日まで。算定基礎届も7月1日から7月10日までで、4月から6月の報酬月額を届け出ます。締切が同じ日です。そこに6月の賞与と、住民税の新年度分への切替も入ります。

私は社会保険労務士と組んでいるので、作成そのものでつぶれることはありません。ただ、渡す元データが間違っていれば、そのまま様式に乗って出ていきます。最終チェックだけは法人の担当者がやったほうがいいと思っています。中身を見られるのは、給与のデータを毎月触っているこちら側だからです。

そのチェックで長く困っていたのが、切り口の違う2つを、同じ台帳から別々に2回拾っていたことでした。一方にだけ紛れた取り違えは、突き合わせても浮いてきません。

いまは、給与データから月別・項目別の集計表を1枚だけ作って、そこから両方を照らします。作るのは1回、照らすのは2回。自法人で作成している場合は、この1枚がそのまま作成の土台にもなります。


④ 7月末|処遇改善加算の実績報告が、同じ月の下旬に来る

③が終わって息をついたところに、これが来ます。

処遇改善加算の実績報告は、最終の加算の支払があった月の翌々月の末日まで、というのが基本の考え方です。3月分の加算は5月に支払われるので、多くの自治体で7月末が期限になります。ただ、様式も案内も自治体ごとなので、期日と様式は必ず今年度版を取りに行く前提で動いています。

つらいのは、③と同じ賃金台帳を、まったく別の切り口でもう一度見ることです。年度更新は労働保険の対象賃金、算定は4月から6月の報酬、実績報告は賃金改善に該当する部分。同じ台帳を、3種類の定規で測ることになります。7月がしんどいのは仕事が多いからではなく、同じデータを違う定規で測り続けるからだと感じています。

だから私は、実績報告の集計だけは5月のうちに手を付けます。7月に入ってから始めると、上旬と下旬が同じ月に丸ごと乗ってしまう。5月に前倒しできる部分は、こちらにまとめています。


⑤ 11月〜1月|年末調整は12月では終わらない

年末調整を12月の仕事だと思っていると、1月に足をすくわれます。

11月に扶養控除等申告書や各種証明書を集めて、12月の給与か賞与で精算する。ここまでは想像がつきます。実際にはその先に、源泉徴収票を含む法定調書と給与支払報告書があって、期限は翌年1月31日です。12月に精算が終わって気が緩んだところで、年明けすぐに提出物が待っています。

私は一度、1月の第3週になって様式の準備に手をつけて、後悔しました。年末年始が挟まる分、動ける日が思っていたより少ないんです。12月を山場だと思っていると、1月に事故ります。

この件から、年末調整は「11月に集める・12月に精算する・1月に出す」の3工程だと考えるようにしました。そのうえで、3つ目に使う様式は12月のうちに用意しておきます。年明けに残すのは、数字を入れて出す作業だけにしたい。


5つを並べて決めた、3つのルール

並べ直して、自分の中で決めたことが3つあります。

ひとつ目、山場は「月」ではなく「重なり」で数える。7月が忙しいのではなく、7月10日と7月末が近すぎるのが問題です。

ふたつ目、動かせない期日を先に置いて、そこから前に倒せる仕事を探す。6月末の届出、7月10日、7月末、1月末。ここは外から決まっていて動きません。会議の日程は本来こちらで決めますが、一度決めたら動かない側に置いています。そのうえで、手前のどこに寄せられるかを考えます。3月に予算の表を作るのも、5月に実績報告の集計を始めるのも、これです。どちらも空いている月ではありませんが、7月に固めるよりはまし、という判断です。

みっつ目、同じ元データを使う仕事は、まとめて1本にする。給与データを見る仕事が6月から7月に3つ並ぶなら、集計は1回にして、そこから照らす。決算でも同じで、月次のうちに形を整えておけば作り直す量が減ります。

なお、この5つに運営指導や監査は入れていません。日程が読めないものは、いつ来ても出せる状態を常設しておくほうが早いからです。毎年使い回している準備は、こちらにまとめています。


それでも、1枚の年間表を手元に置く理由

5つも並べると、社福の経理は1年中しんどいように見えるかもしれません。私はむしろ、並べてから年間がならせるようになりました。

年間表は、忘れないために作るものではなくて、山を削って手前に寄せるために作るものだと思っています。

もうひとつ効いたことがあります。7月に「なぜ月次が遅れているのか」と聞かれたとき、忙しいですと答えるのと、7月の提出物2つが片づいたら今週後半に回しますと答えるのとでは、返る反応がまるで違いました。前者は個人の頑張りの話に見えて、後者は業務量の話になります。応援を頼むときも引き継ぐときも、効くのは後者でした。


おわりに

社福経理の1年は、月ごとに難しい仕事が並んでいるというより、重なる場所が決まっている、という感触に近いです。決まっているなら、先に地図にできます。地図にできれば、山の一部は手前に移せます。

「山場は減らせないが、ならすことはできる」。これが20年やってきての実感です。

この5つのうち、6月末の届出と7月10日は、それぞれ単体でもう少し書けそうです。またそのうち、切り分けて書きます。


無料のExcelテンプレも置いています

社福経理の現場で「あったら助かる」と感じたExcelテンプレを、無料で配布しています。ダウンロードはnoteの記事から直接できます(登録不要)。

  • 拠点別予実管理表

  • 給付費突合せ管理表

  • 月次決算チェックリスト

  • 給与計算チェックシート

  • 資金収支予算管理表

山場の谷間で月次を落とさないための「月次決算チェックリスト」は、この記事と相性がいいと思います。

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